プラズマの応用の一例として,プラズマ処理による石炭のガス化がある。1960年代から始まり,いろいろな実験条件で行なわれてきた。その中で水素を加えると比較的容易に収率が上げられることがわかっている。しかしながら,その機構など詳細はよくわかちていない。そこで,本研究は収率(おもにアセチレン)を上げる目的で水素を添加した場合を実験,理論的解析を加え,検討した。
アルゴンプラズマを用いて,石炭(太平洋炭)の処理を行ない,実験面でほ,永素,プラズマ流量と放電電力を変化させ生成ガス(アセチレン,メタン)流量の変化を測定した。理論的解析としては,伝熱律速,半径方向のプラズマ流の速度,温度を一定と仮定した一次元モデルで,さらに球形石炭粒子の温度も一様として,粒子温度,転化率を求めた。
水素を加えるとその効果はアセチレンのみに現われ,メタンには現われない。また,その効果はプラスにでる実験結果を得た。計算結果から,水素は石炭粒子温度の立ち上がりをはやくし,反応開始時刻をはやくし,同時にプラズマ流の温度をはやく冷やすため,反応管内の滞留時間を長くする。これら二つの点から,水素を加えた方が転化率が高くなることがわかる。
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