日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1978 巻, 2 号
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  • 伊藤 福蔵, 佐藤 実
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    三リン酸ナトリウムNa5P3O10は鎖状メタリン酸ナトリウムと同様に非化学量論組成の酸化鉄の保磁力をいちじるしく増大する。Na5P3O10処理に基づく最大の保磁力は減圧気中で熱処理温度120℃付近において得られた。保磁力の異常増大はNa5P3O10により生ずるもので,その加水分解生成物によるものではなかった。Na5P3O10・6H2Oも保磁力を増大するが,その結晶水は保磁力の増大には関与しないことが示された。
  • 宮川 龍次, 山口 達明
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビス(ジメチルグリオキシマト)ピリジンコバルト(II)錯体(ピリジンコバロキシム)によるシクロペンタジエン(CPD)のシクロペソテン(CPE)への均一接触水素化を,種々溶媒中,常圧水素雰囲気下50℃で行なった。これらの条件下において,CPEは転化率100%においても高選択率(100%)で得られた。
    メタノール中における速度論的検討により,図式1に示す水素化機構が得られ,図式1における各定数はk1'=1.49min-1,k2=15.551・mol-1・min-1,K2=6.41l・mol-1およびK1'=0.33と計算できた。過剰のCPDは,ピリジンコバロキシムとπ錯体を形成することにより水素化速度を減少させ,この場合,律速段階は式(3)から水素吸収過程,式(2)に移行することが明らかとなった。さらに,重水素標識法による検討から,本水素化はCPDに対して1,4-付加することにより進行することがわかった。
  • 村上 雄一, 田中 邦彦
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    数種の銀触媒上で,スチレンの酸化反応がエチレンの酸化反応と比較されながら,パルス法によって研究された。スチレン-空気パルス反応の後で空気を注入するとCO2が生成した。これはスチレンの酸化反応のさい,触媒上にかなりの量の吸着残留物が生じることを示している。この残留物量が多ければ多いほど,流通反応における活性は低かった。エチレンの酸化においてはこの吸着残留物がほとんどなく,前報で報告したスチレンとエチレンの酸化活性の間の相関性の欠除は,この相違によって説明される。一方,還元触媒上にスチレンはエチレンと同様吸着しない。また還元触媒上にスチレンオキシドを注入するとスチレンとCO2を生じ,エチレンオキシドからエチレンとCO2を生ずるのと似ている。空気を注入しつぎにスチレン(あるいはエチレン)を注入するまでの間隔を変えて実験を行なうと,スチレン,エチレンとも30秒で転化率がほぼ0になった。これらの事実は,スチレンの酸化とエチレンの酸化が類似の反応機構で進行し,有効な触媒表面酸素が共通であることを示唆している。
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 橋本 甲四郎
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 170-174
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガラス繊維紡糸時に二塩化ジメチルスズガスを接触させ,ガラス繊維表面を酸化スズ膜でおおう乾式表面処理を行なった。そして有効な表面処理であることが判明した。この方法はガラス繊維紡糸を妨げなかった。酸化スズ表面処理をしたガラス繊維は無処理繊維にくらべ引っ張り強さが最大14%(20kg/mm2)増大した。
    酸化スズ表面処理をしたAガラス繊維は耐水性が約48%(80℃,24時間)向上した。
    酸化スズ表面処理をしたAガラス繊維は耐酸性を約35%(80℃,24時間,0.1NHCl)向上した。
    酸化スズ表面処理したAガラス繊維は緩い条件(低濃度アルカリか低温度)では耐アルカリ性を示した。
  • 潮 真澄, 住吉 義博
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    黒リン単結晶を,温度840~1760℃,圧力4~10kbar,時間3~10分の条件下で処理し,その後その融液を冷却・固化することにより合成した。高温加圧処理にはピストン・シリンダー型高圧装置を用い,また出発原料に大体5μm程度の大きさの赤リンを用いた。カーボン発熱体(直径6.2mm,長さ20mm)に出発原料を充てんした。温度測定のとき,大体800℃以下では白金-白金13%ロジウム熱電対を用い,それ以上では温度-入力電力曲線を利用した。黒リンが生成すると,その導電性のために入力電力が急激に変化した。
    本研究で得られた概略のリンの安定領域はつぎのとおりである。
    赤リンは,6kbarでは大体700℃以下,10kbarでは500℃以下で安定であった。黒リン(粉末状)は,赤リンからの固相反応の結果として,6kbarでは720~900℃,10kbarでは550~1000℃程度の温度範囲内で生成した。また生成黒リンの大きさは大体5μmであった。液相領域は,6kbarでは大体900~1400℃,10kbarでは1050~1600℃程度の温度範囲内で認められた。一方,気相領域が,6kbarでは大体1500℃以上,10kbarでは大体1700℃以上で,また3kbarでは大体700℃以上で認められた。
    黒リン単結晶の最大のものは4.5×2.0×0.23mmであり,金属光沢を有し,〈100〉がよく発達していた。光学顕微鏡で表面観察をすると,C軸に垂直な面上に円型の成長丘が認められた。その最大のものは大体3.5μmであり,平均1μm程度であった。X線回折結巣から,黒リン単結晶の結晶性は良好であった。
  • 楯 功, 大石 修治, 小林 壮
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    MgWO4KCl2成分系高温溶液からMgWO4針状結晶の生成諸条件を検討した。
    針状結晶は,あらかじめ固体反応で得られたMgWO4とKClからなる調合物を最高温度900あるいは1000℃で5時間保持したのち,5°C/hrの冷却速度で約500℃まで徐冷することにより合成された。
    つぎの結果が得られた。
    (1)最高保持温度900℃,溶質含有量1~15mol%および最高保持温度1000℃,溶質含有量2.5~15mol%において,MgWO4針状結晶が生成することを見いだした。
    (2)MgWO4針状結晶は最大の長さ約5.7mm,最大の径約20μであり,その伸長方向は<100>と考えられる。針状結晶は四角柱状であり,絹糸状光沢を有し,その表面はなめらかであった。
    (3)MgWO4針状結晶の長さと溶質含有量との関係は,近似的にWeimarnの理論を満足していると考えられる。
  • 引地 康夫, 福尾 券一, 塩川 二朗
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 186-189
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化イットリウム水溶液とオルトリン酸またはオルトリン酸塩の水溶液とを混合した溶液から,50℃以上で沈澱法によってゼノタイム(正方晶系YPO4)を合成した。50℃のとき,pHがo.8~2.9の混合溶液から結晶性のワインシェンカイト(単斜晶系YPO4・2H2O)が,pHが3以上の混合溶液から非結晶のリン酸塩が初めに沈殿した。pHが0.5の混合溶液からは,50℃のとき沈殿を生成しなかった。ワインシェンカイトは50℃で安定であったが,非結晶のリン酸塩は熟成によって徐々に結晶化し,pH3.7の混合溶液内では5日間で,pH5.0の溶液内では28日間でゼノタイムになった。90℃のとき,結晶性のゼノタイムはpHO.5の混合溶液から沈殿生成した。また,90℃でワインシェンカイトをpH0.8~2.9の溶液中で,または非結晶リン酸塩をpH3以上の溶液中で熟成してもゼノタイムが得むくきられた。合成ゼノタイムの格子定数はa=b=6.893Å,c=6.026Åであった。
  • 増田 嘉孝, 中森 俊夫, 関戸 榮一
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 190-198
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸緩衝液中でCdHL3-,CdH2L2-によって生じる非可逆なポーラログラフ波を中心にpH,錯化剤の影響を検討し,電極反応機構および速度論的パラメーターを得た。
    金属過剰下では,電流滴定の結果から,つぎの反応に基づいて第一波が現われることがわかった。
    Cd2L2- ; H+ Cd2HL- → Cd2+ CdHL3-(速い)
    Cd2+ + 2e Hg → Cd (Hg)
    配位子過剰下では,pHの2領域において,錯体種の違いにより電極反応に相違がみられる。得られた電極反応は
    3.55lt;pH lt; 5.0 : CdH2L2- + H+ + 2 e + Hg Cd(Hg) + H3L3-
    5.2lt;pHlt;6.1 : CdHL3- + H+ +2e + Hg Cd(Hg) + H2L4-
    25℃におけるKe(電極反応速度定数)はそれぞれ,3.7×10-3cm/sと1.6×10-5cm/sであった。
    M:L=1:1ではCd(II)-ttha錯体の解離によるCd(II)の生成が律速となる反応電流を示す。
    CdH2L2- Cd2+ + H2L4-
    この解離反応の速度定数は3.2×103s-1であった。
  • 増田 嘉孝, 中森 俊夫, 関戸 榮一
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ユウロピウム(III)-トリエチレンテトラミンヘキサアセタト錯体(Eu(III)-ttha錯体)がもたらす可逆波を取り扱い,その電極反応機構を考察し,併わせてpH滴定法によって得たEu(III)-ttha錯体の安定度定数を用いて,Eu(II)錯体の安定度定数を算出した。EuL33-,EuHL2-,EuH2L-,錯イオン種の存在が推定される(L=ttha6-)。そのEu(III)-ttha錯体の安定度定数がpH滴定曲線にMartell方法の取り扱いの適用により決定され,logKEu(III)L=23.28,logKEu(III)HL=16.56,logKEu(III)H2L=10.22を得た。E1/2の水素イオン濃度への依存性の検討により,Eu(III)-ttha錯体は解離せずに,pH5.2~6.1領域で電極反応はつぎのように示される。
    Eu(III)L3- + H+ + e Eu(II)HL3-
    Eu(II)-ttha錯体の安定度定数,logKEu(III)HL=9.26は式(6)から計算された。
    E1/2=E0-0.0591log(Eu(III)L/KEu(III)HL)+0.0591pk1-0.0591pH(6)
    pH4.10~5.0領域で,つぎの電極反応がまた提供される。
    Eu(III)L3- + 3H+ + e Eu(II)+ H3L3-
    Eu(II)(OAc)3 Eu(II)HtL
    水素イオン濃度,ttha配位子濃度の限界電流への影響の検討結果から,それらが広いpH領域で限界電流に影響がないことがわかった。
  • 増田 嘉孝, 中森 俊夫, 関戸 榮一
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 204-207
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ランタノイド(III)とトリエチレンテトラミンヘキサアセタト(TTHA=H0ttha)との間で生成した錯体の安定度定数(KLnL)が酢酸緩衝液中(0.4mol/l)で,Schwarzenbach法により,指示イオンとしてカドミウム(II)を用いて,ポーラログラフ的に決定された。カドミウム(II)-ttha錯体とランタノイド(III)の交換反応の機構はつぎのように表わされる。
    CdHL3- + Ln3+ Cd2+ + LnL3- + H+
    Cd2L2- Ln(OAc)n3-n Cd(OAc)n2-n
    KLnLの計算は次式に基づいている。
    log KLnL=log K + log KCDHL+Pk1 -pH=log K +22. 17
    ランタノイド(III)-ttha錯体の安定度定数(logKLnL)はLa=22.83,Pr=23.45,Nd=23.68,Sm=23.81,Eu=23.85,Gd=23.83,Tb=23.61,Dy=23.29,Ho=23,58,Er=23.62,Yb=23.58である。
    安定度定数はランタノイドの原子番号の増加とともに,ユウロピウムまでは規則的に増加し,ユウロピウムを越えると不規則に減少する。ポリアミン-1-ポリカルボン酸錯体の安定度定数はつぎの配位子の順序に増加する。
    hedta < edta < tpha < dtpa < ttha
  • 桜庭 建, 小島 益生
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 208-211
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    界面活性剤と亜硝酸塩などの単座配位子共存下においてフェニルフルオロンと各種金属イオンとの反応について検討し,コバルトについてはすでに報告したが,ニッケルもヘキサデシルトリメチルアンモニウム=プロミドとピリジンなどの窒素をドナー原子とする単座配位子が存在すると安定な青色の錯体を生成することを知った。この高感度の呈色反応を利用して微量ニッケルを定量するための基礎的条件の検討を行なった。この錯体はpH8.5~10,0で最高一定の吸光度を示し,620nmに極大吸収を示した。ニッケル濃度0~5.6×10-6mol/lの範囲でBeerの法則にしたがった。モル吸光係数および,吸光度0.001に対する感度はそれぞれ,1.04×105l/mol・cm,および0.000565Niμg/cm2であった。アルカリ金属,アルカリ土類金属などの陽イオン,およびハロゲン化物イオンなどの陰イオンは発色を妨害しなかった。この錯体のニッケルとフェニルフルオロンの結合比は1:2であった。
  • 五十嵐 淑郎, 伊藤 純一, 四ツ柳 隆夫, 青村 和夫
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 212-216
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    α,β,γ,δ-テトラフェニルポルフィントリスルホン酸(TPPS)は,pH10~13.5で定量的にカドミウム(II)と反応し,水溶性の錯体を生成する。この反応は室温ではきわめて遅いが,2,2'-ビピリジルを添加すると,これが触媒として働きその反応速度をいちじるしく増大させることを知った。432nmにおける錯体のモル吸光係数は4.45×105であり,吸光度0,001に対する感度は2.6×10-4μgCd2+/cm2であった。反応は種々の共存金属イオンにより妨害されるが,あらかじめ,カドミウム(II)をプロモ錯体としてトリオクチルアミン抽出法で分離することにより,Hg2+,In3+以外の金属イオンの妨害を除去することができた。本法を水道水にカドミウム(II)を添加した試料に応用し原子吸光法と比較検討した。
  • 中栄 篤男, 降矢 一美, 山中 実
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 217-220
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    球状ポーラス型強塩基性イオン交換樹脂(TSK-ゲルLS-222)を固定相に,5.0×10-3mol/l硝酸鉄(III)を含む0,1mol/l硝酸溶液を移動相に用いる高速液体クロマトグラフィーにより,洗剤中の硫酸ナトリウムを定量した。移動相中の鉄(III)イオンは,洗剤に含まれる種々の陰イオンと錯体を生成するため溶離剤として作用し,硫酸ナトリウムと他成分との分離を完全にする。また同時にカラム溶出液中の硫酸イオンをスルファト鉄(III)錯体として検出するための発色剤としての役割も果たしている。
    硫酸ナトリウム標準溶液を用い作成した検量線は,良好な直線性を示し,既知組成の洗剤を分析した結果は,回収率100.8%・変動係数0.91%と良好であった。また市販の洗剤の分析に適用した結果は,従来から行なわれているキレート滴定法で求めた結果とよく一致した。
  • 氏平 祐輔, 大藪 又茂
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 222-225
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Mössbauerスペクトル法によって,水酸化鉄(III),α-FeOOHおよびα-Fe2O3状態を定量的に分析する方法を検討し,鉄が0~8mg/cm2の範囲で鉄の存在量とピーク面積強度との間に直線関係が成立することを認めた。この結果を利用して水溶液中における水酸化鉄(III)のα-FeOOHおよびα-Fe2O3への変態の測定を行なった。水酸化鉄(III)の変態は温度およびpHに大きく依存し,pH13,348Kにおいて反応はもっとも速く進行することがわかった。また,高濃度の塩基性溶液中では逆にこの反応が阻害されることがわかった。
  • 室住 正世, 中村 精次, 加藤 拓紀, 五十嵐 龍志, 坪田 博行
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 226-231
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    116Cdをスパイクとして用いる同位体希釈表面電離質量分析法により微量カドミウムが定量できる。116Cdスパイクを加えた試料溶液より0.00125%ジチゾン-クロロホルム溶液の15ml中にカドミウムを抽出したのち,7N硝酸5ml中にカドミウムを逆抽出する。この硝酸溶液に60%過塩素酸0.1mlを加えて処理し,パイレックスオーブン中で純粋窒素ガスを通じつつ,蒸発乾固する。蒸発残留物を0.003%シリカゲル60μlと2%リン酸5μlの混合溶液に溶解する。この濃縮溶液の一部を質量分析計の表面電離装置のレニウムシングルフィラメントの中央部上にローデングする。
    本法116Cd/116Cdの比を変動係数として0.4~1.1%の精度で定量できる本法の検出感度は10-13~10-14gである。本法をNational Bureau of Standards,U.S.A.で環境標準物質として配布しているOrchard leavesに応用した結果,N.B.S.の保証値によく合致し,本法のすぐれた有用性を証明した。
  • 犬塚 功三, 坂口 君幸
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 232-236
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フタルアルデヒド,イソフタルアルデヒド,およびテレフタルアルデヒドの基底状態における立体配座をCNDO/2法,EHMO法およびP-P-P SCF-MO-Cl法を用いて考察した。
    これら3種の化合物を平面構造と考え,パラ化合物には2個,メタ化合物には3個,オルト化合物には2個の異性体のモデルを仮定して,CNDO/2法,EHMO法を用いて全エネルギーを計算した。またCNDO/2法を用いてそれぞれのモデルに対する双極子モーメントを計算し,測定値と比較した。両方法による全エネルギーの計算結果は同じ結論を与えた。
    つぎにテレフタルアルデヒドに対しCHO基をC-C軸まわりに回転させて安定な配座を調べるためにCNDO/2法とEHMO法を用いて全エネルギーを計算すると,前者は90℃ねじれた構造がもっとも安定であることを示したが,後者は逆の結果を与えた。前者によればテレフタルアルデヒドはベンゼン環と共役したCHO基とこの環に垂直にねじれたCHO基の2種類があることになり,EHMO法の結果が妥当と思われる。EHMO法の結果ではパラ化合物ではs-シス-s-トランス異性化には約2kcal/molのポテンシャル障壁が存在することを示している。
    イソフタルアルデヒドに対してEHMO法を適用すると異性化反応に対して90℃付近に約4.6kcal/molのポテンシャル障壁があることが示される。メタ化合物の異性化はパラ化合物にくらべていくぶん困難であるが,テレフタルアルデヒドおよびイソフタルアルデヒドは平面構造が安定であることがわかる。
    これに対し,フタルアルデヒドでは2個のCHO基がねじれた構造が平面構造より安定であることがEHMO法の結果から判明した。
    上述の方法で決定した構造に対しP-P-P SCF-MO-Cl法によってπ-π遷移エネルギーと振動子強度を計算し,UVスペクトルの測定値と比較した。とくに振動子強度は分子溝造に大きく依存するので,測定した振動子強度と比較することで上述の二つの方法で決定した構造の妥当性を調べた。
  • 花屋 馨, 北本 誠一, 工藤 英昭, 三井 生喜雄
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 238-245
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2位あるいは3位に置換基を有する1-インダノン誘導体の接触還元と化学還元を行ない,生成物の立体配置を決めるとともに,生成物の割合を調べた。2-メチル-1-イソダノン〔1〕の接触還元では,いずれの触媒を用いたときもcis-アルコール〔5〕をおもに生成し,金属水素化物およびMeerwein-Ponndorf法による還元ではtrans-アルコール〔6〕を多く生成した。2-フェニル-1-インダノン〔2〕の接触還元では,Ni,Pt触媒を用いたときはcis-アルコール〔8〕を主生成物として得たが,Pd触媒を用いたときはtrans-アルコール〔9〕が〔8〕よりも多く生成した。〔2〕の化学還元では,LiAlH4によっては〔9〕,NaBH4およびLiAlH(t-BuO)3によっては〔8〕をより多く生成した。3-メチル-1-イソダノン〔3〕および3-フェニル-1-インダノン〔4〕の場合は,接触還元および化学還元のいずれにおいてもcis-アルコールを主生成物として得た。
    以上の結果に基づいて,1-インダノソ誘導体の還元の立体化学を検討した。接触還元の場合は,いずれもπ-ベンジル型の半水素化状態を経て反応が進むと考え,〔2〕のPd触媒による水素化でトランス体をより多く生成したことは,フェニル基の立体的かさ高さに起因するものと考察した。
  • 曾我 和雄, 細田 覚, 池田 朔次
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 246-252
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プロピレンイミンは,無触媒下で二酸化炭素(CO2)と接触させるとポリウレタンを生成する。しかし,この系に微量のLewis酸を添加すると,4-メチル-2-オキサゾリドン(MOZ)とプロピレンイミンの単独重合体が生成する。これは新しいオキサゾリドンの合成法である。
    本研究では,このMOZの合成反応を種々のLewis酸および溶媒を用いて詳細に調べた。
    その結果,この反応には,触媒としてヨウ素が,また溶媒としてジクロロメタンまたはアセトンが適していることがわかった。
    NMRを用いた詳細な速度論的研究から,MOZおよびプロピレンイミンの単独重合体の生成速度,R(MOZ)およびR(Polymer)がそれぞれの初濃度を用いて,次式で表わされることを明らかにした。
    R(MOZ)=K[CO2]0[I2]0[Pl]02
    R(Polymer)=k1[I2]0[PI]02
    その他,反応系の電子スペクトルの測定結果をもあわせて,妥当な反応機構を推察した。
    エチレンイミンと二酸化炭素との反応についても検討した。
  • 丸田 順道, 石川 延男
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3種のヘキサフルオロプロペン三量体のうち,[(CF3)2CF]2C=CFCF3(T-2)および(CF3)2C=C・[CF(CF3)2]・CF2CF3(T-3)の2種につきフェノールとの反応を検討した。トリエチルアミン存在下にフェノールを反応させると,T-2,T-3からそれぞれ同一の化合物〔2〕を生成した。これ反応性に富むT-2が選択的にフェノールと反応して〔2〕を生成し,T-3はトリエチルアミンによりT-2へ異性化し,反応は完結するためであった。これよりも強い求核試剤であるナトリウム=フェノキシドを用いると,T-3はすみやかに反応しジエーテル〔6〕を与えた。一方,T-2から得られるモノエーテル〔2〕は,さらにフェノキシドイオンと反応してアセタール〔4〕を与えたが,この反応は熱力学的に不利であった。
  • 村本 慶博, 朝倉 英行, 鈴木 仁美
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3種のヨードアニソール異性体を20~80℃で,80~96%硫酸と反応させ,生成物の組成をGLCとH-NMRで検討した。o-およびp-ヨードアニソール〔1〕と〔2〕は容易に不均化を行ない,2,4-ジヨードアニソール〔4〕と4種のスルホン酸,すなわち〔5〕と〔6〕,4-ヨードアニソール-2-スルホン酸〔7〕,および2-ヨードアニソール-4-スルホン酸〔8〕の混合物を得た。高温の反応では〔4〕と〔6〕が減少し,〔8〕が増加するが,〔7〕の生成量はあまり変わらない。反応系から回収されたヨードアニソールは〔1〕と〔2〕の混合物で,〔2〕を主成分としている。80%硫酸中では,20~60℃のときは不均化の傾向はほとんどなく,〔1〕と〔2〕の相互変換はみられ,〔7〕と〔8〕をごくわずかに生成した。
    m-ヨードアニソール〔3〕のスルホン化では,5-ヨードアニソール-2-スルホン酸〔9〕41%と3-ヨードアニソール-4-スルホン酸〔10〕59%の混合物であったが,不均化や異性化はみられなかった。
    ヨウ素原子の転位をともなう〔1〕と〔2〕のスルホン化およびReverdin転位との類似性を指摘した。
  • 藤波 達雄, 大谷 昇, 酒井 鎮美
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 265-270
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    N-置換基を有する2,2-ジフェニルあるいは2-シアノ-2-フェニルチオアセトアミドは,テトラヒドロフラン中,ブチルリチウムでジメタロ化されるのに対し,臭化エチルマグネシウムではモノメタロ化された。ジリチオジフェニルチオアセトアミド類は,還流温度,2時間の加熱で分解して,相当するケテンイミン類を収率23~43%で生成したが,モノブロモマグネシオチオアミドは分解しなかった。この分解反応は二硫化炭素あるいは二酸化硫黄の添加によって促進され,0℃,15~30分間の反応でより高収率(45~88%)のケテンイミンを生成し,無機塩,Li2CS3(あるいはLi2S2O2)が沈殿した。トリチオ炭酸リチウムを反応混合物から分離しないと逆反応が起こり,原料のチオアミドがほとんど定量的に回収された。さらに高温(約60℃)では,ジリチオチオアミド類は過剰の二硫化炭素の存在下分解して,イソチオシアナート類を生成した。一方,ジリチオ-シアノフェニルチオアセトアミドは0℃で二硫化炭素あるいは二酸化硫黄と反応し,イソチオシアナートを生成した。
    ブチルリチウム,イソチオシアナートおよび二硫化炭素を用いるone-flask法によるジフェニルメタンのカルボンイミドイル化についても行ない,ケテンイミンを収率45~69%で得た。
  • 正泉寺 秀人, 五十嵐 博, 山田 仁穂
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 271-275
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    赤色もしくは青色の酸性アゾ色素〔1〕~〔4〕は水溶液で約300nmより短波長の光で退色するが,蛍光増白剤Fwoを添加すると,色素の光退色が促進された。促進の度合は,蛍光増白剤の吸収帯領域300~400nmで顕著であった。退色促進には溶存酸素が不可欠で,またこの間色素は蛍光増白剤の退色反応を消光することがわかった。退色生成物のペーパークロマトグラフィー分析から,蛍光増白剤は色素固有の反応を増感していることが判明した。色素,蛍光増白剤とも光退色はビアセチルによって増感された。色素-蛍光増白剤の相互作用においては,後者より前者への三重項エネルギー移動が重要な寄与をなすと推定された。
  • 近藤 充, 安井 清, 三宅 亮, 白石 哲夫, 岩崎 浩
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 276-279
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3-フェニル-6-ジメチルアミノフタリド〔1〕とアニリンまたはインドール類のFriedelCrafts反応を検討した。たとえば,3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド〔1a〕とN,N-ジメチルアニリンを無水塩化アルミニウム存在下,1,1,2,2-テトラクロロエタン中で50℃,5時間反応させると4,4',4"-トリス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン-2-カルボン酸〔2a〕が定量的に得られた。同様に他の置換フタリド〔1〕とアニリンまたはインドール類の反応により,高収率でトリフェニルメタン誘導体〔2〕を得た。
    さらに〔2〕の酸化により,感圧色素として有用な数種の新しい3,3-ジアリール-6-ジメチルアミノフタリド〔3〕を合成した。得られた化合物の構造は合成的または分光学的に決定した。
    〔1a〕とN,N-ジメチルアニリンの反応については種々の条件で検討し,この反応のメカニズムを考察した。
  • 磯貝 浩司, 北原 勝右衛門
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 280-283
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ブロモ-1-フルオロ-2-フェニルシクロプロパンの立体異性体,〔1a〕および〔1b〕の接触水素化分解を,PdO触媒,メタノール溶媒を用い,常温常圧下で検討した。〔1a〕および〔1b〕は同じ生成物を与えた。水素化の初期段階で,プロピルベンゼン〔2〕,2-フルオロ-3-フェニルプロペン〔3〕,2-フルオロ-1-フェニルプロパン〔4〕および(Z)-2-フルオロ-1-フェニルプロペン〔5〕を生成した。〔2〕および〔4〕は水素化の進行とともに増加したが,〔3〕および〔5〕は徐々に減少し,消滅した。〔3〕は一部分〔5〕への異性化をともなって〔2〕および〔4〕に水素化され,〔5〕は〔2〕および〔4〕に水素化された。〔3〕,〔4〕および〔5〕におけるフッ素の置換位置から,シクロプロパン環の水素化開裂がC2-C3結合で起こっていることは明らかであるが,〔1a〕および〔1b〕の水素化分解では2-ブロモ-2-フルオロ-1-フェニルプロパン〔6〕は検出されなかった。これらの結果から,〔3〕が〔2〕,〔4〕および〔5〕の主たる前駆体であって,〔3〕は吸着種〔C〕において,C3炭素-金属結合からの電子移動により臭素が臭化物イオンまたは臭素原子としてβ-トランス脱離することにより生成すると推察した。
  • 田中 順太郎, 高部 圀彦, 川喜多 晶行, 伊藤 正章, 片桐 孝夫
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 284-287
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    d-ロンギホレン〔1〕,カンフェン〔9〕,β-ピネン〔17〕,1,7,7-トリメチル-2-メチレンノルボルナン〔22〕のようなビシクロ[m.n.1]アルカン類のオゾン酸化について検討した結果,〔1〕,〔22〕の場合には通常のオゾン酸化生成物とは異なったエポキシド,カルボン酸,アルデヒドなどの異常生成物が主成分として得られた。一方,〔9〕,〔17〕のオゾン酸化においては,正常酸化物であるケトン類とBaeyer-Villiger酸化によって生じたと考えられるラクトン類が主として得られた。これらの結果から,このようなビシクロアルカン類のオゾン酸化においては,C7位のアルキル基による立体障害が異常性に大きな影響をおよぼしていることが明らかとなった。
  • 山本 泰, 不可三 晃
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 288-292
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アリル=グリシジル=フタラート(AGP)およびアリル=グリシジル=ヘキサヒドロフタラート(AGH)を合成し,そのラジカル重合および共重合について検討を行なった。AGP,AGHともに全重合初速度の開始剤濃度次数は0.5以上であり,退化的連鎖移動が起こっていると考えられる。しかし,過酸化ベンゾイルのかわりにビス(1-メチル-1-フェニルエチル)ペルオキシドを開始剤とした重合系では開始剤濃度次数が0.5に近づく動向があった。過酸化ベンゾイルを開始剤とした重合系の全活性化エネルギーは,AGP26.6kcal/mol,AGH26.1kcal/molであった。
    ラジカル重合により得られるホモポリマーはいずれも粘稠な半固体状で,その分子量は5400~7000であるが,側鎖にエポキシ基を保持しており可溶性であった。
    スチレンとのラジカル共重合の結果はつぎのようになる。AGP(M1)-スチレン(M2);r1=0.136±0.009,r2=34.8±1.0
    AGH(M1)-スチレン(M2);r1=0.060±0.009,r2=34.3±1.3
    また,スチリルラジカルのAGPおよびAGHへの連鎖移動定数をMayoの式を用いて求めた結果,AGPで2.21×10-3,AGHで3.03×10-3であった。
  • 関口 優紀, 黒木 健, 古橋 雄二, 渡辺 真理, 池村 糺, 崎川 範行
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンの熱分解反応を研究するために,分解の中間領域である低分子化過程の様相を,熱処理ポリスチレンの分解生成物から検討した。
    熱処理試料の調製は,窒素気流下,250~310℃,1~5時間である。熱分解温度は,いずれの試料にっいても同一の400℃で行なった。
    その結果,熱処理条件と分解生成物に相関性が見いだされ,処理条件の苛酷なほど,スチレンの減少と重質成分(四~十量体相当)の増加となって現われる。これは熱処理過程で生起する分子量低下および主鎖の構造変化に起因する。
    また,従来の分解揮発のみの反応経路のほかに,四~十量体に相当する成分の耐熱構造を増加させる重質化反応も生起することが明らかになった。
  • 功刀 利夫, 園田 尚利, 大矢根 慶二, 橋本 穂
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 298-301
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4,4'-ジアミノジフェニルエーテルと1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物の縮合重合によって得られたポリアミド酸のフィルムを用いて,加熱によるイミド化のさいの寸法変化,重量変化,密度変化および動的粘弾性の変化を測定した。赤外吸収スペクトル測定から120℃から240℃までの温度範囲でイミド化が進行することを確認したのち,前記の物理的,力学的性質の変化範囲と対比し検討した。イミド化にともなう寸法変化は未延伸フィルムでは約10%収縮するが,延伸フィルムでは逆に約2%伸長する。重量減少はイミド化の化学反応式から算出される理論水分量より2%程度多く,吸着残存する溶媒が脱離するためと考えられる。密度変化はイミド化にともない1.381g/cm3から1.400g/cm3まで急激に増大した。動的粘弾性の測定結果から,E'値はいったん増大したのち減少する複雑な変化を示し,tanδは未延伸フィルムで120℃に鋭いピークを生ずるが,延伸フィルムではピーク強度は低くピーク温度は延伸率の増大にしたがい高温側に移行することがわかった。寸法変化,重量減少,密度増加の認められた温度範囲は赤外測定で確認されたイミド化温度範囲とほぼ一致するが,動的粘弾性挙動に現われる変化はいちじるしく低温で生ずることが判明した。
  • 浦野 紘平, 谷州 昇, 増田 俊男, 小林 義隆
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 303-309
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭による一酸化窒素除去のための基礎研究として,3種類の市販活性炭を用いて一酸化窒素ガスの吸着形態,吸着平衡,および吸着速度を酸素および水蒸気共存下で測定した。一酸化窒素濃度CNO(ppm),水蒸気濃度CH2O(%),酸素濃度CO2(%)はそれぞれ100~5000,1.4~30,0.25~20とし,吸着温度は75℃または100℃とした。
    一酸化窒素は酸素が共存しない場合にはほとんど吸着されなかった。NO-O2-N2系では一酸化窒素が活性炭表面で二酸化窒素となって吸着されるが,吸着等温線の勾配が大きく,低濃度では吸着量Q(mg/g-C)が少なく,また,Q=AC C3で与えられた。また吸着速度は表面反応律速となり,Q1/Q=1-exp(-kC C t)で表わされた。NO-O2-H2O-N2系では一酸化窒素は硝酸となって吸着され,吸着硝酸濃度は活性炭の種類や吸着温度によらず,NO2-H2O-N2系の場合と同様に相対湿度によって決まった。吸着等温線の勾配はきわめて小さく,低濃度でも吸着性が低下せず,かなり多量に吸着した。吸着速度は粒内拡散速度と表面反応速度の両者が影響し,Qt/Q=1-exp(-k'Ct1/m)で表わされた。
  • 土器屋 正之, 福田 健三, 亀山 哲也
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 310-312
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The methane formation reactions between H2S and CO were studied over the CoS, MoS2, Co-Mo, and Ni-W catalysts (at 330∼450°C) for the purpose of producing of hydrogen from H2S. Methane, H2, CO2, COS, CS2, and sulfur were produced in these reactions. The main reaction path of this reaction was considered to be as follows at first, COS and H2 are produced from the reaction of CO and H2S, next H2 reacts with CO producing CH, and H2O, then H2O reacts with COS producing CO, and H2S. In addition to this main reaction path, a decomposition reaction of COS into CO and sulfur, and a disproportionation reaction of COS into CO2 and CS2 were shown to take place.
  • 岩崎 浩, 安井 清, 近藤 充
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 313-314
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A new method for the synthesis of 4-dimethylaminophthalic anhydride [4] J was investigated. The condensation of m-dimethylaminobenzoic acid with formaldehyde in 6 N hydrochloric acid gave 4-dimethylaminophthalide (mp 124∼125°C, yield 39%). The oxidation of the phthalide with sodium m-nitrobenzenesulfonate in 10% aq. sodium hydroxide at 100°C for 13 hrs gave 5-dimethylaminophthalaldehydic acid [2] (mp 146∼147°C, yield 57%). By the further oxidation of phthalaldehydic acid [2] with aq. AgNO3, 4-dimethylaminophthalic acid [3] was prepared in 72% yield. 4-Dimethylaminophthalic anhydride [4] (mp 205∼206°C, yield 87%) was easily obtained by the dehydration of [3] with acetic anhydride.
    The photochlorina.tion of [1] afforded 5-chloro-6-dimethylaminophthalide [5] in place of 4-diinethylaminophthaloyl dichloride.
  • 藤田 眞一, 林 龍一, 藤田 安二
    1978 年 1978 巻 2 号 p. 315-317
    発行日: 1978/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Fatsia japonica Decne. et Planch. is an endemic plant of Japan.
    The essential oil in leaves and panicles of this plant, was examined in detail.
    The yield of oil obtained from fresh leaves and that from panicles were 0. 004∼0. 022% and 0.005%, respectively. The oil consisted of more than 28 components. The major sesquiter-penes were(-) -epi-cubenol, (+)-δ-cadinene, α-muurolene, α-copaene, β-copaene, α-cube-bene, β-bourbonene, and calamenene ; the noticeable monoterpens were 4-terpinenol, linalool, and a-terpineol.
    6, 10, 14-Trimethyl-2-pentadecanone was at first detected as a natural product.
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