本稿は、先進国企業による新興国市場参入・市場浸透戦略のひとつの事例研究として、インドのプリンタ市場のケースを取り上げる。近年、急速な経済発展を遂げるインドでは、様々な耐久消費財が普及期を迎えつつある。そうしたなかで、現地のプリンタ市場はどのように形成されているのか。それぞれの市場分野でプリンタはどのような使われ方をしているのか。ここでは、インドプリンタ市場に関するフィールド調査から、途上国市場特有の製品用途や消費者ニーズの実態、市場関連制度の特徴等を抽出し、同国中間層市場に向けて製品やビジネスモデルを浸透させていく際の留意点について考察していく。
ここ数年、米国を震源地として知的財産への新たな投資と流通の仕組みが登場してきた。中でもインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)社は、「インベンションキャピタル(発明資本)」をスローガンに掲げ、世界の“知”の囲い込みを目指している。彼らのビジネスの先には、「インベンションキャピタル・マーケット(発明資本市場)」の実現も視野に入り、知財戦略は大きな転換期を迎えている。そうした動きの中で、日本は産業競争力強化のためにどのような知財インフラを整備し、新たなビジネスモデルを構築していくべきか、今こそ大胆な発想の転換が求められている。
昨今、iPadの登場などにより日本を含む世界全体において電子書籍市場が拡大傾向にある。アップル社に留まることなくソニー、アマゾン、グーグルといった世界の一流企業がこの市場への参入を試みており、今後この市場は拡大が予想される。しかし一方で提供できるコンテンツの量や質、電子書籍を読む媒体と電子ブックリーダーの性能など問題点も多く、これらの問題点をどうやって乗り越えていくかが電子書籍普及の今後の鍵といえるであろう。