近年、ファシリティ・コストの削減や知識創造の観点からノンテリトリアル・オフィスの有用性が喧伝されているが、既存のオフィス研究はプライバシーやパーソナリゼーションが問題になる可能性を指摘している。ただし、いくつかの条件を満たせばこれらは問題にならないことも示唆されている。以上から、(1)ノンテリトリアル・オフィスの安易な導入は慎むべきだということ、(2)ノンテリトリアル・オフィスの成功条件を探る研究・調査の蓄積が望まれていることを示す。
今日の日本の化学産業では機能性化学分野での国際競争力の強さに注目が集まっている。本稿では機能性化学品の先駆けと言えるカネカのMBS樹脂事業を事例として、開発と製造における統合型組織能力の視点から、カネカの競争力の源泉を理論的・実証的に分析した。
近年の台湾・韓国に代表される東アジア新興国の成長には著しいものがある。半導体・液晶パネル産業のような設備投資競争が国際競争力の鍵となる産業において、各国の税制が果たす新しい役割について紹介を行う。1990年代以降、先進国から新興国への技術普及スピードに税制が大きく関与していると考えられている。しかし、その詳細は明らかになっていない。本稿研究では、設備投資に関わる各国の制度を整理した上で、同一事業を日本・台湾・韓国で行った場合、制度要因のみで、どの程度、企業業績に影響があるのかを推定した。