ブランドとは何か。ブランド構築に欠かせない要素とは何か。筆者はブランド構築の仕組みを解き明かそうと取材を続けてきたが、最近、「結局のところ、ブランドをつくるのは人であり、それを守り、発展させるのも人である」という思いが強くなってきた。マーケティング、営業、販売、接客など「ブランドづくりの根幹」と見られがちな部門だけでなく、製品開発やデザイン、生産部門、人事、総務など企業のあらゆる部署が、企業のブランド価値と密接に関係している。さらに、企業がグローバルな展開をすればするほど、ブランドの哲学・精神をいかに正しく、力強く伝えられるかがカギとなる。そのDNAの役割を果たすのも、結局は「人」なのである。今回はグローバル企業3社の最前線から、人づくりを通じたブランド戦略を検証する。
ややもすると特許件数やロイヤルティー収入の額に目が行きがちな大学の技術移転を産学連携の現場の視点から捉え直す。そこは、マーケッタビリティーを機軸とする営業活動の中で、大学と大学に所属する研究者の権利をいかに守るかのせめぎ合いの現場である。真の技術移転とは特許の移転ではない。特許を作り出せるだけの技術をもった人の移転である。研究教育機関としての大学の真価はそこにある。
新竹科学園区は、アジア初のシリコンバレー型産業集積である。しかしながら新竹を産業集積・クラスターに関する議論に立脚して研究した成果というのはそれほど多くない。そこで、集積の成立とその要因、分業・集積の維持・拡大の原理という二つの問題意識から研究を行った。その結果、新竹の発展プロセスにおいては集積そのものは意図的なものであった、戦略の応用力・創造性が発揮された、政策メリットを最大限に活用しつつ企業間調整費用の最小化が図られたという三つの特色が明らかとなった。加えて、その意図せざる結果としてモジュラー化分業体制が構築されている。そしてその分業体制は進化し続けており、新竹内の企業間インターフェース構造はそれによって製品、工程の双方でモジュラー・インテグラルの両アーキテクチャーに対応することを可能にしている。この結果として新竹は技術環境の変化や集積・分業不要説の中で常に分業・集積を維持・拡大しつづけているのである。