サプライヤーが製品開発を行う際、顧客企業の要求に応えるのはもちろんのこと、時には彼らの抱える問題を先取りしてその解(ソリューション)を提案し、刺激を与え、顧客を巻き込みながら問題解決を図っていくことも必要である。ではサプライヤーは一体どのようにしてそうしたソリューション提案を実現していけばよいのだろうか。本稿では、住友スリーエムの自動車用樹脂面ファスナーの開発事例の分析を中心に、サプライヤーにおけるソリューション戦略のあり方を検討する。
2001年ビットワレット株式会社が電子マネー「Edy」のサービスを開始して以来、電子マネー業界は拡大の一途を辿っている。しかし日本では依然、現金による決済が主流であり、電子マネーの決済比率は低いレベルに留まっている。電子マネーがより多くの消費者に利用されるためには、利用可能店舗の拡大をベースにユーザ利便性を高めることにより、現金により近い通用性を実現していかなければならない。加えて、現金では提供できない電子マネー独自の便益を継続的に提供していく必要がある。その第一弾として開始した「Edyスマイルクーポン」サービスは、利用者と加盟店を結び付け、両者に対して現金では実現できない高い付加価値を提供するサービスである。同サービスを実施することで得られる購買情報は、加盟店でのマーケティング活動を支援する価値ある情報となっている。今後、ユーザ指向を強く意識し電子マネーを普及させる施策を継続すれば、電子マネーの通用性は向上し、利用者に広く受け入れられることになるであろう。各サービス提供事業者はお互いに競い合うのみではなく、利用者や加盟店の利便性の拡大を企図して「共創」することが重要となる。特定の事業者が自己の利益のみを最大化しようとする限り、電子マネー業界の真の拡大は望めないであろう。