フリーウェア、シェアウェアの開発事例を分析する。これらオンラインソフトの開発では、開発者とユーザがより緊密に直接的な結びつきを持ち、あたかもユーザが開発活動の一端を担っているような現象が観察された。この現象をユーザの組織化と呼ぶことにするが、パッケージング販売を最初から放棄し、流通経路をおもにインターネットに求める「脱パッケージ化」というオンラインソフトにおける意思決定が、単なる流通経路の選択にとどまらず、ユーザの組織化と開発への貢献を引き出し、また、ソフトウェアの完成度がパッケージソフトほどは求められないため、開発・流通のコストが比較的小さくなることが、開発スタイルに劇的な変化をもたらすことを明らかにする。このため、オンラインソフトではバージョンアップのペースとして観察される「開発サイクル」の回転を速めることができ、ソフトウェアの品質やパフォーマンスが一般的なパッケージソフトと比べて格段に速く向上していくのである。
本稿では、従来ほとんど議論されてこなかった、半導体IP Core市場に焦点を当てて、市場立ち上がりの背景やIP市場の課題、IP Core時代の新しい価値観等について考察し、IP Core時代における日本企業の課題を示す。