本稿は、制度ロジック (institutional logic) 概念および制度ロジック多元性 (logic multiplicity) 概念についてレビューし、今後の研究課題を明らかにした研究である。本稿は、制度ロジック概念の意義を追求するための制度ロジック多元性を前提する必要性について検討し、制度ロジック研究における研究課題を改めて理論的に検証した。また、本稿は制度ロジック多元性を検討する対象として組織のイノベーションマネジメントに注目し、さらに研究課題を導出した。
静岡県の鋳造メーカーである木村鋳造所は、既存技術であるフルモールド鋳造法で培われた知識・ノウハウを流用して新技術である3D プリンタ鋳造法の素早い導入に成功した。本研究は、当該企業の新技術導入の経緯を詳述し、企業のもつ既存資源 (知識・ノウハウなど) を新技術導入に際して活かすプロセスについて分析し、仮説を提示するものである。