3種類のメチルフェニルトリシロキサン(F-4;1,2,2,3-テトラメチル,1,1,3,3-テトラフェニルトリシロキサン, F-5;1,2,3-5リメチル,1,1,2,3,3-ペンタフェニルトリシロキサソ,F-6;1,3-ジメチル,1,1,2,2,3,3-ヘキサフェニルトリシロキサソ)の60Co,ガンマ線照射を行ない,発生する低分子量生成物の収率の変化,分子量の変化,分子量の変化に対する酸素の影響,液体クロマトグラムの変化などを調べた。
低分子量生成物のおもなものは,水素,メタン,ベンゼンであった。水素およびメタンの収率は,F4,F5, F6の順に減少した。ベンゼンの収率は, F4, F 5, F6の順に逆に増大した。 F4,F5におけるベンゼンのG値は,それぞれ0.03,0.05であったのに対して,F6におけるベンゼンのG値はO.22という高い値を示した。また,重合のG値は,F4,F5,F6,それぞれ0.41,0.28,0.36であった。これらの結果は,トリシロキサンの中央のケイ素原子に2個のフェニル基が結合したF6の場合,立体的障害によりフェニル基とトリシロキサンの基との結合が弱められ,こめ結合が放射線により切断されやすいために起こるものと考えられる。
照射により生成する高分子物質は,酸素の存在によって減少し,重合は抑制された。このことは重合過程にラジカル反応が関与していることを示している。
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