本稿は、日本企業X 社を対象に、2004 年度から2015 年度までの12 年間に行われた年に一度の質問調査票を使った全数調査データに基づいている。因果関係は、組織が大きく揺れ、多くの変数が変動する場合にのみ現れるが、長期的定点観測により、見通し指標が職務満足と相関し、時系列で連動していることがわかった。他方、自己決定と職務満足の相関は疑似相関であり、時系列でも連動していなかった。また、社長が事業所を訪問し、従業員と対話の機会を設けたことで見通し指数は向上したが、社長が交代して事業所訪問をやめた途端、見通し指数が低下したことも確認できた。さらに、勤続年数に関係なく、比較的低い見通し指数の人が集まる世代が発見され、コーホート効果も確認されている。