日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1974 巻, 9 号
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  • 藤元 薫, 竹田 博, 横山 茂樹, 功刀 泰碩
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1599-1604
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持パラジウム触媒による水蒸気存在下でのプ癖ピレンの酸化反応を行なった。各種金属のうち注目に値する活性をもつ元素はパラジウムのみであった。パラジウム触媒の活性は使用した担体によって大幅に異なり,大きな表面積を有する担体ほど高活性触媒を与えたが,それは主として高分散により,より微細なパラジウム粒子を与えることに起因した。X線回折および-酸化炭素の化学吸着量から計算しゆたパラジウムの粒子径は59~1000Aであり,この範囲では粒径が小さいほどパラジウムの活性も大であった。反応中のパラジウム粒子は多量の水素を吸蔵したβ相を形成しており,ペラジウムによるプロ,ピレンからの直接水素引き抜きによってプ揖ピレンの活性化が行なわれることが示唆された。触媒の調製には高温の水素による還元法が最適であり,また還元後,反応前に水蒸気と空気の混合ガスで処理す-るとその活性がいちじるしく増大した。触媒にハロゲンイオンを添加すると反応はいちじるしく搾制され,その序列はrBr-Cl"-F-の順であった。その原因は酸素供与体である水の吸着が阻害さ矛ゼるためと考えられた。パラジウムの酸化を促進する金属酸化物,たとえば,V205,あるいはWOsなどを添加すると触媒の活性はいちじるしく増大した。
  • 高島 洋明, 藤元 薫, 功刀 泰碩
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1605-1610
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    担持金属パラジウム触媒により,プロピレンと各種アルコールと酸素とを反応原料として相当するアリルエーテルが得られることを見いだした。原料ガス分圧,反応温度などが生成物収率におよぼす影響を調べた結果,プロピレンのアリル位置換試薬としてのアルコールは水または酢酸と非常に似た挙動を示すことがわかった。Langmuir-Hinshelwood型の反応速度論的な解析から,上記水あるいは酢酸めそれと同-の速度式が得られた。金属パラジウム触媒のみを用いると,第-アルコールからはアルデヒ.ドとエステルが選択的に得られ,第ニアルコールからはエーテルとケトンが得られ,第三アルコールからはエーテルが選択的に得られる。触媒にアルカリ塩を添加すると第-アル場コールの場合,エステル生成は抑制され,エーテル生成は促進されることを見いだした。アルコール相互間のエーテル生成速度の差は,アルコールの酸性度と相関をもち,酸性度が大きなプルコールほどエーテル生成速度は大きい。アルカリ添加塩の効果は触媒衷面上の塩基性度を高め,相対的に酸怪度の小さなアルコールの触媒表面への吸着を容易ならしめる点にあると考えられる。
  • 荒井 康夫, 安江 任, 滝口 治義, 久保 輝-郎
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1611-1616
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    摩砕によ6て粉体にメカノケミカル効果として付与された構造不整やミクロ均-混合などが固体反応速度にどのよう,な影響を与えるであろうか,BaCO3-TiO,系固体反応を例として検討を行なった。BaCO3とTio2(アナターゼ)は空気中や真空中で単独で摩砕したり,空気中で混合摩砕してもいちじるしい構造変化はみられないが,真空中(19惚mmHg)で混合摩砕すると,48時間後には構造の無定形化,不整化表面どうしゐ強い凝集による2次粒子の成長がみられる。しかし,BaTio,の存在は確認することはできなかった。lBaCO8-TiOゑ系混合摩砕物について高温X線回折(10。C/min)により加熱によるBaTiO8の生成速康を比韓k鷹みると,単塗~る混命物q零牛麟騨台温度75()OC'生成完結温度1100℃であるのに対し,真空中48時間摩砕物では,それぞれ500りC,800。pと低下し,メカノケミカル効果によるいちじるしい反応促進が明らかとなった。-部灘合摩砕物Arrhe血iusプロヅト嫡屈折する直線関係が得られた,これは粒子表面の不整化BaCO,と粒子肖部の不整化のおよばないBaCO3が,それぞれTio2とゐ反応性が異なるためである。
  • 安藤 淳平, 宮村 哲夫, 秋山 秦
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1617-1622
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硝酸アンモニウム,硫酸アンモニウム,塩化カリウムおよびリン酸アンモニウムを原料としてつくる化成肥料中では,その配合割合により多量の複塩2NH4NO3,(NH,)2SO4を生成し,共存するカリウム塩の量に応じてこの複塩のNH4の最高40%程度までがKで置換される(この複塩とその固溶体を以下Bと呼ぶ)。Bは水分が存在しなければ150℃程度まで安定であるが,水分の存在下では80。C以上で次第に硝酸塩と硫酸塩に分解し,分解生成物は室温で貯蔵中にふたたびBを形成する。Bの密度や生成熱はKの固溶度に応じて大きな差がある。Kの比較的少ない製品20-11-11では,室温でのBの生成は発熱と体積増加をともない;粒の崩壊の原因となる。Kが比較的多い15-20-15では,Bの生成はわつかな吸熱と体積減少をともない,反応も遅いので粒の崩壊は起こらないが,粒内部の水分が表面に拡散するにしたがって表面にBを生成して固結を起こす。崩壊や固結を防ぐには,NO,/SO,比を変えてBの量を減らすか,造粒や乾燥に高温を避け,また製造中の冷却工程でBの生成を促すとよいであろう。粉体配合造粒の場合には未反応の原料塩類が製品中に残りやすく,これらが貯蔵中に反応して固結の原因となりうる。
  • 水谷 惟恭, 北沢 章生, 加藤 誠軌
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1623-1628
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    空気中,800~1600℃の問でのY,O2-TiO,系の相平衡を調べ状態図を作成した。1200℃以下の低温度域の研究には共沈反応体を,それ以上の温度域の研究には粉末混合反応体を使用した。1390。C以下の温度域ではY2Ti207およびY,TiO,が生成する。Y2Ti207は数パーセント程度の固溶領域をもつ化合物であるが,Y2Tio5はほとんど固溶領域をもたない化合物で,1320。c以下の温度では斜方晶系であるが,それ以上の温度では六方晶系に相転移する。ホタル石構造の複酸化物はY2O2-:TiO,=O.8~2.0:1.0の組成の反応体を1400。C以上の温度に加熱して得られ,1500℃以上の温度ではパイPクロア構造のY2Ti20,と連続的に固溶する。
  • 関谷 忠, 山田 豊章, 林 宏, 野口 哲男
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1629-1636
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を溶融,急冷し,その冷却曲線から試料の凝固点を求め,ZrO,-Sc2O2-系の液相線を測定した。溶融急冷試料についてX線回折および偏光顕微鏡観察を行ない,生成相を調べた。正方型ZrO2固溶体は1200℃からすでに認められ,6~8mol%Sc2Q,組成の溶融急冷試料からは単--相が得られた。菱面体1相の単-相は12~14mol%Sc2O2-組成の溶融急冷試料から,菱面体III相の単-相は18~20mol%Sc2O2-組成の1700。C,5時間加熱試料および16~22mol%eSc2O2-組成の溶融急冷試料から得られた。溶融急冷試料におけるZrO2へのSc2O2-の固溶限界は45mol%Sc2O2-,Sc208へのZrO2の固溶限界は26mol%ZrO2であった。菱面体1相およびIr相を生成した溶融急冷試料について偏光顕微鏡観察を行なうと数種類の双晶が認められた。液相線の測定結果およびX線回折結果からZrOz-Sc2O2-系の相平衡図を推定した。
  • 坂口 武, 丹野 雅幸
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1637-1644
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    核酸塩基とアミノ酸,ペプチドを含む金属混合配位子錯体の生成を硬究した。これらの混合錯体の構き造を赤外吸収スペクトル,紫外可視吸収スペク玉ルなどの測定から単錯体の既知構造と対比して推定した。著者らの合成した単錯体および混合錯体はつぎのものである。語 Cu (Ade) 2* 4 H20, Cu (./I'deH)Cl2, Cu (AdeH)2Cl2. 3/2 H20, Zn (AdeH) Cl3, Cu (AdeH) GlyCl H20, Cu (AdeH) GlyGly H20, Cu (CyH)2Cl2, Zn (CyH) Cl H20, Cu (CyH)GlyGlyn HO (n=I, 2) , Zn (IsocyH)2Cl2, Cu (IsocyH) GlyGly 2 H20, Cu (Isocy)2Cl2. 2 H20これらの混合錯体における中心金属との結合部位について研究した。その結果銅(豆)イォンはプリン錯体の9-位の窒素N(9)に結合し,グリシンおよびグリシルグリシンとはアミノ基,カルポキシル基,ペプチド基で結合することを認めた。,ピリミジン錯体における配位部位は確定していないが,Cu-GlyGlyの結合状態が保存されたまま,ピリミジンのN(1)またはN(3)が結合に関与することが考え:られる。
  • 増田 嘉孝, 塩見 康, 三角 省三
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1645-1648
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリス(1,2-ジチオナト)クロム(III)錯体を合成し,錯体の組成を元素分析から,配位子の結合の性質を赤外吸収スペクトル,電子スペクトルの解析,ポーラログラフィーによって電荷移動反応を検討した。,元素分析値から得た錯体の組成はCr(S2C2C(C6H5)2)3である。この錯体の合成法は本文に記述する。赤外吸収スペクトルの結果はC=Sの伸縮振動がクロム(III)錯体では1165と1O2-0cm営1に示され,また摂動によるM-S伸縮振動が420,355cm-1に示された。磁化率の測定はクPム(0)錯体が反磁牲であることを示す。ポーラPtグラフィ,-には白金回転電極(直径1mm,回転数600rpm),アセトニトリルージクロロメタン混合溶媒(1:1),支持…壇(C2CH5)4NCIO,を用いた。得たポーラログラムは良好で,可逆性-電子還元で,その電極反応はである。電荷移動錯体と考えられ,電子スペクトルの結果もそれを示す。
  • 大久保 悌二, 越村 英雄
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1649-1652
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チオシアン酸イオンの存在で塩酸酸性溶液中で,過レニウム酸イオンを塩化スズ(III)によって還元すると,378nmに吸収極大をもつ榿色錯イオンが生成する。この錯陰イオンをテトラフェ三ルアルンニウム塩として沈殿させ,その組成を決定した。づ:この錯陰イオンおよびその中間生成物である2種類の錯陰イオンの赤外吸収スペクトルから,いずれもチオシアン酸配位子は窒素原子により,レニウムと結合していることがわかった。また緑黄色の中間生成錯体にっいてはレニウムと酸素の二重結合による赤外吸収が認められるが,榿赤色中間生成錯体資はこの吸収が認められず,二つの酸素は二つの核間の橋かけに使われているものと思われる。/,1これらの錯体の生成反応はつぎの三段階の反応によると推察される。
  • 藤永 太一郎, 竹中 亨, 室賀 照子
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1653-1657
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    號珀(コハク)は古代から装身具として用いられ,わが国においても遣跡や古墳から発掘されている。本研究においてはこれら発掘品の原産地の同定法の検討を行なった。資料は地質学的標準資料として,原産地の明らかな久慈,銚子,瑞浪,神戸のわが国主要産地0ものと比較のため撫順,バルティック,ニュージランド産出のものを,考古学的資料は京都府長池古填のもの2種と奈良県東大寺出古墳群のもの7種を用いた。融点測定を行なったが,発掘品をますべて3QO℃以上であり,完全に化石化していた。元素分析の結果はlC:耳:Oは久慈;33二52:4,銚子;91:142:4,瑞浪;184:3O2-:4,神戸;60:39:4とばらつきがあるが,東大寺山;22:32:4,長池;22:34:4とほぼ同様の比を示した。赤外吸収スペクトルは全波長領域にわたって産地特有のパターンを示した。とくに久慈産の褐色のものと黄色のもの,および撫順産の2種は同-のパターンが得られた竃これらの事実から,日本産號珀についても赤外吸収スペクトルによって産地の同定を行ないうることが判明した。東大寺幽12号古墳の6種および長池古墳の2種はいずれも同-の産地であり,久慈産のものと同定された。このことから古墳時代においてすでに東北地方と近畿地方の間で交易のあったことが推論される。
  • 四條 好雄
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1658-1661
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリドデシルエチルアンモニウム=プロミド(TDEA)のキシレン溶液による,スズ(N)-ピロカテコールバイオレヅト(PV)キレートの溶媒抽出について研究した。スズ(N)-PV-TDEA錯体はベンゼン,トルエン,キシレン,ニトロベンゼン,四塩化炭素,クロロホルム,酢酸π-ブチルなどの溶媒によく抽出されるがπ-ブタノールにはあまり抽出されない。有機相に抽出された錯体の吸収極大は581nmにあり,その吸光度は水相のpHが3.6付近において最大の値を示す。抽出が平衡に達するには10分のふりまぜ時間が必要であるが,これは水相におけるスズ(N)-PVキレートの生成速度がおそいためと考えられる。水相のpH3.6において,スズ(N)-PV-TDEA錯体のキシレンへの分配比は60.5である。錯体の吸光度はBeerの法則にしたがわないが,有機i相中のスズ(N)濃度2,97μ9/Sm4における,見かけのモル吸光係数は581nmにおいて7,3×10`cm-,,mor1,1である。抽出された錯体の組成を連続変化法で検討したところ,スズ(N):PV:TDEA=1:2:2の組成をもつ三元錯体であり, のようなイオン対を形成しているものと推定される。
  • -寸木 康夫, 中林 正光, 児玉 勝久, 角 正夫
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1662-1667
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールをフェニルインシアナートと反応させ末端水酸基をウレタン化したのち,2,6-ルチジン溶媒中でNHプロトン領域のNMRスペクトルを測定すると,ポリエーテルあるいはポリエステル鎖の末端にある第-級および第二級水酸基の分離定量ができることがわかった。また水酸基が芳香族インシアナ1-トと反応してウレタンになった場合,フェニルカルバモイルオキシ基の酸素原子に結合したメチンおよびメチレンがそれぞれ約90Hzおよび40Hz低磁場ヘシフトするので,これらのシグナルからも第-級および第二級水酸基の定量を行なうことができた。この方法によると,酸性触媒を用いて合成されたポリ(オキシプロピレン)グリコールの第-級水酸基含量は約40%であるが,アルカリ性触媒を使用した場合には第-級水酸基は観測されず末端はすべて第二級水酸基であった。さらにCAT-NMR法を用いて,ac-,級水酸基,第二級水酸基および二重結合を同時に測定した。その結果,合成に使用した触媒が酸性かあるいは塩基性かに関係なく,--般にポリエーテルポリオールの分子量が大きくなるにしたがって,二重結合の割合が増加することがわかった。
  • 脇 国男, 原口 充昭, 山下 忠孝
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1668-1672
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固相におけるヒドラゾジカルボンァミドの熱分解を研究した。熱特性はDTA,TGにより測定しジヒ。このものの初期分解は固相であり,分解生成物が増加するにつれて液相になる。全反応は吸熱反応であった。等温分解による分解生成物は熱分解ガスクロマトグラフィー,赤外吸収スペクトル,質量スペクトルによって分析した。おもなものはウラゾール,NH3で,他に少量の窒素,インシアン酸,-酸化炭素,ピウレヅト,セミカルバジド,尿素,インシアン酸アンモニウムを同定した。速度論的解析は発生ガスの容積と減圧下における圧力増加によるガス発生法から求めた。分解は自触性で,Prout-Tompkinsの式に適合した。見かけの活性化エネルギー,前指数項値はそれぞれ40.Okca1/m。1,3.3×10Usec-茎であった。分解過程は脱アンモニウムによるウラゾールの生成が主反応であった。副反応はラジカルによる反応機構に基づき考察した。
  • 今泉 文武, 森 寛
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1673-1676
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コバルト化合物とアルカリ金属からなる触媒系により,テトラヒドロフラン中ブタジエンの二量化により,3-メチルヘプター1,3,5-トリエン[2]が生成することを見いだした。[2]は,コバルトアセチルアセトナトとトリエチルアルミニウム触媒により得られる二量体,5-メチルヘプター1,3,6-トリエン[1]の異性体である。'1,反応生成物と反応時間の関係,すなわち反応初期[1]と[2]がほぼ等量程度生成するが,反応終了時には,[2]が主生成物となること,および本触媒により[1]が[2]へ異性化することの結果から,本触媒による二量化の機構は,最初[1]が生成し,ついで[1]の[2]への異性化によると推定した。また本触媒系は,[1]と同様の骨格構造を有するη-オクター1,3,6-トリエン,2,6-ジメチルオクター1,3,6-トリエンを,衛オクター2,4,6-トリエン,2,6-ジメチルオクター2,4,6-トリエンにそれぞれ異性化することを見いだした。
  • 今泉 文武, 安藤 直樹, 平柳 滋敏, 森 寛
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1677-1681
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    インプレンを三塩化ロジウムー酢酸ナトリウムートリフェニルポスフィン触媒を用いてアルコール溶媒中で反応すると,二重結合の-つが水素化されたCloH,8なる分子式を有する3種の直鎖のインプレン部分水素化二量体が得られることを見いだした。IRスペクトル,NMRスペクトル,質量分析などの測定により,二量体は2,3,5-トリメチルヘプター1,5-ジエン,2,3,6-トリメチルヘプター1,5-ジエン,および2,6-ジメチルオクター2,6-ジエンであると推定した。,反応生成物をくわしく調べ,出発物質から脱水素された生成物と水素化された生成物の量を測定したところ,両者間の水素移動量がほぼ等しく,ロジウム触媒によりアルコールが脱水素され,部分水素化二量体が生成したと推定した。本反応はジエンが水素受容体となり,接触的にアルコールが脱水素されていく薪しい反応である。
  • 武田 徳司, 池田 功, 安原 諭, 益山 新六
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1682-1685
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ハロオクタンとエチレンオキシドを,ジメチルアセトアミド中,ハロゲン化亜鉛存在下で反応させた結果,炭素-ハロゲン結合間にエチレンオキシドが挿入された2-ハロェトキシ誘導体が生成することを認めた。そのさい,酢酸オクチルの生成も認められた。1-ブ緯モオクタンとエチレンオキシドの反応について,反応条件の検討を行なった。エチレンオキシド挿入生成物の生成量は,反応温度(110~150℃),触媒量の影響をそれほど大きく受けないが,酢酸オクチルの生成量は,反応温度の上昇とともに,また触媒量の増加とともに顕著に増大した。溶媒量が少ない場合には反応はほとんど進行せず,-方,溶媒量が多い場合には酢酸オクチルの生成量が増大した.挿入生成物の生成量は溶媒量が1-プロモオクタンと等モル付近で極大を示した。酢酸オクチルは,1-ハロオクタンとジメチルアセトアミドとの反応によって生成されるものと思われる。本反応の溶媒としては,ほかにジメチルホルムアミド,N-メチルピロリドン,ヘキサメチルポスホルトリアミドなどが有効であった。
  • 涌井 正浩, 大辻 吉男, 井本 英二
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1686-1690
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジブロモマロン酸ジェチル[1]および1,3-ジフェニルー2,2-ジブロモプロパンー1,3-ジオン[13]と各種ナトリウムアルコキシドとの反応を検討した。[1]とナトリウムェトキシドとの反応では,ジェトキシマ惇ン酸ジェチル,炭酸ジェチル[2],ブロモホルム[3],ジブロモ酢酸エチル[4],プロモマロン酸ジェチル[5]などが主生成物として生成した。また,[1]と種々の1,2-ジオールのジナトリウムアルコキシドとの反応では,1,2-ジオールの炭酸エステルおよび[2],[3];[4],[5]などが主成物として生成した。さらに,[13]とナトリウムェトキシドの反応では,安息香酸エチル,マンデル酸[15],安息香酸[16]が主生成物として生成し,また,[13]とユ,2-ジオールのジナトリウムアルコキシドとの反応では,ジオールのジーおよびモノベンゾイルエステルおよび[15],[16]が主生成物として生成した。以上の結果から,[1]や[13]とアルコキシドィオンとの反応では,アルコキシドィオンがカルボニル炭素原子を攻撃する反応が主反応であり,臭素原子を置換する反応は副反応であることが明らかになった。
  • 宮本 了一, 向井 利夫
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1691-1696
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-メトキシビシクロ[3.2.O]ヘプター3,6-ジエンー2-オン系化合物[1]の熱による3-メトキシ異性体[2]への転位反応の機構を解明するために,5-位に大きな置換基を有する化合物を合成し,速度論的研究を行なった。この目的のため二っの5-インプロピルー1-メトキシビシクロ[3.2.0]ヘプタジエノン類[15]および[18]を相当するトロポン誘導体[13]および[17]の光照射で合成した。まず,この光反応で得られた知見を議論した。ついで[15]および[18]から3-メトキシ異性体[16]および,[19]への熱転位反応の速度論的研究を140℃から167℃,175℃から200℃の温度範囲で行なった。求められた活性化パラメーターを既存の[1]のそれと比較して,この転位の反応機構を論じた。
  • 大田 弘毅
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1697-1703
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サリチル酸一カリウム(SA-K)以外のヒド戸キシ安息香酸一アルカリ塩は,360℃でも安定で(1)式にしたがい,それぞれのニアルカリ塩に変わるだけであると報告されている。ところがミクロ熱分析法とUV分析で,P一ヒドロキシ安息香酸一ナトリウム(POB-Na)およびPOB-Naから生成するP一ヒドPtキシ安怠香酸ニナトリウム(POB-Na2)の熱挙動を検討したところ・CO2雰囲気中では300~350。Cで,サリチル酸(SA)と4一ヒドPtキシイソフタル酸(4-OIP)を生成し,N2雰囲気中でも,400。C以上の高温ではSA,4-OIPを生成することが認められた。さらに,4-OIPの熱挙動も調べたが,それらの結果から,N2中ではおもに(2)式の反応が,(2)CO2時では(3)式の反応が起こり,毒加圧時では,4-OIPナトリウム塩と石炭酸およびそのナトリウム塩との反応が起こることも認められた。
  • 奈良 賢一, 真鍋 修
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1704-1707
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    モノアルキルアミン中で芳香族スルホン酸塩とナトリウムアミドとの反応による芳香族アルキルアミノ化を検討した。その結果,芳香族スルホン酸塩と3倍モルのナトリウムアミドをモノアルキルアミン中140~170。Cで反応させると,アルキルアリールアミンと芳香族第-アミンがほぼ8:2~9:1の重量比で生成した。アルキルアリールアミンの収率は約60~90%であった。温度,試薬濃度などの反応,条件を検討した結果,この反応は(1)~(3)式で表わされ,高温で大過剰のナトリウムアミドを使用した場合には(4)式によりジアルキルァミジも購に生成した。また,最初110。C以下の温度で(1)式の反応によりナトリウムアルキルアミドを製し,つぎにこれと芳香族スルポン酸塩とをモノアルキルアミン中140~160℃で反応させるという二段階法により,アルキルアゾールアミンが選択的に高収率で得られた。
  • 毛海 敬, 橋尾 一, 前川 裕三, 大島 好文
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1708-1711
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-および3-メチルジベンゾフランのFriede1-Craftsベンゾィル化反応における配向性を調べた。2-メチルジベンゾフラン,塩化ベンゾイル,塩化アルミニウムをモル比1:1.5:1.5,ニトロベンゼン中,室温,1時間の反応で,8-ベンゾイル体51.2%,7-ベンゾイル体3.0%,3-ベンゾイル体3,0%を得た。同-反応条件で3-メチルジベンゾフ9ンから2-ベンゾィル体56.5%,8-ベンゾイル体2,6%,7-ベンゾィル体3.2%を得た。それらの構造はすべて合成的に決定した。また,3-メチルジベンゾフランのベンゾイル化反応では溶媒効果を調ぺ,反応溶媒として四塩化エタンを用いると2-位が選択的にベンゾイル化されることを見いだした。
  • 好野 則夫, 相馬 雅明, 好野 雄
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1712-1715
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハフニウムテトラインプロポキシドおよびそのインプロピルアルコール付加物と塩化アセチルおよび塩化水素との反応を研究し,つぎの新化合物を得た。 HfCl(0/Pr) 8 PrOH ; HfCl20113O2-./PrOH ; HfCl3 (0/Pr) /PrOH ; HfCl4.2 tPrOHHfCl2(O`Pr)2,tprOHおよびHfCls(Otpr),2tprOHとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)との反応では対応する1:1付加物[HfCI2(Oipr)2,DMFおよびHfCl3(Otpr),DMF]を得た。-方,HfCl(OtPr)3,tPrOHとDMFとの反応では,単なる付加物を与えるのではなく,不均化反応を起こして,HfCl2(Otpr)2。DMFなる付加物を得た。HfCls,2tprOHはDMFと反応して,HfCI,,2DMFを与えた。IRスペクトルでは,得られた付加物はす球てカルボニル基の吸収が原料のDMFよりも低波数側ヘシフトとしていることが観察された。
  • 佐野 公彦, 小玉 博英, 松田 治和, 松田 住雄
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1716-1723
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン中で1,2-エポキシ=オクタンのGrignard反応を行なった。反応初期のようすをNMRスペクトルで観察し,反応途中に動力学的考察を加え,また生成物の分布を検討トて反応過程について考察した。ROMgX型化合物などの関与が存在するため理論的な2次あるいは3次反応式との完全な-致は得られなかったが,エポキシドの転化率の低い場合(38~50%)にはGrignard試薬が会合体では3分子2次,単量体では3分子3次反応であると推察し,その機構について考察した。またこの相違は生成物分布の異なることからも推察され,生成物分布を決定するのはGrignard試薬の会合度であることがわかった。エポキシドのGrignard反応におけるアルコール生成の副過程であるブPtモオクタノールとGri-gnard試薬との反応では,Grignard試薬が単量体であっても濃度によって生成物分布が異なり,この場合は濃度による反応機構の差が観察された。
  • 村田 守康, 荒井 明彦
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1724-1730
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    洗剤の重要なビルダーとして用いられているトリ,ポリリン酸ナトリウム(STPP)の代替物質を探索するため,さまざまな種類の有機系化合物の溶液物性と洗剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム20%;STPPあるいは=有機系化合物(STPP代替ビルダー)20%;ケイ酸ナトリウム5%;Na2CO33%;Na2SO442%;水10%)の溶液物性あるいは洗浄力の関係を検討した。洗剤につい℃は,可溶化能(Xi),臨界ミセル濃度(瓦),RH(X,),分散能(瓦),カルシウムイオン捕捉龍(瓦),緩衝能(X6)およびさまざまな洗浄条件におげる洗浄力(D)を測定した。またビルダーについても,,Xs,x4,x5およびx6を測定した(xは洗剤のXにそれぞれ対応するビルダ,--の溶液物性)。X1,X2,X3および瓦はそれぞれ対応するxの影響を受けなかった。-方,X5=aXs+bおよびX6=c,/+dなる関係が明らかとなった(a,b,cおよびdは定数)。ゆえに,-定の洗浄条件におけるDOCXs,,Dcc~/魂なる関係は,STPP代替ビルター-に必要な物性がカルシウムイオン捕捉能と緩衝能であることを示唆している,コンピューターによるクラスター分析によって,前に述べた関係がいろいろの洗浄条件でも成立する傾向にあること,STPP代替ビルダーとしては,キレート性化合物と高分子電解質が低分子量の有機カルボン酸塩と非解離性水溶性高分子よりすぐれていることが明らかとなった。
  • 桑村 常彦, 高橋 秀男, 大島 正敬
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1731-1735
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ペルフルオロプロピルアルカノールへ酸触媒によりエチレンオキシドを重付加させて,表題のポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤,n-CsF,(CH2)mO(C2CH,O)nH(m:5,7,11)(以下3Fと略記する)を合成した。これと等しいかまたは近い疎水部炭素数の直鎖炭化水素系(以下HCと略記する)およびtU--トリ!チルシリ,ルアルカン系(以下1Siと略記する)の非イオン界面活性剤を3Fと同様な条件のエチレンオキシド付加で合成し,これら3系列について二三の物理化学的性質を比較した。13Fの曇り点は,同程度の鎖長のポリオキシエチレン基を含むHCおよび1Siのそれらよりもかなり低い。23FのCMC値はメチレン鎖長(m)のもっとも短い場合にHCのそれよりいちじるしく低いが,mの増加とともにHCや1Siの値に漸近する。3水溶液の最低表面張力値(γcMc)はHC1Si3Fの順に低下する。3FのγcMcはmの増加にともないむしろ増大する。4湿潤力(キャンパスジスク沈下法)はHC1Si≦3Fの順に高くなる。以上の結果とtO,-ペルフルオFプPtピルアルカンスルホン酸塩についての前報2の結果を対比さ母,界面活性剤の諸性質におよぼす炭化水素鎖末端部の部分フヅ素置換の効果について考察した。
  • 橋本 静信, 藤井 宏紀
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1736-1739
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ニトロナフタレンの硫化ナトリウム還元における生成物を薄層クロマトグラフィーにより分離し,12種類のスポットを得た。さらにこれらの化合物のうち,単離が可能なものについて構造決定を行なった結果,副反応生成物としてビス1-アミノナフチルー(2)ポリスルフィド類(5種類)と少量の構造不明の化合物(4種類)が生成しており,ぜス1-アミノナフチルー(2)コポリスルフィド類は副反応生成物の大部分を占めていることを認めた。,さらにビスー[1-アミノナフチルー(2)]ポリスルフィド類は,反応の進行とともにピスー[1-アミノナフチル(2)]ジスルフィドになってゆき,最終的にはこのもののみになることを認めた。薄層クロマトグラム上においては,副反応生成物としてピスー[1儒アミノナフチ!レー(2)]ポリスルフィド類の生成を認めたが,硫化ナトリウム溶液中ではアミノチオナフトールの形で存在していることが認められた,さらセここれらの副反牲成物は,多硫化ナトリウムによる還元の場合に少なくなることを認めた。
  • 岸本 孝夫, 松原 義治
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1740-1743
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ノポール(2-ピネンー10-メタノール)[1],インボルネオール[2]などの二環テルペンアルコールに無水酢酸,パラホルムアルデヒドを加えて酢酸ナトリウムの存在下,加熱しながら,かきまぜるといずれのテルペンアルコールからもテルペニルアセトアセテート[1a],[2a]が主生成物として得られ,そのさい,新化合物としてテルペニルージオキシメチレンーアセトアセテート[1b],[2b],テルペニルートリオキシメチレンーアセトアセテート[1c],[2c]の副生することを見いだした。これらの反応生成物の構造は定数,エステル交換反応およびIR,NMR,MSスペクトルの測定結果から決定した。パラホルムアルデヒドに対する混合物としての収率は[1]からは55%,2からは50%である。
  • 安部 郁夫, 古賀 城-, 黒木 宣彦
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1744-1750
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    タンパク質および界面活性剤ミセル内の疎水性領域の研究のための新しい環境指示薬を得る目的で,10種類の4-メチルー7-置換アミノクマリンのケイ光を種々の溶媒中で測定した。その結果アミノ基がアニリノ,ジエチルアミノおよびモルホリノの場合,これらのクマリン誘導体のケイ光は溶媒の極性に応じていちじるしく変化し,環境指示薬として利用できることがわかった。これに対し,-級およびミニ級のアルキルアミノクマリンの場合は変化が小さく不適当であった。4-メチルー7-アニリノクvリン(MAC)はとくに水中では極端に弱いケィ光を示すが,極性の小さな溶媒,とくに誘電率が20以下の溶媒中ではケィ光量子収率の増大がいちじるしく,ケィ光極大に高波数側に大きく移動した。また極大波数は溶媒の極性とよい相関関係にあった。MACのケイ光をヒトおよびウシ血清アルブミン(HSA,BSA)水溶液中で測定し,さきのケィ光の溶媒効果の実験結果と照合すると,HSAおよびBSAに対 ぴ ららするMACの結合座席はHSAにっいては誘電率にして7~JO,BSAでは6~9と非常に高い疎水性であることがわかった。またクマリン誘導体のアミノ基に順次大きなアルキル基を導入すると,BSA分子内の疎水性のより高い領域と結合するようになることがわかった。
  • 溝口 勝大, 北島 義正, 梶浦 貞夫, 土田 英俊, 篠原 功
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1751-1757
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ピペラジニウム環を主鎖に含む次式で示される-連のポリカチオンの7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(CQ)塩の中で,とくにPiX-CQ,Pi3-CQおよびPi5-CQのcomplexsaltがいちじるしく低卦比抵抗(p)値,22,30,60Ω,cmを示すことを見いだした。電導性とイオン席間隔の相関から,ピ苓ラジニウム環は,ポリカチオン,マトリックスに対する中性CQ分子(CQO)やCQアニオンラジカル分子CQうの配列に寄与して,移動度の増大効果をもたらすと推測される。イオン席間のメチレン鎖数5~6までこの効果が発現するが,8以上では消滅する。
  • 平田 光男, 岡野 豊, 岩井 信次
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1758-1761
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸メチル(MMA)-N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(MAM)共重合体(MMA/MAM=o.9510.05モル比)の収着過程を流動電位から求まるζポテンシャルの経時的減少過程から追求した。二速度定数のArrheniusプロヅトから得た収着の活性化エネルギーは4町=-16.6kcal/mol(TTg),4E舞=6.83kca1/m。1(TTg)である。ここにTgは共重合体のガラス転移点(46,2℃)である。鑑以下の収着が瑠の大きな負値から考えて,強い水和反応として進行することが明らか'である。収着実験から直接得られる拡散定数のArrheniusプロヅトから,AE塗(TTg)は1.55kcal/molであつた。また収着量は普通の疎水性高分子の収着量の5~10倍であった。大きな収着量と琢お函,やちび4E量の小さな正値は水の可塑化によるものと考えられる。
  • 豊岡 豊, 井本 立也
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1762-1767
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    スチレンの連続乳化重合をSmithらの考えを基礎にして,重合スタート時から定常状態にいたるまでの非定常領域での重合率,重合体粒子数,平均重合度などの時間変化を定量的に表現した。非定常領域の数平均重合度,および重量平均重合度の経時変化はKatzらの提出したモーメント法を用いて表現した。定常状態での重合度分布は井本らのμ-モデルを用いることにより表現可能となった。最後に,-段槽型反応器を用いて反応温度60。Cでスチレンの連続重合実験を行なった。その結果,本論文に提出したモデルが妥当であると結論できた。
  • 土田 英俊, 西出 宏之, 大河 哲, 栗村 芳実
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1768-1770
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    cis+[Co(III)(en),QpVPCI]Cl2,cis-[Co(III)(en),PVPCl]Cl2,cis-[Co(III)(en)2PyCl]Cl2QpVP:部分四級化ポリ(ビニルピリジン),PVP:ポリ(ビニルピリジン),Py:ピリジンの各錯体と,硫酸鉄(III)または鉄(III)EDTA2"'間の電子移動反応を行ない,速度定数および活性化パラメーターを求めた。FeSO4による還元原応では,各高分子錯体の反応性はPy錯体とほとんど同じであった。FeEDTA2-のとの反応では,速度定数はQPVP錯体PVP錯体Py錯体の順となり,とくに配位度,四級化率の高い高分子錯体ほど反応性は大きい。これはFeEDTA2-の高分子錯体domainへの静電的引きつけ効果により,domilin中の還元剤濃度が高くなったためであり,QpVP錯体ではQpVP鎖中のピリジニウムカチオンにより,反応はさらに加速されたと考えられる。この高分子錯体の静電場効果について,活性化パラメーターや錯体の粘度挙動と関連させて議論した。
  • Takamasa NONAKA, Hiroaki EGAWA
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1771-1776
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル(PAN)をポリエチレンポリアミンと無触媒高温下で加熱反応させて水溶牲高分子を合成し,カチオン性凝集剤としてのカオリン懸濁液に対する凝集効果を検討した。凝集効果はジャーテストによる上澄液の懸濁質濃度と沈降管による沈降速度と沈降容積について測定した。PANをポリエチレンポリアミンと反応させる場合の反応温度,時間,溶媒量およびアミン濃度が,得られた反応生成物の凝集効果に大きく影響することが認められた。PANO,59をジメチルホルムァミド(40~60ml)に溶解しポリエチレンポリアミンをニトリル基に対して1~3倍モル使用して130~150℃で3~5時間反応させた場合に良好な凝集剤が得られた。得られたカチオン性高分子は赤外吸収スペクトルと元素分析の結果から第-アミド,第ニアミド,イミダゾリン環および未反応のニトリル基をもつことが推定された。ジェチレントリアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミンをPANと最適条件で反応させて得られたものはその清澄効果にほとんど差は認められなかった。沈降速度はカ=オリンに対する使用量がo,016%で最高速度7,2cm/minを示した。
  • 鍵谷 勤, 横山 憲夫, 上野 徹
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1777-1781
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    乳化重合法で製造したポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)を加熱すると390。C以上で分解することが観測された。空気中でγ線を照射したPTFEは,250℃以上で-部分解し,高温度ほどはげしく分解する。300℃では-部分解するが,長時間加熱しても分解率は-定値を超えない。390℃以上では,熱分解率は加熱時間とともに増大する。また高線量の照射を行なったものほど熱分解率も大きい。γ線の照射により融点の低下は観測されたが,被照射PTFEを加熱しても融点は変わらなかった。γ線照射および照射後加熱したPTFEの構造は,未照射PTFEのそれと同じであった。γ線を照射したPTFEの加熱時に発生する気体は,おもにCO,やCOなどであった。ESRによって,常温では安定なペルオキシラジカルが観測されたが,加熱により減衰し,250。Cでは消滅した。γ線を照射したPTFEを200℃以上の温度で加熱すると,390。Cにおける加熱のさいの熱分解率はいちじるしく減少した。これらのことから,空気中でPTFEにγ線を照射すると,ポリマー-ラジカルが生成し,加熱すると,見かけ上,主鎖切断やIR溝造の変化をともなわずに,CO2やCOの生成を経て,再結合で消滅すると考えた。
  • 宮田 奈美子, 坂田 功, 千手 諒-
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1782-1788
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    分子鎖が剛直で,溶液中でのその広がりの大きいヒドロキシエチルセルロースにアクリルアミド(AM)をグラフトさせ,分別して水溶性のグラフト共重合体を調製した。この共重合体のカオリン懸濁液に対する凝集能および分子の広がりと関係のある極限粘度[η](同-分子量で比較)について,汎用高分子凝集荊であるポリAM(PAM)のそれらと比較検討した。1グラフト共重合体の枝PAMの数が少数(1~3)のとき,凝集能は枝の数によってはほとんど影響されない。2凝集能におよぼすpHおよび温度の影響は,PAMより共重合体の方が少ない。3共重合体の凝集能は枝PAMの分子量の増加とともに向上し,グラフト率よりも分子量依存性が大きい。このことは,従来凝集能がグラフト率の増加とともに大になるといわれていたことと異なる。4枝PAMの分子量がPAMのそれと同じであれば,凝集能は共重合体の方がPAMより大きい。5グラフト共重合体は同じ分子量のPAMにくらべて,その[η]が大きく,溶液中での分子の広がりも大きいと思われる。このことが橋かけによる懸濁粒子の凝集を容易にし,共重合体がPAMにくらべて,高い凝集能を示した原因の-つであろう。
  • 亀山 栄-, 猪熊 精-, 赤川 章, 桑村 常彦
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1789-1794
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α-オレフィンオキシドを利用する長鎖アミンィミドRCH(oH)cH2-NMe2NcoR嘱Aの合成とその界面活性剤としての諸性質を検討した。N-アルキルジメチルアミンアシルイミド(B)の合成にくらべ,α-オレフィンオキシド,1,1-ジメチルヒドラジンおよび脂肪酸エステルからのSlage1法sによるAの合成は反応操作が簡易で,高収率で目的物を与えることを確認し,R=H~n-C",R'=C,~n-CiSの試料9種を得た。AはBと同様に多くの点で非イオン界面活性荊としての挙動を示すことが観察され,とくに大部分の.A試料が100℃以下の曇り点を示した。AはBにくらべ,融点およびクラ7ト点はわずかに高いが水溶性大でCMCも大きい。また表面張力低下能はきわめて大きく,湿潤九乳化九可溶化力(対ペンゼン)にすぐれている。熱および光に対してAはBよりいちじるしく安定である。
  • 小森 正樹, 浦野 紘平, 中井 敏博
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1795-1799
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2種類の粒状活性炭に討する13種類の安息香酸置換体水溶液の平衡吸着量と吸着速度を測定し,置換基の種類や位置による吸着性の相違を検討した。平衡吸着量はFreundlich式で整理できた。また活性炭の種類によらず,メタ置換体では。溶解度が特異的に小さいインフタル酸を除いて,吸着量が溶解し度の減少にともなって増加し,Traube則が成立した。しかし,オルト置i換体では,Traube則が適合せず,置換基による吸着量の順序は測定濃度の飽和濃度に対する比がO,01~0。1および0,1~11の範囲でそれぞれつぎのようであった。 NH2H*CH3ClOHNO2C0OH ClCH3-4HNH2OHNO2C0OHオルト置換体の特異性は,いわゆるオルト効果が吸着性に複雑に影響するためと考えられたが,いずれの場合も活性基が直接活性炭に吸着しているのではなく,ベンゼン環が吸着しているもp考えられた。吸着速度は,低濃度では置換基の種類や位置による差が小さいが,高濃度になるほどオルト置換体の吸着速度がはやくなることが認められ,オルト置換体はメタ置換体より水中での水和有効分子径が小さくなっていると考えられた。
  • 野島 秀元
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1800-1801
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Owing to the similarity of the chemical properties, sulfur usually contains a small amount of selenium as an impurity. We attempted to concentrate selenium in sulfur by zone melting. Since the phase diagram reported by Ringer shows that the equilibrium distribution coefficient of selenium in sulfur is smaller than unity at the concentration of selenium up to about 60%, it is expected that selenium migrates with the molten zone. The experiments were carried out with sulfur samples containing various amounts of selenium. After passage of 20-40 zones at the travel rate of 0.73 cm/hr, no difference in the selenium concentration determined by Cheng's method was observed in the samples. For the purpose of making clear the reason why no segregation occured, the effective distribution coefficient at the selenium concentration of 1% was determined by Sue's method to be 1.15, which is unfavorable for the separation of selenium from sulfur.
  • 山辺 常吉, 伊香輪 恒男, 上原 勝, 鈴木 貞碓
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1802-1803
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Hydrogenation of ethylene was investigated over a Pd-on-SiO2-Al2O2- catalyst. With repeated reactions, the apparent activation energy increased from 3 to 5 kcal/mol while the catalytic activity gradually decreased to a low steady value. For the catalyst with the steady activity, the rate of hydrogenasion was first order in hydrogen pressure and slightly negative order in ethylene. The catalyst pretreated with ethylene exhibited the low steady activity from the beginning of the reaction, but the activity of this ethylene-pretreated catalyst was recovered by an oxygen treatment to a level of the initial activity of the untreated catalyst. It is very likely that the irreversible adsorption of ethylene was responsible for the gradual, decrease in the catalytic activity during the repeated reactions.
  • 田中 啓-
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1804-1807
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The interaction of lanthanum (111) ion with gelatin was studied by means of equilibrium dialysis and electrophoresis. Carboxyl groups of gelatin were blocked chemically by methylation and amino groups by acetylation, respectively. Fquilibrium dialyses of original and modified gelatins against lantha- num (111) ion at pH 6.0 showed that lanthanum (ll) ion was bound to carboxylate group of gelatin. Electrophoreses of original and modified gelatins with added lanthanum OH ion suggested that lanthanum (J11) ion was bound mainly to carboxylate groups of original and acetylated gelatins. An approximate value of the association constant, log km, between lantha- num (III) ion and carboxylate group in O.O2-5 mol// acetate buffer solution was calculated to be 2.6 by assuming one to one interaction. The polarography of lead (II) ion in gelatin solutin containing lanthanum 010 ion showed that lanthanum 010 ion replaced lead 01 ion bound to gelatin. Since the latter ion is known to combine with carboxylate group (log km=1.6-2.4), this observation confirmed the above results.
  • 奈良 賢-, 真鍋 修
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1808-1810
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The arylaminations of aromatic sulfonates (sodium mono- or disulfonate of benzene, toluene, naphthalene and sodium metanilate) with sodium amide in aromatic primary amines (aniline, p-toluidine, 1-naphthylamine, p-anisidine and p-phenetidine) were studied. Corresponding diarylamines were obtained in good yields by the reaction of aromatic sulfonates with three-fold over moles of sodium amide in aromatic primary amines at temperatures of 185°C to 230°C. These aminations seem to be expressed by the equations ( 1 ) and ( 2 ). In these arylaminations, the formation of aromatic primary amines by the reaction of aromatic sulfonates with sodium amide was not observed.
  • 相馬 勲, 小塚 幸-
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1811-1813
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The pyrolysis of iron phthalocyanine (Fe-Pc) was studied in Ar gas up to 1000°C. The pyrolysis pattern of Fe-Pc was analogous to that of Co-Pc, but Fe-Pc was less thermo-stable than Co-Pc. On DTA, Fe-Pc showed endo-thermic reactions at 615, 645 and 690°C, and exothermic reaction at 770°C. In these, the endo-thermic reaction at 690°C was a new appearance that was not observed on Cu-Pc, Co-Pc or Ni-Pc, but the cause of this endo-thermic reaction was not clear. It seems that the iron in Fe-Pc promotes the growth of carbon structures of pyrolyzed Fe-Pc.
  • 杉本 晃, 古山 静夫, 井上 博夫, 井本 英二
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1814-1815
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The photocurrents of 3 H-phenothiazine-3-one C/ a, 3 H-phenoxazine-3-one Cl 151 2-hydroxyphenazine C/ cp, 5 H-benzo[ a ]phenothiazine-5-one C2C a, 5 H-benzo[ a ]phenoxazine-5-one C2C ID, and 5-hydroxybenzo a jphenazine C2C c are measured by illuminating their "surface-type" cells with a white light under nitrogen at room temperature (Table 1). In all cases, the relationship between the photocurrents (ip) and the light intensities (I) is expressed by the following equation; ipoc/°. ".9 (Fig.1). The magnitude of the photocurrents becomes lower in the following order; Cl a Cl b C2C a C2C bp C/ cp C2C cj. The change of the hetero, atom from S to 0 affects scarcely the magnitude of the photocurrents. The existence of oxygen in the conductive system results in the lowering of the photocurrents.
  • 加藤 俊作, 久保 隆昌, 木村 裕
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1816-1818
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The present investigation was undertaken, as a part of the programme concerning with the renovation of kraft pulp waste water, to remove colored constituents (mainly lignin) in the coustic extraction liquor of bleached pulp by lime treatment and to make clear the effect of activated sludge treatment on lime treatment. Lime treatment of the caustic extraction liquor resulted in about 70% reduction in lignin. The lignin removal by lime treatment of the effluent treated with activated sludge became about 10% higher than that of untreated one. The COD components, showing no absorption at 280 nm, were almost removed by activated sludge treatment. Addition of seed crystals to the carbonation tank was effective for decreasing the SS in the effluent from the settling tank of calcium carbonate and the SS became about 80 ppm when the original SS in the carbonation tank was more than 15000.
  • 広田 鋼蔵, 吉住 治夫, 立川 泰彦
    1974 年 1974 巻 9 号 p. 1819-1820
    発行日: 1974/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    最近,原子力の平和利用に関連して放射性クリプトンKr-85の空気への混入が問題となってきた。その防止対策に各種の捕集または濃縮分離法が提案され,そのあるものは実施されだした。熱拡散法はその-つとなり得るが,-般には話題にもされていない。その理由は,所期の目的達成に時間がかかりすぎる,熱効率がいちじるしく低いなどがあげられている。著者の-人は以前から本法の適用を各種の気体や液体に試み,酸素同位体O-18の濃縮にも成功した。その経験に基づき,熱拡散法による全クリプトンを混入空気から分離する能力の検討の目的で,Kr-N2系に関する研究を行なった。実験条件は研究目的を考えて,実行容易な1atmの系を用い,分離管も比較的に短いものを用いた。
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