ペルフルオロ環状イミンとしてペルフルオロ(5,6-ジヒドロ-2
H-1,4-オキサジン)(
1)およびペルフルオロ(3,4-ジヒドロ-2
H-ピロール)(
2)を用い,トリメチル(トリフルオロメチル)シラン(
3)との反応によるトリフルオロメチル基の導入を試みた.等モル量の
3を用いた場合でも,一置換体のみならず複数のトリフルオロメチル基を有する多置換体が得られた.この際に,
1からは5,5-二置換体が生成したのに対し,
2からは2,2-二置換体以外にも2,5-二置換体が生成した.この二置換体の収率は溶媒を代えることにより変化した.さらに,
2と
3の反応においては,トリフルオロメチル化と同時にヘテロ環の二量化反応も進行し,3種類の二量体が生成していた.ヘテロ環に結合している置換基の影響を調べるために,イミノ基の炭素に結合したフッ素原子を2,2,2-トリフルオロエトキシ基で置換した化合物に対して
3との反応を行った.無置換のペルフルオロ環状イミンと同様に複数個のトリフルオロメチル基が導入されていたが,2,2,2-トリフルオロエトキシ基の脱離-付加反応も同時に進行していた.一方,ピロリジン環の二量化は置換基の導入により阻害されることがわかった.
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