溶融シリカキャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフ(GC)およびガスクロマトグラフー質量分析計(GC/MS)を用いて,Wandoan炭液化油中の無極性成分の分析を行なった。反応は,内容積300mlの回転かきまぜ式オートクレープにWandoan炭20g,トルエン25ml,α-Fe2O
3(硫化)0.5gを充填し,反応温度450℃,水素初圧100kg/cm
2,反応時間1時間で行なった。低沸点化合物の分析は,液状生成物をそのままGCに注入して行なった。留出油(180~420℃)中の無極性成分は,酸,塩基抽出および活性アルミナカラムにより分離し,さらに高速液体クロマトグラフィー,(HPLC)によりA,B,C,Dの4成分に分離し,それぞれGCおよびGC/MSで詳細に分析した。液状生成物のガスクロマトグラフィー,分析によれば,ウンデカン(bp196℃)以前に流出する低沸点化合物は,GCに流出可能な留分の約50%を占め,かなり多く生成することが示唆された。留出油中の無極性成分から,A,B,C,Dの各成分はそれぞれ33.5,1.9,30.6,26.4%の回収率で得られた。A成分はほとんどが直鎖パラフィンであり,ほかにオレフィン,分岐パラフィン,ナフテンが少量含まれていた。B成分の主成分は直鎖アルキルベンゼンであり,C成分はナフタレン類,アセナフテン類,インダン類,テトラリン類およびアルキルベンゼン類であった。D成分にはビフェニル類,フルオレン類,フェナントレン類およびピレン類などが多く含まれていた。
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