本稿では、組織における新技術評価について、主に日中アニメーション産業の「Flash アニメーション」への対応事例を通じて明らかにする。既存技術である手描きアニメーションと比べて、新技術であるFlash アニメーションは労働節約的な新技術と認識されている。しかし、日本に比べて労働コストが相対的に低い中国のアニメーション制作企業の方が、Flash アニメーションを積極的に導入している。その要因を明らかにするのが、本稿の目的である。結果として以下の点が明らかになった。ひとつ目は、中国の企業は既存技術である手描きによるアニメーションの制作能力に関して日本に劣っていたが、Flash アニメーションでは品質的な差が生じにくく、相対的に評価しやすいものであったということである。二つ目は、労働コストに対する製品の買い取り価格が日本に比べて中国の方が低く、労働節約的なFlash アニメーションを評価しやすいものであったということである。加えて、日本に比べて中国ではアニメーション市場が拡大傾向にあったり、制作企業自身が制作費を負担して主導権を握っていたりするために、新技術導入の決定をしやすい状況であることも明らかになった。
中遠・西遠地域データ分析シリーズでは、規模と存続、資源の投入量と生産性、輸出と製造拠点の国際化に焦点を当て、ここ20–30 年の変容の実態把握を行った。本論では、それらの結果の背後にある企業行動と今後の課題を提示する。シリーズ (1)~(3) の結果を俯瞰することで発見した興味深い企業行動としては、例えば、海外拠点と国内拠点の補完関係の構築、逆境に適応するための様々な活動転換の実施が挙げられる。
ここ10 数年間で、多くの技術、製品が登場し、世の中は急激に変化している。そのような中で、世界を変える可能性のある技術として、クラウドコンピューティング、ソーシャルネットワーク、センサーネットワーク、モバイルデバイス、スマートテクノロジー、クラウドソーシング、ビッグデータなどが存在する。これからの社会では、これらの技術と連動した新たな社会制度やマネジメント方法が求められていくであろう。