高活性固体酸触媒として知られる12タソグストリン酸のアソモニウム酸性塩(NH
4)
xH
3-xPW
12O
40を(NH
2)
2COを用いた均一沈殿法により調製し, アンモニア水滴下法により調製したものとその構造を比較した. 特に, 合成法と組成がナノ結晶子の自己組織化および生成する多孔体の構造に与える効果に着目し, 構造を走査型電子顕微鏡 (SEM), 粉末X線回折 (XRD), N
2吸着により調べた. x=3において, 383K均一沈殿法, 368K滴下法はともに菱形12面体の多孔質集合体を生成し, 炭酸水素アソモニウムを用いた既報 (文献21) 24) ) と同様, ナノ結晶子同士がエピタキシアルに連結した自己組織化集合体であることが確認された. 低温の298K滴下法, x=3では, エピタキシアル接合が発達せず, 緩く集合している状態になっている. xを減少させた場合, 383K均一沈殿法および368K滴下法ではNH
4+ イオン供給時にまず12面体集合体が生成し, その後の蒸発乾固時にH
3PW
12O
40・nH
2Oが主に12面体の外表面に析出することがわかった. この場合, 蒸発乾固過程におけるH
3PW
12O
40・nH
2Oの析出によるミクロ孔閉そくはあまり起こらず,広いκの範囲で比較的高い表面積および触媒活性が得られることがわかった. 298K滴下法では, xを2.5から2に減少させると, 表面積が大幅に低下した. これは,Cs塩の場合と同様, ナノ結晶子間のミクロ細孔が蒸発乾固時のH
3PW
12O
40・nH
2O析出により閉そくしたものと推定される.
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