本報告は、2003年12月、2004年2月に行った日系企業のASEAN拠点の調査をベースにしている。現在、「中国」を巡るアジア域内分業体制の再編が日系企業の急務となっている。対中国投資が急増する中で、既存のASEAN拠点にどのような位置づけを与えるか、これが問われている。今回の日系企業の調査では、対中国を意識しながら、ASEAN拠点を戦略的に活用する方向性が見て取れた。つまり、中国シフトによるASEAN拠点撤退ではなく、既存拠点活用に向けて、工場を再生させ、また戦略拠点化することに力点が置かれていた。本報告は2回に分けている。(上)では、自社工場及び買収工場の再生、ASEAN域内拠点の再編を、(下)では、中小企業のASEAN展開を紹介する。
現代日本のアパレル産業は、市場の成熟によって引き起こされた多くの課題に直面している。縫製メーカー、タカラグループでは、素材物性を解析して生産上の問題発見能力のみならず、アパレルメーカーと情報をやり取りしてデザイナーの意を汲み、自ら生産時点で設計情報を創造して製品品質を高める問題発明の能力も組織的に開発している。これらは、同社が歴史的に従業員の能力開発を積極的に行ってきた成果である。
激化する市場環境の中で勝ち抜くためには、設計の手戻りを削減し、早期段階で品質を作り込むことが最善の打ち手となる。一方、製品開発段階で発生する問題の多くは、過去のプロジェクトですでに解かれた問題であることが多い。こうした過去の知識は、様々な問題により埋もれたままの宝となってしまっているのが現状である。「Alize®」は、SSM理論に基づいて、過去の知識をデータベース化して活用することにより、設計品質を向上させ、製品開発リードタイムの短縮をはかるためのITツールである。