モンモリロナイトーポリアミド複合多孔体(PMPC)と金属塩化物(CoCl
2,CuCl
2,NiCl
2,MgCl
2,CaCl
2,NaCl)水溶液との相互作用について,赤外吸収測定および洗浄過程での残留金属塩量の定量,底面間隔(d
001)の測定により検討した。
PMPC と 0.5M 金属塩水溶液との反応に際し,イオン交換のみならず,金属塩が Mont 層間へ侵入する現象が生じた。層間に侵入した塩は洗浄の繰り返しにより離脱するが,洗浄過程での保持され易さはポリアミド複合量(R)の増加とともに段階的に増した。
洗浄過程における層間での金属塩の保持には, 2 分子層と 3 分子層とのランダム混合層構造に含まれる,シリケート層と直接に相互作用していないポリアミドと金属塩との相互作用が主に寄与すると推測された。また,本実験条件下では,層外に存在するポリアミドによる金属塩の吸着は少なく,金属塩の残留に対する寄与は小さいと考えられた。
金属塩との反応後,十分に洗浄したイオン交換 -PMPC (50回洗浄物)および 5 回洗浄した PMPC (5回洗浄物)の IR スペクトルから,層間陽イオンあるいは金属塩と PMPC との相互作用は,金属イオン種により, A グループ(CoCl
2,CuCl
2,NiCl
2), B グループ(MgCl
2,CaCl
2)および Cグループ(NaCl)の 3グループに分かれることが示された
Aグループの場合,試料中の水分の有無により, IR スペクトルは大きく異なった。乾燥された試料においては,層間陽イオンおよび金属塩化物のいずれも,アミド基の C=O との間に配位結合を生じた。しかし,水分存在下ではこの配位結合は阻害された。
Bグループの場合には,乾燥状態によらず,配位結合は生じないで水和金属イオンとアミド基との相互作用が生じた。また,層間陽イオンとアミド基との相互作用と,金属塩化物とアミド基とのそれとは異なるものであった。後者では,ハロゲン化物イオンとアミド基の N-H との相互作用が含まれることが示唆された。
また,Cグループの場合のアミド基との相互作用は,A,Bグループの場合よりはるかに少なかった。
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