本稿は製品アーキテクチャ論を使った産業・企業研究を活用し、試論的に日本企業のモジュラー化主導のありようを整理する。日本企業は擦り合わせの領域をシステム制御モジュールの創造へと焦点化し、部分設計解の問題とすることで設計の合理化を図ろうとする。日本企業によるモジュラー化は無作為の設計行為ではなく、製品設計の最適化と合理化を同時実現する設計戦略の結果である。
ハイテク家電産業では市場の飽和、価格下落の継続進行といった状況に直面しており、製品のコモディティー化が懸念されている。このような中、セットメーカー各社は高機能化を目指しながらも、企業内での製品プラットフォーム化による効率性の追求を行っている。このようなプラットフォーム化のもと、全体最適な製品開発を行っていくためには、どこをプラットフォーム化するかを明らかにしながら、マーケティングや技術戦略を明確にし、製品開発プロセスを変革していかなければならない。そしてこのような変革のためには、組織改革や意識改革が必要である。