NH
3-H
2混合ガスによる無触媒還元脱硝における入ロガス組成・温度・滞留時間などの操作条件と脱硝率の関係を明確にし,さらに低O
2濃度域におけるNO還元のほかに,H
2NH
5,H
2-NO,H
2-NH
3-NOなどの混合ガスのO
2による酸化反応について詳細に検討し,H
2共存下のNH
3による脱硝機構をかなり明らかにすることができた。実験は温度や滞留時間の正しく規定できる等温帯反応部分の内径を大きくした(13.0~26.Omm)特殊形状の石英製反応管を用い常圧流通法で行なった。反応条件は,600~1000℃で,入ロガス組成0~1500ppmNO-O~1500ppmNH
3-0~5000ppmH
2-0~5%O
2-0~13%H
2O-N
2,全ガス流速500および1000Ncm
3/minである。得られたおもな結果はつぎのとおりである。
(1)NOのNH
3還元およびNH
3のO
2酸化は,H
2濃度の増大とともに,より低温から進行した。しかし,H
2濃度によって,それぞれ最大脱硝率を与える温度が存在し,この温度以上になると,共存H
2はNH
3のNOへの酸化をいちじるしく促進するようになり,脱硝率は低下し,H
2共存下では高脱硝率を得る条件は見あたらない。
(2)見かけの量論脱硝反応式は,H
2非共存系の場合と同じように,No+NH
3+(1/4)O
2→N
2+(3/2)H
2Oで表わされる。
(3)H
2の0
2酸化(H
2+O→OH+H,OH+H
2→H+H
2O,H+0
2→O+OH)が600℃付近の低温から起こるため,生成するH,OH,OOラジカル(主としてOHラジカル)によってNH
3→NH
2→NHの反応経路も低温から起こり,生成するNHラジカルがNOと反応(NO+NH→N
2+OH)し,NOはN
2まで還元され,生成したOHラジカルが連鎖キャリヤーとして反応に寄与する。しかし,上記最大脱硝率を与える温度以上では,NH+O
2→NO+OHなどのNOの逆生成反応が優勢になる。
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