日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1984 巻, 12 号
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  • 武捨 清, 寺前 紀夫, 山崎 素直, 戸田 昭三, 田中 誠之
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1889-1894
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Mo2S2(μ-S)2L2(L=S2CN(2-ethylhexyl)2,S4錯体)を空気中で熱処理し,その生成物を高速液体クロマトグラフィーで分析することにより,S4錯体が空気中の酸素と作用して変化する経路を詳細に調べた。その結果,S4錯体はMo20S(μ-S)2L2(S2錯体)およびMoO(S2)L2(化合物[1])に変化し,化合物[1]はさらにMnO2L2(化合物[2])に変化後分解した。S3錯体はMo2O2(μ-S)2L2(Sa錯体),Mo2O2(μ-O,S)L2(S1錯体),化合物[1]および構造不明化合物[3]に変化した。化合物[3]は定量的にS2錯体へ変化した。S2およびS1錯体はS4,S3錯体および化合物[1],[2],[3]にくらべて格段に安定であるが,最終的には他の錯体に変化することなく分解した
  • 服部 幸和, 杉前 昭好, 久下 芳生, 中本 雅雄
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1895-1900
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    環境中における2-および4-アミノピリジンの分析法を水および底泥試料について検討した。2-および4-アミノピリジンを,酢酸エチルおよび1-ブタノールで抽出後,ペンタフルオロプロピオニル化し,シリカゲルカラムクリンアップしたのち,電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフを用いて,高感度に定量することができた。本法によるアミノピリジンの検出限界は,水試料において0.13μg/l(2-アミノピリジン)および0.6μg/l(4-アミノピリジン)であり,底泥試料において0.0025μg/g(2-アミノピリジン)および0.012μg/g(4-アミノピリジン)であった。
  • 吉村 長蔵, 宮本 清茂
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1901-1907
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    単体硫黄の定量を迅速に行なう目的で硫黄をピリジンに溶解して,過マンガン酸カリウムを用いて酸化還元滴定する方法を検討した。過マンガン酸カリウムはピリジンに溶解すると数日間は力価の変化が認められない。ピリジン中における単体硫黄と過マンガン酸カリウムとの酸化還元反応は,常温ではゆるやかであるため両者を50℃で約30分間放置したのち,未反応の過マンガン酸カリウムを亜セレン酸のピリジン溶液で電気伝導度滴定を行なった。その結果,硫黄と過マンガン酸カリウムとは1:2のモル比で反応することが認められた。また,単体硫黄と硫化水素あるいは有機硫黄化合物との共存試料の示差滴定を,本法とヨウ素滴定法との併用により検討した。
  • 平山 忠一, 本里 義明
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1908-1913
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ(ビニルアルコール)のエステルとセルロースのエステルの混合物のジクロロメタン溶液をポリ(ビニルアルコール)水溶液に懸濁し,溶媒を蒸発させて両者の複合球状粒子をつくり,けん化,橋かけ,つづいて脱セルロース処理して多孔質ポリ(ビニルアルコール)ゲル球状粒子をつくった。
    粒子中の二成分の相分離状態を変えるためにポリ(ビニルァルコール)のエステルとセルロースエステルの種類,複合成分の比を変化させた。かさ高さ,容量比,排除限界分子量は複合ゲルから脱セルロース処理することによっていちじるしく大きくなる。
    ポリ(酢酸ビニル)と酢酸酪酸セルロースまたはポリ(プロピオン酸ビニル)と酢酸酪酸セルロース系からつくられたポリ(ビニルアルコール)ゲルの排除限界はポリ(エチレンオキシド)の分子量で200000まである。
    他の複合系からのポリ(ビニルァルコール)ゲルの排除限界は前述のゲルより低い。これら多孔質ポリ(ビニルアルコール)ゲルは高速ゲルクロマトグラフィー用水系充損剤として有用である
  • 中里 賢-, 鈴木 輝-
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1914-1920
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリルアミドとN,N'-メチレンジアクリルアミドとメタクリルアミドを重合時の希釈剤としてエタノールと水の混合水溶液を用いてパラフィン系溶剤中で懸濁重合し多孔性の球状ゲルを得た。ゲルを充填したカラムでエチレングリコールのオリゴマーとポリ(エチレンオキシド)の水溶性分子を溶離して孔径累積分布曲線を得た。
    全モノマー数におけるメタクリルアミドの比率の増魂は排除限界分子量の増大をもたらした。メタクリルアミドのアクリルアミドに対するモル比が0.168で7.22mol%の橋かけ剤を含むゲルの排除限界分子量,膨潤度(wet-ml/dry-ml),含水量(g/dry-g)はそれぞれ4.1x104,4.15,3.59であった。他方,モル比が0.834で7.64mol%の橋かけ剤を含むゲルの排除限界分子量,膨潤度,含水量はそれぞれ2.8x105,3.77,3.05であった。
  • 吉村 長蔵, 宮本 清茂
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1921-1926
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非水溶媒滴定を利用する金属水素化物の定量を試みた。硫黄のピリジン溶液中に金属水素化物の-定量を分散させたのち,少量の水を添加し,生成する水素と硫黄との反応生成物を標準のヨウ素のピリジン溶液により,伝導度法や電位差法で滴定することにより水素化物の間接定量を行なった。その結果,水素化カルシウム,水素化リチウム,水素化ナトリウム,テトラヒドリドアルミン酸リチウムなど,水との反応で水素を生成する水素化物の定量ができた。また,ピリジンに可溶のテトラヒドロホウ酸ナトリウムのピリジン中における直接ヨウ素滴定についてもあわせて検討した。
  • 下茂 徹朗, 染用 賢一, 佐藤 光範, 故隈元 実忠
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1927-1932
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ピロン-5-カルボン酸メチル[1]とエチル=ビニル=エーテルまたはアクリロニトリルとの熱および光化学反応を行ない,前者の熱および光照射反応からは[4+2]環化付加物[2]を得後者の三重項光増感反応からは2種類の[4+2]環化付加物[3],[4]と1種類の[2+2]環化付加物[5]を得た.[2]と[3]はendo-8-置換 3-オキンー2-オキサピシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-6-カルボン酸メチル,[4]は[3]のexo体,[5]はendo-7-シアノ-3-オキン-cis-2-オキサビシクロ[4.2.0]オクボト-4-エン-6-ガルボン酸メヂルである。熱反応による[2]の生成の活性化エネルギーは13.7kcal.moi-1であった。一方[3],[4],[5]は光増感反応(ET≧59kcal,mol-1)でのみ生成した。
    [1]とアセチレンジカルボン酸ジメチルまたはフェニルアセチレンとの光増感反応からは,それぞれ1,2,4-トリス(メトキシカルボニル)ベンゼンまたはm-フェニル安息香酸メチルを得た。
    これらの結果から,[1]とエチレンおよびアセチレン置換体との反応性ならびk生成物の熱安定性が明らかとなった。
  • 高橋 清文, 梶 英輔, 膳 昭之助
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1933-1937
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4-フェニル-3,5-ビス(メトキシカルボニル)インオキサゾリン=2-オキシド[1c]とLewis酸(TiCl4など)を用いる新環変換反応による3H-インドール酢酸誘導体[3c]の生成の反応条件を検討し,適当な条件を得た。この反応を4-(1-ナフチル)-3,5-ビス(メトキシカルボニル)インオキサゾリン=2-オキシド[1a]に適用し新環変換化合物,3a,4-ジヒドロ-5aH-ナフト[1',2':4,5]プロ[3,4-d]インオキサゾール-3,4-ジカルボン酸ジメチル[2a]を収率55%で得た。つぎに[2a]をRaneyニッケル-酢酸系接触水素分解し,対応する開環生成物[4]およびそのラクトン体[5]を得ることができた。[2a]の対応するジアミド誘導体[7],ジブロモ体[8],および水素化物[9]をそれぞれ製した。
  • 垣内 弘, 飯島 孝雄, 湯佐 正己, 鈴木 章司, 岡島 業明
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1938-1947
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    非プロトン性溶媒中プロピレンオキシド(PO)とジクロロ酢酸(DCA)の開環反応における共通塩効果を速度論的に研究した。用いた溶媒は,ジオキサン,モノグライム,ジグライム,トルエン,アセトニトリルである。共通塩として,ジクロロ酢酸カリウムおよびセシウムを用い,18-クラウン-6により可溶化した。共通塩の添加により反応はいちじるしく促進され,アセトニトリル以外の溶媒中の反応の速度式は次式で示された。
    y=ks(a-x)2(b-x)+ks'C0(a-x)(b-x)
    ここで,a-x,b-xはそれぞれ時間tにおけるDCA,POの濃度であり,C0は共通塩初濃度であるあ求めた活性化パラメーターから,共通塩存在下の反応におけるいち'じるしい促進効果は,活性化エントロピー項によることが明らかになった。また,活性化エントロピーへの寄与は,遷移状態の活性錯合体の自由度および脱溶媒和の相乗作用によるものであると考察した。アセトニトリル溶媒中の反応では,みかけの二次速度定数と共通塩初濃度との間に直線関係が存在せず,速度論的研究は囲難であった
  • 小郷 良明, 木下 茂樹
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1948-1953
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Gulf-SRCを出発物質とする溶剤精製炭のテトラリンによる無触媒液化反応を,反応温度400~470℃,圧力20~60MPa,反応器滞留時間2.5~20分で流通法によって研究した。生成物は主としてTLC-FID法によって分析し,プレアスファルテン,アスファルテンおよびオイルのそれぞれの成分について収率-時間曲線を求めた。本実験条件下ではこれらの曲線はほとんど同様な特徽を示した。実験結果を簡単な液化反慈モデルによって整理し,それぞれの過程に対する速度定数を求めた。その結果アスファルテンからオイルを生成する過程が他の過程にくらべて圧力効果が大きいととが明らかとなった。各素過程について活性化パラメーターを計算し,これを用いて圧力効果を定量化し,石炭液化反応に対する圧力の影響について考察した。またSRC共存下でのテトラリンの脱水素によるナフタレンの生成と,テトラリンの異性化反応に対する圧力効果についても検討した。
  • 杉本 義一, 三木 康朗, 山田谷 正子, 大場 昌明
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1954-1963
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    溶融シリカキャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフ(GC)およびガスクロマトグラフー質量分析計(GC/MS)を用いて,Wandoan炭液化油中の無極性成分の分析を行なった。反応は,内容積300mlの回転かきまぜ式オートクレープにWandoan炭20g,トルエン25ml,α-Fe2O3(硫化)0.5gを充填し,反応温度450℃,水素初圧100kg/cm2,反応時間1時間で行なった。低沸点化合物の分析は,液状生成物をそのままGCに注入して行なった。留出油(180~420℃)中の無極性成分は,酸,塩基抽出および活性アルミナカラムにより分離し,さらに高速液体クロマトグラフィー,(HPLC)によりA,B,C,Dの4成分に分離し,それぞれGCおよびGC/MSで詳細に分析した。液状生成物のガスクロマトグラフィー,分析によれば,ウンデカン(bp196℃)以前に流出する低沸点化合物は,GCに流出可能な留分の約50%を占め,かなり多く生成することが示唆された。留出油中の無極性成分から,A,B,C,Dの各成分はそれぞれ33.5,1.9,30.6,26.4%の回収率で得られた。A成分はほとんどが直鎖パラフィンであり,ほかにオレフィン,分岐パラフィン,ナフテンが少量含まれていた。B成分の主成分は直鎖アルキルベンゼンであり,C成分はナフタレン類,アセナフテン類,インダン類,テトラリン類およびアルキルベンゼン類であった。D成分にはビフェニル類,フルオレン類,フェナントレン類およびピレン類などが多く含まれていた。
  • 佐藤 正昭, 田辺 克守, 内野 洋之, 横山 晋, 真田 雄三
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1964-1973
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    赤平炭の高圧水添液化反応生成物中のオイル分(bp200~400℃)の極性化合物成分を,アミン系カラムのHPLCを用いて,展開溶媒中のCHCl3の濃度を変えてFr-B,N,Aの三つのフラクションに分別した。それぞれのフラクションに対して赤外吸収分析,FTDおよびFID-GCによる分析を行ない,極性成分の特性を調べた。さらにGC-MSにより各フラクションの組成分の同定を行ない,アミン系カラムのHPLC分離挙動を検討した。これからFr-Bはアルキルテトラヒドロキノリンなどの含窒素塩基性化合物,Fr-Nはアルキルフェノールおよびアルキルカルバゾールなどの含酸素,含窒素ヘテロ化合物,Fr-Aはアルキルフェノールなどの含酸素酸性化合物が主成分であり,各フラクションは極性化合物の特徴によって分離されていることカミわかった。
  • 赤星 亮一, 堀家 静子, 野田 信三
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1974-1980
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ゲラニオールおよびゲラニルアセテートをドデシル硫酸ナトリウムミセルに溶解し,その可溶化機構と香料の蒸気圧について研究を行なった。香料を溶解したSDSミセル分散系の電気伝導度,イオンの輸率,浸透圧を測定し,ミセル数,ミセル構成の因子,ミセルイオンの移動速度などを求めた。研究の結果,ゲラニオールはSDSミセル申に溶解するさい,まずミセルのパリセード層中に入りSDSと複合ミセルを形成してミセルの数を増加させるが,溶解限界に達するとミセル親油基層中に溶けることが明らかとなった。また,ゲラニルアセテートはSDSミセル親漁基層中にのみ溶解することが判明した。一方,分散系試料の香気を窒素ガスを用いて掃引捕集し,その捕集量から分散系における香料の蒸気分圧を求めた。ゲラニオールの場合,パリセード層へ溶解するときにはその蒸気分圧は負の偏差を示すが,親油基層に溶解する場合にはそのモル分率に比例することが判明した。ゲラニオールがミセル中に溶解するとその香気はいちじるしく弱められる。これはパリセード層中におけるSDS分子との相互作用,親油基層中におけるゲラニオール分子の会合が原因と考えられる。また,ゲラニルアセテートの蒸気分圧もミセル親油基層中のモル分率に比例するが,ゲラニルアセテートの分子間力が弱められるので純粋液体の蒸気圧から算出した蒸気分圧にくらべていちじるしく大きい。このためゲラニルアセテートはミセル中に溶解してもその香気はさして弱められないことが明らかとなった。
  • 山本 浩之, 中沢 綾子, 早川 忠男
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1981-1985
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルギニンを-次構造中に約7割含む塩基性タンパク質であるクルペインと色素との不斉相互作用を誘起円偏光二色性(CD)の測定により研究した。可視部領域における色素の吸収スペクトルの変化にともない,ランダムコイル構造のクルペインー色素複合体はpH5~9問で対応する色素に特徴的なCDを誘起する。クルペインと2種類以上の色素が共存する系における選択反応性については,誘起CDスペクトルの形状および強度の結果から,コンゴレッド>オレンジI>メチルオレンジの順に優先的にクルペインと相互作用をすることが判明し,誘起CDがタンパク質-色素系における選択反応性の知見を得るための簡便な手法であることを示した。
  • 菊池 康男, 久保田 直治, 中野 恵介
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1986-1991
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分子電解質である[2-(ジエチルアミノ)エチル]デキストラン塩酸塩,(カルボキシメチル)デキロトランおよび硫酸エステル化ポリ(ビニルアルコール)の3物質から,水に難溶性な高分子電解質複合体まを合成した。これらの高分子電解質は,溶液の水素イオン濃度により,その解離度およびコンポメ-ションが変化するものと考えられるため,水素イオン濃度あるいは滴下順序などの反応条件を変えて種々の高分子電解質複合体を合成し,それらの構造と性質について比較検討した。その結果,水素イオン濃度の高い条件下,水素イオン濃度の低い条件下およびそれらの中間で生成した高分子電解質複合体では,構造と性質が大きく異なっていた。また,既報の,硫酸エステル化ポリ(ビニルアルコール)の代わりに,側鎖にベンゼン環をもつポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を用いた高分子電解質複合体と比較検討し,構成成分の物性の相違が生成する高分子電解質複合体の構造と性質に大きく影響を与えていることを明らかにした。
  • 坂井 徹, 大井 信一
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1992-1996
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    泡沫分離法におけるアルカリ溶液(pH12)中のEHDA-Br(エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム=ブロミド)-フェノール系の吸着特性を調べた。泡沫塔内フェノール濃度(Zb)6x10-5~9x10-4mol.dm-3およびEHDA-Br濃度(Xb)7x10-6~4x10-4mol.dm-3の範囲で,C6H5O-イオン表面過剰量(Γz)およびEHDA+イオン表面過剰量(Γx)を測定した結果,ΓzはZbおよびXbのいずれに対してもそれぞれの増加とともに増大し,ついでしだいに-定値に近づく傾向を示し,他方ΓxはZbの影響をほとんど受けず,XbのΓxにおよぼす影響はΓzに対する場合とほぼ同じ傾向を示した。ΓxとXbおよびΓzとZbとの関係から,EHDA+イオンおよびC6H5O-イオンの吸着型はLangmuir型モデルによく-致することがわかった。また,気-液界面の吸着種は陽イオンとしてはEHDA+イオンのみであるが,その対イオンとしてBゴ,OH-およびC6H5O-陰イオンが存在し,その内C6H5O-イオンの割合はZうの増加とともに増大し,C6H5O-イオンとEHDA+イオンは1:1のイオン対を形成することが明らかとなった。
  • 白樫 高史, 柿井 一男, 粟山 光央
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 1997-2002
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    KBrおよびKSCN共存下におけるCd2+の吸着性を3種の活性炭を用いて検討し,溶存化学種の存在比との対応およびLangmuirの吸着等温式による解析を試みた。KBrおよびKSCN濃度を変化させた場合は,いずれの活性炭においても[CdX2]あるいは[CdX3]-(X=Br-,SCN-)の存在比が最大になる濃度において最大の吸着量を示した。KBrあるいはKSCN濃度を-定にし,添加するCd2+濃度を変化させた場合には,すべての活性炭についてLangmuirの多成分吸着等温式にしたがった。同一活性炭に対する飽和吸着量は,共存吸着剤がKBrであるか,KSCNであるかにかかわらずさらにはそれらの濃度が変化してもほぼ-定であった。吸着平衡定数としては[CdX2]および[CdX3]営の吸着に対応する定数が得られ,これらの定数を用いることによりCd2+の吸着におよぼすKBrあるいはKSCN濃度の影響を説明できた。これらのことから,KBrあるいはKSCN共存下においては,活性炭と吸着平衡にある化学種は[CdX2]の無電荷錯体および[CdX3]-錯陰イオンであると推定した。
  • 高野 信弘, 竹野 昇, 森田 睦夫
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 2003-2008
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The effect of proton donors on the electrochemical reduction of 2, 3-disubstituted 1- indenones (IDO) in N, N-dimethylformamide containing 0.1 mol.dm-3 n-Bu4NBF4 has been investigated. Kinetic study of the reaction of electrolytically generated IDO anion radical with hydroquinone was performed by DC polarography. The results indicate that the IDO in the presence of hydroquinone is reduced via the ' ECE rnechanism ° and rate law is given as -d[IDO']/dt=k[IDO-][Hydroquinone]. The activation parameter was also determined. A good linear correlation of the rate constant, k was observed to Hammett substituent constant, Σσp=σ1-1-0.5σ, for the 2, 3-diaryl-1-indenones, [1]∼[11] or Taft polar substituent constant, Σσ*=σ1* +0.5 σ2* for [1], the 2-aryl-3-alkyl-, [12]∼[16], and the 2-alkyl-3-aryl-1-indenones, [l7], [l8], respectivery.
  • 嶋尾 一郎
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 2009-2010
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The acid-catalyzed rearrangement of 4, 4'-disubstituted azoxybenzenes is generally regarded to give the corresponding o-hydroxy azo compounds as main products. However, 4, 4'- dimethylazoxybenzene gave 3-chloro-4, 4'-dimethylazobenzene (14%), 4-chloromethy1-4'- methylazobenzene (21%), and 4, 4'-dimethylazobenzene (30%), when treated with excess AlCl3 in nitromethane at 100°C for 4 h. The formation of expected 2-chloro-4, 4'-dimethylazobenzene was not observed. Similarly, the treatment of 4-methylazoxybenzene (a mixture of the NNO and ONN isomers) with AlCl3 in nitromethane gave a mixture of 3-chloro4-methylazobenzene (9%), 4-(chloromethyl)-azobenzene (20%), 4-chloro-4'-methylazobenzene (24%) and 4-methylazobenzene (27%).
  • 林 隆之, 徳光 隆雄, 岡 本厳, 西山 三恵
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 2011-2014
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The reaction of 2-(3 chloro-4-methylbenzoyl)benzoic acid [1] in polyphosphoric acid at 100-140°C gave 2-chloro-3-[3-chloro-2-methy1-10-oxo-9(10 H)-anthrylidenemethyl]anthraquinone [4] along with 1-chloro-2-methyl- and 2-chloro-3-methylanthraquinones [2] and [3]. Only [2] and [3] were formed at 75°C. The structure of [4] was determined based on its MS; -IR.; 'NMR and UV spectra and its chemical behavior. Mechanism for the formation of [4] is discussed.
  • 山崎 仲道, 叶原 悟司, 柳沢 和道
    1984 年 1984 巻 12 号 p. 2015-2018
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The minerals, from which Li+ and K+ had been extracted in high extraction ratios, had high adsorbability of Sr2+ and Cs+ ions. Hydrothermal extraction residues of lithia-mica and, feldspar had high distribution coefficients (103∼404) towards Sr2+ and Cs+ ions in the aqueous solution. Although the red mud prepared from bauxite had high distribution coefficient of Sr2+ ion, it had low distribution coefficient of Cs+ ion.
    These iesidues' obtained by the hydrothermal treatment of aluminosilicate ores are expected as the promising immobilization matrix of 90Sr and 137Cs found in the nuclear fission wastes.
  • 1984 年 1984 巻 12 号 p. 2019
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/05/30
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