日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1975 巻, 2 号
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  • 高木 利治
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 219-223
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロロベンゼソンおよびニトロベンゼン中の音速を温度10~60℃(283.15~333.15K),圧力1~2100bar(=105 Pa)の範囲で二振動子固定パルス法により測定した。用いた超音波周波数は1MHzであり,音速測定精度はO.2%以内であった。
    クロロベンゼン,ニトロベンゼン中とも,定圧での音速の温度依存性(c/T)pは負となり,定温での音速の圧力依存性(c/T)Tは正となった。一方,定温における音速は加圧による密度の増加とともに測定した圧力範囲内で直線的増加を示した。
    音速の測定値およびP-V-丁関係の値から,断熱圧縮率,比熱比および定圧比熱の温度,圧力依存性を求めた。その結果,大気圧下における定圧比熱は温度の増加とともになめらかな増加を示し,文献値と比較的よい一致をみた。また,30℃における定圧比熱は,圧力1000barにおいて大気圧の値よりクロロベンゼンでは6%,ニトロベンゼンでは5%それぞれ減少することが見いだされた。
  • 西庄 重次郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 224-227
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マロン酸と数種のα-アミノ酸との固体複合体の形成に関してX線回折装置,赤外分光光度計,示差熱テソビン分析装置,差動走査熱量計を用いて研究した。マロン酸はdl-α-アラニン, α-アミノ-イソ酪酸,dl-ノルバリソ, dl-ノルロイシン, dl-イソロイシンとはモル比1:1で固体複合体を形成するがdl-ロイシンとは複合体を形成しない。複合体は非調和融点をもち,その非調和融点はマロン酸の融点より低い。
    これらの複合体はいずれもマロン酸の-COOHの水素とアミノ酸の-COO-との間に分子間水素結合が形成され,この分子間水素結合が複合体形成の推進力と推定された。
  • 徳永 興公, 阿部 俊彦
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 228-233
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3種類のメチルフェニルトリシロキサン(F-4;1,2,2,3-テトラメチル,1,1,3,3-テトラフェニルトリシロキサン, F-5;1,2,3-5リメチル,1,1,2,3,3-ペンタフェニルトリシロキサソ,F-6;1,3-ジメチル,1,1,2,2,3,3-ヘキサフェニルトリシロキサソ)の60Co,ガンマ線照射を行ない,発生する低分子量生成物の収率の変化,分子量の変化,分子量の変化に対する酸素の影響,液体クロマトグラムの変化などを調べた。
    低分子量生成物のおもなものは,水素,メタン,ベンゼンであった。水素およびメタンの収率は,F4,F5, F6の順に減少した。ベンゼンの収率は, F4, F 5, F6の順に逆に増大した。 F4,F5におけるベンゼンのG値は,それぞれ0.03,0.05であったのに対して,F6におけるベンゼンのG値はO.22という高い値を示した。また,重合のG値は,F4,F5,F6,それぞれ0.41,0.28,0.36であった。これらの結果は,トリシロキサンの中央のケイ素原子に2個のフェニル基が結合したF6の場合,立体的障害によりフェニル基とトリシロキサンの基との結合が弱められ,こめ結合が放射線により切断されやすいために起こるものと考えられる。
    照射により生成する高分子物質は,酸素の存在によって減少し,重合は抑制された。このことは重合過程にラジカル反応が関与していることを示している。
  • 池舘 和江, 鈴木 貞雄
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 234-241
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パラジウム触媒による芳香族アミン類の水素化より,核水素化におよぼすアミノ基の効果を検討し,さらに競争水素化法により吸着容易性を検討して,芳香族アミンのパラジウム上への吸着性状について研究した。水素化の結果から,パラジウム上でのアミン類の核水素化は,核とアミノ基が平板状で吸着したような形で進行していると考察され,また核電子密度の高いものほど核水素化されやすいことが認められた。
    競争水素化から反応中における各芳香族アミンの吸着容易性はつぎのような序列になることがわかった。N,N-ジメチルアニリン>N-メチルアニリン>o-トルイジン>アニリン>P-トルイジン>m-トルイジン>ベンジルアミン。芳香族アミンのN位にメチル基を導入すると吸着容易性が増し,C1-N位の吸着がアミン類の吸着容易性に大きく影響していることが明らかとなった。これから,芳香族アミンは核とC1-N位の両方で触媒に吸着し, C1-N位の吸着は核の吸着より強いと結論した。吸着容易性と還元されやすさの傾向との間にずれのあることが認められ,C1-N位の吸着は,基質の金属上への第一段吸着を支配していることがわかった。吸着種としては,つぎのようなπ錯体が形成されていると推定した。
    用いた実験条件下で,芳香族アミンの核水素化がベンゼンのそれにくらべて容易であるのは,アミン類がアミノ基の部分で強く触媒上に吸着することにより,核と金属との相互作用を強め,核水素化容易性を増すことも一因であると考察した。さらに,芳香族アミン類の水素化や競争水素敵中に生成する中間体を検討するため,アミン類とシクロヘキサノンとの水素化縮合反応についても検討を加えている。
  • 林 弘, 川崎 賢悟, 岡崎 達也
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 242-245
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ジフェニルメタンイミン(lm)と塩化銅(1)の(1:1)-錯体CuC1.lm[1]は溶液中で1/4 mo1の酸素を吸収して含酸素銅(1)錯体[5]を生成し(図1),1=mの酸化的カップリングの中間体となる。錯体[5]には配位ImのN-Hが認められるので,[5]の生成段階ではImの水素引き抜きは起こっていない。窒素雰囲気下に[5]の昇温分解を行なうとべンゾフェノソアジン(Az)が生成し,このさいCu(IE)はCu(1)に還元された。同様の還元は酸素中でも起こり,120℃付近より高温側でAzが生成した。Azの生成によって再生した銅塩はふたたびIm錯体を形成してレドックスをくり返し,触媒的に酸化を進行させる。120℃ではAzの生成速度は酸素圧によらないが,200℃では酸素圧の1次に比例した。したがって,低温域では 錯体[1]+1/4 02--錯体[5] の平衡が[5]の側に片寄っており,[5]の分解律速であるが,200℃付近の高温域では[5]の生成平衡が[5]に不利で,酸素圧に比例して[5]の濃度が増加し,分解によるAzへの変換は十分はやいと結論される。最後に,以上のような銅-ケチミン錯体のレドックス挙動とAz生成との関連について,ベンゾフェノン,アンモニアおよび酸素を出発原料とするAzの液相合成プロセスの条件選定への応用に言及した。
  • 長谷川 貞夫, 宮沢 典夫, 北埜 幸子, 河口 武夫
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 246-249
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    200~500℃で水素還元したV205の表面性質を明らかにするため,結晶構造,常磁性挙動およびDPPHと還元したV205表面との反応を,X線回折,IR,UVおよびESR吸収法によって調べた。その結果はつぎのとおりである。(1)V4+ の極大濃度は425℃で還元したV205に認められる。(2)DPPHと200~300℃で還元したV205との反応の活性化エネルギーは20~23 kca1/mo1で,450~500℃で還馴したものでは2~3kca1/mo1である。(3)還賦したV205上の表面種,V5+=O,V4+,V3+はそれぞれ還元温度に依存して水素の吸着点として働くことがわかった。
  • 清水 俊之, 椚 章, 長浦 茂男
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 250-254
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸酸性水溶液中で,白金電極における安息香酸の陽極酸化反応を,おもに電位走査法を用いて調べた。その結果,安息香酸の酸化は直接放電によって酸化されるのではなく表面酸化物との接触反応によって酸化されることが明らかになった。各温度における吸着量と酸化電気量の電位依存性の測定から,安息香酸の吸着は電解温度が高いときには(60℃),電位に関してベル型を示し,そして酸化電気量は吸着量とほぼ比例関係を示した。しかし電解温度が低いときには(20℃),酸化電気量は吸着量に比例せず,とくに0。2Vより貴な電位で吸着させた場合は,吸着量にくらべて非常に小さな値を示した。この吸着量と酸化電気量の温度,および電位依存性は安息香酸の吸着には少なくとも2種類の吸着状態があり,その一つは白金酸化物との接触酸化に対して不活性であるとして説明された。
  • 中川 一兵
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    試作した正負鋸歯状波を用いる融解塩用カソードレーポーラログラフを用いて,溶融塩化カリウム中の五塩化タンタルの還元過程および溶融塩化ナトリウム-塩化カリウム(1:1)中のタンタルの低級塩化物の還元過程について考察した。
    五塩化タンタルは二段還元波を示し,第I波はTa(V)→Ta(O),第II波はTa(II)→Ta(0)であった。
    タンタル金属と平衡状態にあるとき,平衡反応Ta(N)+Ta=2 Ta(II)が起こり,塩化ナトリウム-塩化カリウム(1:1)融解塩中のTa(V)-Ta(II)-Ta金属系のタンタルイオンの還元は,二つのピークを示し,第I波はTa(IV)→Ta(II),第II波はTa(II)→Ta(0)の過程が考察された。
  • 鈴木 豊, 高橋 武彦
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 260-265
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (ZrO2)1(Y203)x(x=0.06~0.10)の空気雰囲気中800℃における抵抗の経時変化を測定した。このほか抵抗の経時変化を測定するうえでの抵抗測定法の検討および抵抗変化の速度式について若干の考察を行なった。
    測定に用いた試料は2000℃で4時間焼成した焼結体で,電極として白金ペーストを1400℃で30分焼き付けたものである。試料の抵抗は20Hzから20kHzまでのインピーダンスから複素インピーダンスプロット法で求めた。
    すべての組成で抵抗は時間とともに増加した(増加率の順序:7>6>8>9>10mo1%Y20),約300時間後の増加7mo1%Y203で39%;10 mo1%Y203で20%.8~10 mo1%Y203の抵抗は約100時間後にほぼ一定値に達した。約300時間後の導電率の極大値は8mo1%Y203によって示された(2.89x10-2 ,cm-1)。
  • 高橋 武彦, 若林 昇, 宮崎 隆男, 山本 治
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 266-270
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヨウ化銀-ヨウ化スルポニウム系の固相反応生成物の導電率を測定した結果,ヨウ化銀84.1 mol%-C5H11SI 15.9 mo1%でO.04(Ω.cm)誘ヨウ化銀84.0 mol%-(CH3)3SI 16.O mol%で0.06(Ω.cm)-1さらにヨウ化銀84.Omol%-(CH3)aC3H5SI 16.Omol%では0.02(Ω.cm)-1を25℃で示した。Wagnerの分極法によって電子導電率を測定した結果,イオン導電率にくらべて無視できるほど小さいことがわかった。またX線回折によれぽ,最高導電率を示す組成において,新しい化合物が生成していることが示唆された。
  • 柳沢 譲, 原納 淑郎, 井本 立也
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 271-274
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    尿素合成プロセスにおける分離器および凝縮器の操作に関する基礎データを得るため,前報に引きつづき,温度70~90℃,圧力20kg/cm2でのNH3-Co2-H20三成分習気液平衡を実測し,等温溶解度曲線を求めるとともに,気液平衡関係を推箪する実験式を求め,前報の結果と比較検討したところ,70~130℃の広温度域にわたって液相活量係数と組成の関係は統一的な式で表現できる。
    液相の活量係数γは,つぎのvan Laarの2添下式で与えられる。
    logγNH3=(-1.077 x2co2 + O.0839 x-2H20 + Aoxco2xH20)/(xNH3-3.694 xco2-2.887 xH20)2 (1)
    logγH20=(-O.00349 x2NH3 + B0x2co2 + C0xNH3xco2)/(xH20-0.3464 xNH3 + 1.280 xco2)2 (2)
    ここで,
    A0=-3.694 AH20,co2-O.7382 (3)
    B0=1.637 AH20,co2 (4)
    C0=-0.2708 AH20,co2 + 1.0934 (5)
    で表わされ,AH2o,co2 は70~95℃および95~130℃でそれぞれ次式で近似される。
    70~95℃:AH20,co2=8.909-3143/T (6)
    95~130℃:AH20,co2=14.705-5276/T(7)
  • 奥谷 猛, 古市 隆三郎, 石井 忠雄
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 275-280
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固相アルミン酸ナトリウムとSO2の反応を気体流通系反応器で行ない,アルミナを調製した。反応温度:100~500℃,粒径:80メヅシュ以下,気体:空気+SO2(1:1混合気体,100 ml/min),反応時間:2時間,の反応条件を用いた。反応により固体試料中に生成したアルミナを水で抽出分離し,600℃,1時間の加熱処理を行なった。得られたアルミナは反応温度200℃以下ではOP-A1,0,であり,300℃以上ではn-AI203のほかにl-A1203が生成し,l-A1,03は温度の上昇とともに増加した。
    調製したアルミナの反応憐を検討する目的で,Claus反応(2 H2S+SO2→2H20+3S)に対する触媒活性をパルス反応器を用い,100~600℃の範囲で測定した。反応は,アルミナ上に吸着したSO2と気相のH2S.との間で進行し,一般に反応量は反応温度が減少すると増加する傾向があった。反応量とアルミナの比表面積の間には比例関係があり,アルミナの種類に関係がなかった。Claus反応に対する触媒活性は,アルミナ上へのSO2の吸着能と密接に関係しているものと思われる。
  • 成田 栄一, 三田 宗雄, 岡部 泰二郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 281-288
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マンガン鉱石を水酸化カリウム-硝酸カリウム系溶融塩で分解し,マンガン(V)酸カリウムを生成する反応について200~240℃の温度域で速度論的検討を行なった。
    2MnO2 + 6KOH + KNO3=2 K3MnOi +KNO2 + 3 H20
    反応の進行とともに鉱石の粒径が縮小していくことから,検討すると,酸化率曲線は化学反応律速の速度式この反応を溶解型コア・モデルに基づいて検討すると,酸化率曲線は化学反応律速の速度式
    1-(1-x)1/3=kl
    に適合することが見いだされた。ここで,Xはマンガン酸化率, kは定数, tは反応時間,である。Arrheniusプロットから得られる見かけの活性化エネルギーはインド産鉱石の場合36 kcal/mo1であり,西アフリカ・ガボン産鉱石についてもほぼ同じ結果が得られた。
    さらに,実用的見地からマンガン鉱石,水酸化カリウムおよび硝酸カリウムの各種配合比率の配合物について温度を変えて加熱処理を行ない,マンガン(V)酸カリウム生成の好適条件を検討した。マンガン酸化率が95%以上であって,かつ反応系が作業性のよい均一な流動性をたもつ条件として,アルカリモル比(KOH/MnO2)=5,酸化剤モル比(KNO3/MnO2)=1,混度300~350℃,時間1~2時間が得られた。
  • 安藤 淳平, 今井 至, 金子 雄治
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    工業的にモノシランを製造するさいに副生する塩化マグネシウムアンモニア付加物の組成,構造および性質を調べ,これを酸と反応させて肥料とする研究を行なった。この副生物はアンモニア塩化マグネシウム付加物MgC12.6NH3(以下AMCと略記する)を主成分とし,少量の塩化アンモニウム,ケイ素およびケイ化マグネシウムを含んでいる。AMCは等軸晶系(a=10.20 A)の白色結晶で錯塩M9(NH3)6C12であると思われる。 AMCは空気中では湿気と反応してすみやかにアンモニアの一部を失って非晶性となるとともに塊化アンモニウムを生成し,さらに吸湿すると複塩MgC12.NH,Cl.6 H20(以下C16と略記する)を生成する。アンモニア気流中(pNH3=200mmHg)で加熱すると110~140℃でアンモニア4分子を失い,1260~280℃でさらに1分子,350℃付近で最後の1分子を失いMgCl2となる。
    硫酸と反応させると,硫酸および水分が十分な場合には複塩MgSO4.(NHa)2SO4.6H2O(以下S6と略記する)および硫酸アンモニウムを生ずる。水分不足ではこの複塩は生成しない。硫酸が不足し水分が十分であればかなりのアンモニアが揮発し,S6,塩化アンモニウムおよびC16を生成する。リソ酸を加えるとpHおよびモル比に応じてリン酸二水素アンモニウム,リソ酸マグネシウムアンモニウム(1水塩または6水塩)を生ずる。副生物中のケイ素は酸と反応しないが,ケイ化マグネシウムは分解して水素を発生する。この水素に対する安全性に留意すれば副生物から工業的に肥料がつくれるであろう。
  • 山田 勝利, 中川 孝一, 原口 謙策, 伊藤 三郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 294-297
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    8-キノリノールのクロロホルム溶液を用いる水相からのニッケル(II)の溶媒抽出速度をpH範囲6.2~8.1,およびイオン強度u;=0.1において調べた。
    ふりまぜ速度330strokes/min以上では抽出の速度は化学反応律速となり,反応次数はニッケル(II)および8-キノリノールについては+1.0であった。抽出速度と水素イオン濃度の関係は切片をもつ直線関係にあり,速度式は下式に示すように水素イオン濃度に関して0次と-1次の頂からなり,したがって,律速反応である1:1キレート生成反応は解離した8-キノリノールのみが配位子となるのではなく,非解離の8-キノリノールも配位子として反応に関与していることを明らかにした。
    -dL{Hr}NiHR
    この二つのキレート生成反応の速度定数kR-,およびkHRはそれぞれ5.4x105 l.mol-1,sec-1,3.6x103 l.mol-1,sec-1であった。
    なお,これらの反応の速度定数の温度依存性から熱力学的パラメーターも求めた。
  • 渡辺 範夫, 大江 俊一, 高本 進
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 298-301
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリアミンの1,4,7-トリアザシクロノナン,2,2'-ジアミノジェチルアミソ,N-(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミンおよび3,3'-ジアミノジプピルアミンと銅(II)およびニッケル(II)キレートの安定なpH領域,組成,最大吸収波長,そのモル吸光係数および濃度安定度定数を可視部分光光度法により求めた。銅(II)キレートでは1:1,ニッケル(II)キレートでは1:2の安定なpH領域が顕著に見いだされたが,ニッケル(II)と3,3'-ジアミノジプロピルアミンキレートは1:1の安定な領域がpH 7.5~10付近まで存在する。さらにアルカリ側では銅(II)キレートと同様にヒドキソ錯体が予想された。安定度定数においては,銅(II)およびニッケル(II)ともに六員キレート環を形成する,3,3-ジアミノジプロピルアミンキレートの値が他のトリアミンよりも低かった。
  • 吉川 俊夫, 木村 圭一郎, 重村 威生
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 302-306
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホルムアルデヒドと1,3,6-トリオキソカンとの共重合体を,質量分析計に直結した熱分解ガスクロマトグラフ装置によって熱分解し,1,3-ジオキソラン,1,4-ジオキサン,1,3,6-トリオキソカンおよび2-メチル-1,3-ジオキソランを確認した。無水硫酸コバルトを触媒とし,450℃で熱分解することにより,共重合体中の少量のトリオキソカンを精度よく定量することができた。しかしこの方法ではトリオキソカンの連鎖分布の考察に役立つトリオキソカン三量体以上の分解生成物は得られなかった。
  • 水谷 惟恭, 北沢 章生, 加藤 誠軌
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固体電解質酸素濃淡電池の原理を用いた超小型の酸素センサーを試作した。このセンサーはガス分析装置の検出器として熱伝導度型検出器と併用することができる。素子は外径4mmφ,内径2~3 mmφ;,長さ150mmの安定化ジルコニアパイプの内壁および外壁に多孔性の白金電極を焼き付けたもので,2本の素子を小型の電気炉に挿入して中央部の約30mmを800~1000℃に加熱した状態で,被検気体をパイプ中を通じながら電極間に生ずる起電力を連続的に測定する。この酸素センサーはキャリヤーガス中の酸素分圧が低いほど感度が大で,最高1×10-4 ml程度の酸素の放出(吸収)を検出することができる。
    センサーは中性の気体種には感応しないが,高温で解離または反応する気体,たとえば窒素酸化物は酸素分圧の増加として,H2やCOなどのような可燃性気体はキャリヤーガス中の酸素と反応するため酸素分圧の低下として現われる。
    酸素センサーの応用例として,酸化コバルトの酸化還元反応およびシュウ酸カルシウムの熱分解過程について測定を行なった。
  • 石川 延男, 原田 博夫
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 311-315
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヘキサフルオロプロペン(HFP)およびオクタフルオ,ロインブチレソ(OFIB)に対するナトリウムアリールオキシドの氷酒置換により,1-アリールオキシ-および1,1-ビス(アリールオキシ)ポリフルオロオレフィン類の合成を行なった。
    ナトリウム=フェノキシドおよび=P-メトキシフェノキシドはHFPとテトラヒドロフラン中で容易に反応し,1-アリールオキシペンタフル:オロプロペン5-およびtrans-[3 a],[3 b]ならびに1,1-ビス(アリールオキシ)テトラフルオロプロペン[4a],[4b]を生成したが,ナトリウム=P-ニトロフェノキシドはジメチルホムアミド中で反応させても大部分1-(P-ニトロフェノキシ)ペンタフルオロプロペソ[3c]が得られるのみであった。またフェノールとHFPの反応を過剃の水酸化ナトリウムの存在下にDMF中で反応させ,ジフェノキシテトラフルオロプロペソ[4 a]をよい収率で得た。
    OFIBとナトリウム=アリールオキシドとの反応はジエチル=エーテル中で容易に進行し,それぞれモノ置換体,1-アリールオキシ-2-(トリフルオロメチル)テトラフルオロプロペン[5a~5c],およびビス置換体,1,1-ビス(アリールオキシ)-2-(トリフルオロメチル)トリフルオロプロペン[6a~6c]を生成した。
  • 篠田 清徳, 安西 修三
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 318-319
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性アルミナ上の非対称エタンである1,1,2-トリクロロエタンのメタノールとの共熱分解では高収率で1,1-ジクロロエチレンが生成する。触媒である活性アルミナの焼成処理温度が高くなるほど1,1,2-トリクロロエタンの転化率は減少した。いろいろ厚応条件をかえても1,2-ジクロロエチレンに対する1,1ジクロロエチレンの比やcis-1,2-ジクロロエチレンに対するtrans-1,2ジクロロエチレンの比は大幅に変えることはできなかった。
    反応温度が低くなると見かけの反応時間は増加し,この不均一系反応が活性アルミナ触媒の細孔内部でゆっくりと進行すると考えられた。
    反応は1,1,2-トリクロロエタンに関して1次で進行し,1,1,2-トリクロロエタンの分解反応速度定数,1,1-ジクロロエチレン,trans-l,2-ジクロロチレンおよびcis-1,2-ジクロロエチレンの生成速度定X kT-kvp, kt Sb-および,DEはそれぞれつぎの式で表すことができた。
    kTCE/(g-mo1/g.hr)=1.02×10exp(199010/1~T)
    kvD/(g-mel/g-hr)=5.18 × 1pt exp(-19700/R T) ktptDE/ (g-mel/g-hr)=5.34 × 10 exp(-21000/R T)
    kd-DEI(g-mel/g-hr)=1.17×104 exp(-19300/R T)
  • 小林 治, 市川 弥太郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 320-326
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸コバルト触媒を用い,酢酸溶媒中でP-キシレンを液相空気酸化してテレフタル酸を合成する反応の動力学的研究を行なった。オートクレーブを用いて酸化反応を行ない,反応物,排出ガスの分析を行ない,その結果をIBM 7040を用いて解析した。その結果,反応はp-キシレン→p-トルアルデヒド→;p-トルイル酸→4-カルボキシベンズァルデヒド→テレフタル酸 と進む連鎖反応であると考えられる。連鎖開始はヒドロペルオキシドとCo2+の反応,連鎖進行はCo3+による被化物の酸化とラジカルまたはヒドロペルオキシドのCo2+による還元である。ヒドロペルオキシラジカルによる水素引き抜きはCosによる水素引き抜きの10分の1以下である。また炭化水素またはアルデヒドとCo3の反応に対してHammett則が成立した。
  • 西久保 忠臣, 高岡 恒郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 327-330
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    HMPAなどの非プロトン性極性溶媒中で,4-クロロ-3-ニトロ安息香酸[1],2-クロロ-5-ニトロ安息香酸[2]とナトリウムアジドとを反応させて,それぞれ4-アジド-3-ニトロ安息香酸[3],2-アジド-5-ニトロ安息香酸[4a]を合成した。得られた[3]は固体状態で熱および光で容易に脱窒素を起こして5-カルボキシベンゾフラザン-1-オキシドを与えた。また2-アジド-5-ニトロ安息香酸は固体状態では[4a]よりも[4b]~[4 c]の構造をとっているものと推定した。
  • 藤田 治重, 山下 正太郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 331-333
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無触媒不均一反応系におけるフェノール[1a],o-クレゾール[1b],m-クレゾール[1c],p-クレゾール[1d],o-ニトロフェノール[1e],m-ニトロフェノール[1f],p-ニトロフェノール[1g],p-アセトアミノフェノール[1h],o-メトキシフェノール[1i],m-メトキシフェノール[1j],P-メトキシフェノール[1k],p-アミノフェノール[1l],o-ヒドロキシベンジルアルコール[1m]のメチレン化反応について検討した。
    塩化メチレンおよび溶媒の混合溶液に[1a~m]と無水炭酸カリウムとを別々の注入口から加えて[1a~m]の濃度が反応系中で低濃度になるように調節して行なう著者らの創案した方法によって試みたところ,DMSO溶媒を用いた場合,メチレン化剤の中でもっとも安価な塩化メチレンの使用により短時間の旧記で,しかも[1a~m]に対応する高純度のメチレンジオキシ化合物が好収率で得られることを見いだした。
  • 高橋 雅彦, 菅原 範幸
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 334-338
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-ピリジンルボキサミドラゾソ[1]とヘテロクムレンとの反応から付加生成物を得,これをさらに閉環させることにより1,2,4-トリアゾール誘導体を合成した。すなわち2-ピリジンカルボキサミドラゾンとイソシアナートから3-置換-1,2,4-トリアゾール-5-オン[6a]が,イソチオシアナートから3-置換-1,2,4-トリアゾール-5-チオン[6b]が,ジフェニルケテン-P-トリルイミンから3-ジフェニルメチル-5-(2'-ピリジル)-4-p-トリル-1,2,4-トリアゾール[11]が,そしてジフェニルケテンから3-ジフェニルメチル-5-(2'-ピリジル)-1,2,4-トリアゾールニ[12]がそれぞれ得られた。
    また,2-ピリジンカルボキサミドラゾソ[1]とホモフタル酸無水物とから3-(o-カルボキシベンジル)-5-(2'-ピリジル)-1,2,4-トリアゾール[14]を得たのち,さらに脱水閉環させることにより2-(2 -ピリジル)-(1,2,4)-トリアゾロ[1,5-b]インキノリン-5-オン[16]を合成した。
  • 藤崎 静勇, 西岡 利勝, 小田 悟, 村田 淳, 梶返 昭二
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 339-343
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3-エポキシプロピルェチルスルフィドとヨウ化メチルとから2,3-エポキシプロピルエチルメチルスルポニウムヨジド[Za]が生成するというNenitzescuらの報告があるが,このたび彼らの実験を再検討したところ,彼らの得たものは[la]ではなくて,[la]の二量体(1,4-ジオキサソー2,5-イレンビスメチレン)ビス(エチルメチルスルホニウム=ヨージド)[2a-1]であることが判明した。
    一方,このようなジオキサン環を含むスルホニウム塩[2]であるスルポニウム=ペルクロラートやスルホニウム=フルオロボラートが,それぞれNaC104水溶液やNaBF4水溶液中でジメチルスルフィドと1-クロロ -2,3-エポキシプロパンとを室温で反応させて容易に合成された。
    [2]はジアルキルアミンにより脱アルキル化して(1,4-ジオキサン-2,5-イレソビスメチレン)ビス(アルキルスルフィド)[3]となった。またこのスルフィド[3]をH202で酸化すると相当するスルホキシド[5]やスルホン[6]となった。とくに(1, 4-ジオキサソ-2,5-イレンビスメチレン)ビス(メチルスルフィド)[3b]と当量のH202やHNO3との反応では,融点が異なる2種のスルホキシドの異性体[5 b-1]および[5 b-2]が分離された。さらにまた[5b]に当量のHNO3を作用させると相当するスルホキシニウム=ナイトラート[7b]が得られた。
  • 藤崎 静男, 岡野 進一, 杉山 茂, 村田 淳, 梶返 昭二
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 344-349
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (1,4-ジオキサン-2,5-イレソビスメチレン)ビス(ジメチルスルホニウム=ペルクロラート)[2a]は,この研究室において,すでにNaCIO4水溶液中ジメチルスルフィドと1-クロロ-2,3-エポキシプロパン[1a]との反応で合成された。
    このたび,[2a]はまたHClO4水溶液中ジメチルスルフィドと[1a]とを反応させ引きつづきNaOH水溶液で処理してつくられることが判明した。この手順は前の方法よりもっと有効な[2a]の合成法であった。
    この方法で,多くのスルホニウム=ペルクロラート[2]が,いくつかのジアルキルスルフィド類や1-クロロ-2,3-エポキシプロパン誘導体[1]を用いて合成された。
    この誘導体[2]はジアルキルアミン水溶液と還流させて(1,4-ジオキサン-2,5-イレンビスメチレン)ビス(アルキルスルフィド)誘導体[3]へ容易に変えられた。
  • 岡本 勇三, 杉田 嘉一郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 350-355
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビス(3-アニリノ-1-フェニル-2-プロペン-1-オナト)銅(II)[1a]およびビス(3-アニリノ-1-フェニル-2-ブテン-1-オナト)銅(III)(lb)と塩化ベンゾイルとの反応における共存アミンの影響について検討した。ピリジン存在下,[1a]をベソゼン中で塩化ベンゾイルと50~55℃または還流下に2時間反応させ,C-ベンゾイル化物[2a],N-ベンゾイル化物に相当するベソズアニリド[3]および塩化銅(皿)のアミン付加物[6]を得た。2,6-ジメチルピリジンまたは2,4,6-トリメチルピリジンの存在下では,[2a],[3],[6]のほかに塩素化物[4a]を単離したが,トリ-n-プロピルアミンの場合には,[6]は得られなかった。また[1a]を塩化銅(II)の2,6-ジメチルピリジン付加物[6C]とベンゼンの沸点下で反応させ,[4a]を単離した。[lb]と塩化ベンゾイルとの反応を,ピリジンまたは2,6-ジメチルピリジン共存下に50~55℃で行なった場合は,C-ベンゾイル化物[2b]が高収率で得られた。さらに反応の経時変化を電子スペクトル的に検討し,アミン存在下における[1]のC-ベンゾイル化および塩素化の機構について考察した。
  • 永井 正敏, 瓜本 英雄, 崎川 範行
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 356-361
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    NH,Yゼオライトを200~650℃で前処理した触媒を用いてジベンゾチオフェンの接触水素化脱硫反応を回国法で研究した。ゼオライトの全電量および脱硫活性はNHイオンの交換率にともない増加し,脱硫活性は焼成温度350℃から増加しはじめ,500℃付近で最大に達しそれ以上では減少した。500℃以上のNH4Y焼成体によるジベンゾチオフェンの脱硫生成物にはトルエンが認められたが,200℃および350℃の生成物には認められなかった。塩基性窒素化合物の添加により触媒活性はつぎの順序で大きく低下し,インドルやピリジンでは反応はほとんど進行しなかった。
    ジフェニルアミン>n-ブチルアミン>アニリン>ピリジン=インドール
    固体リン酸およびアルミナ触媒はほとんど脱硫活挫を示さなかった。しかし,O.01~0.05 wt%Pt担持量のNH4Yおよびアルミナでは脱硫活性はいちじるしく増加した。
    以上の結果から,NH4Y焼成体によるジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応に有効な活性点はLewis酸点とプロトン配点が必要であり,ジベンゾチオフェソがLewis力点にまず吸着され,つぎに水素原子の攻撃によって反応は進行すると考察された。
  • 鈴木 茂, 桑原 仁太郎, 番匠 吉衛, 宮根 正樹
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 362-365
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フタロニトリルと銅塩をグリセリン中で,尿素の存在下に約150℃ですみやかに混合し約10分間反応させることにより平均粒径0.25u;の微細な銅フタロシアニンが得られた。これは硫酸法によって顔料化したα型銅フタロシアニンに匹敵する性能を示した。X線回折などで生成物を調べた結果非晶質部分の多いmetastableα型に近い結晶構造を有するものと推定した。
  • 藤原 義人, 畑 忠太, 松原 義治
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 366-368
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光学活性ショウノウ(カンファー)の合成法について検討した。まずl-およびd-2-ピネン[1]にモノクロロ酔酸と溶媒としてジクロロエタンあるいはべンゼンを加え,カチオン交換樹脂を添撫して,70~95℃で2~10時間はげしくかきまぜ,l-β-フェンチルアルコール[4a],イソボルネオール[4b],ボルネオール[4c]の混合物を得,ついでエタノールから分別結晶を行ないl-およびd-ボルネオール([4b]:[4 c]=55/45)を得た。つぎにl-およびd-ボルネオールを不活性溶媒(P-メンタンあるいはP-シメン)に溶解し,銅-亜鉛系触媒を用いて265±5℃で脱水素反応を行ない,得られた脱水素反応生成物から不活性溶媒を留去して得た粗ショウノウを簡単な昇華で精製してムおよびd-ショウノウを得た。これらの光学活牲ショウノウはそれぞれmp 172℃,[α]D25-14.8°および+24.75°(c=10,エタノール)の性状を有し,経済的な光学活性ショウノウ合成の可能性を見いだした。
  • 国府田 悦男, 平田 光男, 岩井 信次
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 369-373
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    分子量(Mn)の異なるポリアクリル酸ナトリウムの電気易動度と粘度の相互関係を検討した。易動度と粘度は,25℃で,イオン強度0.2のCH3COOH-CH3COONa系とNa2HPO4-KH2PO4系の緩衝溶液を溶媒として,pH 3.2~8の範囲で測定した。
    極限電気易動度(Uc)は,このpH範囲で,pHのみに依存し,Mn に依存しなかった。 pHをパラメーターとして,極限粘度([η])のUc→0の依存性を表わすために,一定pH下でMnの異なった試料から得られるUc→0の平均値に対し,[η]をプロットした。Uc→0対[η]のプロットは,原点を通る直線として表わされ,直線の傾きはMn0.76に比例して増加した。以上の結果に基づき,Uc→0と[η]の関係を次式で表わした。
    [η]=6. 6×10-1 UUc→0 Mn0.767
    この関係は,Flory-Foxの理論と比較することによって考察した。
  • 有田 喜一, 白石 振作, 妹尾 学, 浅原 照三
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 374-378
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    テトラプロピレンベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)の存在下,水媒体不均一重合系で通常のラジカル開始剤を用いずに各種のメタクリル酸エステルおよびスチレンの重合を行ない,速度論的検討を加えた。重合速度とABS濃度との関係は,メタクリル酸エステル類とスチレンの場合で見かけ上大きな差が認められたが,重合速度とミセル数との関係ではいずれのモノマーに関してもよい直線関係が見いだされた。
    界面活性剤としてオレイン酸ナトリウムを用いた場合,メタクリル酸エステルのアルコール残基の炭素数が増すとスチレンと同様に顕著な重合性を示し,その重合速度はABSを用いた場合と同様にミセル数とよい直線関係がみられた。メタクリル酸メチルの場合には,オレイン酸ナトリウム濃度を2g/100ml以上にした場合にのみ重合することが認められた。
    重合開始反応に,モノマーを可溶化したミセル相において開始ラジカル種が生成するとして,Michaelis-Mentenの式を用いて解析を試みた。
  • 有田 喜一, 白石 振作, 妹尾 学, 浅原 照三
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 379-382
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アニオン界面活性剤-ビニルモノマ-水系で通常のラジカル開始剤を用いることなしに重合反応が進行するが,その重合系に少量の過酸化ベンゾイル(BPO)を添加し,メタクリル酸メチルやスチレンの重合を行ない,上記の重合系と通常の乳化重合系との比較検討を行なうと同時に,モノマ一過酸化物や界面活性剤の過酸化物の開始機構への影響を検討した。
    BPOの添加効果は界面活性剤の種類により異なり,いずれのモノマーの場合にもアニオン系の界面活性剤を用いたとき,特異な現象を示すことが認められた。
    モノマー過酸化物や界面活性剤過酸化物は過酸化物濃度が高くなると顕著な重合活性を示すが,その濃度が非常に低い場合にはミセルと可溶化されたモノマーの相互作用の効果が無視できない。
  • 橋田 勲, 西村 正人
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 383-389
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    多孔性構造をもった各種のポリビニルピリジン樹脂のNO2吸着能と吸着機構について検討した。吸着能は,ポリ-4-ビニルピリジンポリ-2-メチル5-ビニルピリジンポリ-2-ビニルピリジンポリ-5-エチル-2-ビニルピリジンめ順に減少する。微分吸着熱はポリ-4-ビニルピリジン系では4.1~5.0kcal/mol,ポリ-5-エチル-2-ビリジン系では1.0~1.9kcal/molの値を示した。吸着状態では1630cm-1と1325cm-1にNO2に帰属される強い吸収が認められるが,N04の特性吸収はみられない。また,IRスペクトルからはピリジル基との配位結合による分子錯合体および亜硝酸エステルの形成は認められないので,吸着は,NO2とピリジル基との双極子間相互作用によって起こる。吸着量の少ないポリ-4-ビニルピリジン樹脂では,室温でg=2.022,2.004,1.983に,飽和吸着した樹脂ではg=2.014,2.004,1.988にg値をもつ異方性のESRシグナルが観測された。これらのスペクトルは吸着されたNO2に帰属されるシグナルではなく,NO2との相互作用によって樹脂中のエチルベンゼンおよびジビニルベンゼン上に生成したラジカルに基づくシグナルであると推論した。
  • 遠藤 剛, 水島 直樹, 福田 博行, 大河原 信
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 390-395
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メタクリロヒドロキサム酸をホスゲンで処理し,2-イソプロペニル-1,3,5-ジオキサゾリン-5-オン[2]を好収率で得た。[2]はアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として重合し,またスチレンと共重合する(Alfrey-Price値, Q=1.20,e=O.25)。共重合体[4]は200℃付近で分解し,NCO基をもつポリマー[10]となり,[10]はアミン,アルコールと100℃で反応しそれぞれ尿泰,ウレタン誘導体を与える。[4]およびそのモデル化合物は室温でアミンと反応し,O-カルボモイル化ヒドロキサム酸を与え,これはさらにアミンと反応するとヒドロキサム酸を,加熱すると尿素誘導体を与える。[4]は室温で水と反応しないが,[2]とN-ビニルピロリドソとの共重合体は親水性のため水とよく反応しヒドロキサム酸誘導体を与える。こQように[2]の構造を含む共重合体はイソシアナート機能のプレ一サーとなり,活性水素化合物と反癒する興味ある反応性高分子であることを明らかにした。
  • 増田 勇三, 池田 博昭, 村田 則夫, 梶原 利郎
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 396-397
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ultrasonic absorption coefficients in critical binary mixture of nitrobenzene-n-hexane have been analyzed by the method of D'Arrigo et al. based on Fixman's multi-relaxation theory. Characteristic parameters due to the rate of decay of critical fluctuation have been estimated from these data as a function of the temperature.
    For our purposes it is convenient to write the results of the Fixman's theory in the following form
    /f2 = af-1[fD-1/4[d1/2Tm[f(d)]]] + B
    where fD is acharcterisitic frequency due to the rate of decay of critioal fluctuation, d is a reduced variable (fD/f)1/2 and A is a parameter of reiaxation absorption as a function of the thermodynamic quantity.
    Present results of the dependency of characteristic frequency fD upon the temperature has been supported by Scaling Law's prediction and by Mictura's results analyzed in terms of the Fixman-Kawasaki's theory. But it has been found that the temperature dependence of the parameter A can not be explanined by Fixman theory.
  • 佐藤 瓏, 栗田 有康, 木瀬 秀夫, 妹尾 学, 浅原 照三
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 398-399
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The telomerizations of 1, 1, 1, 3-tetrachloropropane (TCP) with α-olefins were carried out in the presence of triethyl phosphite (TEP)-FeCl2 or FeCl3. The main products were the simple adducts of TCP with α-oleins, which were identified as 1-substituted 1, 3, 3, 5-terachloropentanes, ClCH2CH2CCl2CH2CClRR'. The result indicates that the reaction proceeds by abstraction of chlorine atom of TCP. The conversion of the olefin to the adduct was found to increase with an increase in TCP/olefin ratio.
  • 藤崎 静男
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 400-401
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (1, 4-Dioxan-2, 5-ylenebismethylene)bis(dimethylsulfonium salt)[2] hadalready been prepared from the reaction of dimethly sulfide with -chloro-2, 3-epoxypropane[1a] in an aqueous solution conction NaClO4 or NaBF4.
    The reaction of dimethyl sulfide with 1-chloro-3-deutero-2, 3-epoxypropane[1b] in aqueous NaClO4 led to [1, 4-dioxan-2, 5-ylenebis(monodeuteromrthylene)]bis(dimethylsulfonium perchlorate)[2b].
    From the resuls it was proved that the sulfonium salt [2] wa formed by ring-opening of the epoxy compound, Which was caused by nuclephlic attack of sulfur atom of dimethyl sulfide to position 3 of [1a], followed by dimerization.
  • 藤崎 静男, 花田 和行, 平石 孝, 友田 明, 梶返 昭二
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 402-404
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Alkyl 2-cyanoethyl sulfides [2] were prepared by the reactions of mercaptans with acrylonitrile with the aid of Triton B. The reactions of [2] with 1-chloro-2, 3-epoxypropane in the presence of aq. HClO4 (60%) led to aqueous solutions of alkyl(3-chloro-2-hydroxypropyl)(2-cyanoethyl)sulfonium prechlorates [3].The additions of aq. NaHCO3 to the above solutions caused the Hofmann Degradation of [3], and afforded alkyl 3-chloro-2-hydroxypropyl sulfides [4] in good yields.
    Further, bis(3-chloro-2-hydroxypropyl)sulfide [6], which can be one of starting materials of epoxy resins containing sulfur atom, was also synthesized bythis method.
  • 杉本 晃, 井上 博夫, 井本 英二
    1975 年 1975 巻 2 号 p. 405-406
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The dark- and photo-conductivities of the mixture [1-2] of 1, 6-diaminophenazine [1] and 1, 6-dinitrophenazine [2] ([1]:[2]=1:1.3) and the mixture [3-4] of 1, 6-dimethoxyphenazine [3] and 1, 6-dichlorophenazine [4] ([3]:[4]=1:1.6) have been investigated. The dark conductivity of [1-2] (p20:1015 Ω-cm, Δ ε : 1.5eV) is better than that of [1] or [2], while [3-4] is similarin its dark conductivity to [3]. The photocurrent spectrum of [1-2] has two peaks at 430 and 560 nm, although no photocurrent peak at 560 nm is detected for itsmatrix, [1] or [2]. No distinctive difference of photoconductivity could be found among [3], [4] and [3-4].
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