Marshallの集積論は機能論的で、Weberの集積論は発生論的である。産業集積を動態的な視点から見るには二つの系統を統合する必要がある。そこで、まず、日本の産業集積に関して機能論的な立場から文献レビューを行い、その手がかりを探ることとした。結果、受注側の機能は論じられているが、発注側の視点からの分析はほとんどないことが分かった。以上を踏まえ、大手企業・口座保有企業・中小零細企業の三つの主体に分けて受発注双方の論理を解明し、理論構築することが必要だと説く。
ソフトウェアがハードウェアの“おまけ”的存在であった時代から価値獲得の手段として主役となった現在に至るまで、コンピューター・ソフトウェア産業は、政府、学会、ユーザー、テクノロジーベンダーが渾然一体となった業界イノベーション・システムを形成し共進化してきた。各時代において競争に打ち勝ってきた大手ベンダーは、それぞれ独自の手法を用いて自社製品をイノベーション・パイプラインに送り込み、通過させることに成功している。本報告では、先端IT企業のイノベーションマネジメント手法としてコミュニティ・イノベーションを取り上げて考察する。