ゼオライトを触媒とするホルマリンからのトリオキサン合成反応について検討した。この反応に活性を示すのは SiO
2/Al
2O
3 比が 15 以上の高シリカゼオライトであり,特に高活性を示したのは SiO
2/Al
2O
3 が 25 以上のゼオライトであった。このことから水溶液系の反応においては高シリカゼオライトの疎水性が活性発現に必須要件であることがわかった。
ZSM-5 では粒子径が 20μm と大きい場合はトリオキサンの選択性が極めて低く,ギ酸,ギ酸メチルが多量に副生し,粒子径の減少とともに選択性が向上した。
各種ゼオライトの選択性を比較すると 12 員環細孔を有するモルデナイト,ゼオライトβが高選択性を示すのに対して 10 員環細孔を有する ZSM-5,ZSM-35 はギ酸,ギ酸メチルの副生が多く低選択性であった。
ZSM-5 の有機塩基による被毒実験から,本反応に対する活性点は細孔内に存在する酸点であり,細孔外酸点は不活性である事がわかった。 ZSM-5 における粒子径による選択性の差やゼオライトの種類による選択性の差はゼオライトの形状選択性の結果であり,分子径の大きいトリオキサンの拡散には 10 員環細孔を有する ZSM-5 では微粒子が,また,ゼオライト種としては 12 員環細孔を有するゼオライトが有利であることがわかった。
ゼオライトβとイオソ交換樹脂の 500 時間の触媒寿命試験の結果,ゼオライトβはイオン交換樹脂に比べて熱安定性に優れ,長寿命であることがわかった。
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