製品開発組織と競争力の関係を分析した技術管理論や組織論の既存文献のサーベイを通じて、諸研究の背後にある論理がどのように発展してきたかを考察する。具体的には、製品開発プロセスと新製品の成功の間の一般的な因果関係を探究した初期の研究から、競争力概念を明確に意識した個別産業研究、さらに、効果的な新製品開発プロセスのパターンが製品により異なりうることに注目した製品間比較研究へ、という一連の流れを総括する。
本研究では、アンケート調査と売上データを用いた分析によって、どのような企業がデジタルコンテンツ(ゲームソフト市場)で効果的な製品開発を行い、高い企業成果をあげうるのかが検討されている。デジタルコンテンツの製品開発では、個人の能力・クリエイティビティが脚光を浴び、取り上げられることが多い。だが、分析の結果によると、ゲームソフトでも一定の範囲内の製品では、従来製造業などで見られたように、組織的な開発ノウハウの蓄積・活用が有効であり、高い成果に結びつくことが示されている。
トステム株式会社は、アルミサッシ業界に後発企業として参入したにもかかわらず10年で業界トップの地位に立った。さらに、その後の10年で、情報システムを戦略的に活用することによって、その優位性を確固たるものにした。本稿は、1960年代から80年代のトステムの企業行動について、その参入戦略と成長戦略の戦略形成プロセスに焦点をあてて記述したものである。
ペンローズの主張を正面から理解する鍵は、規模の経済性とは別の概念としての「成長の経済性」を理解することにある。未使用の立ち上げ屋的経営サービスが存在すれば、成長の経済性が生まれ、規模にかかわらず、企業にとっては成長の一歩一歩が利益を生む。成長率には経営的限界があるが、規模には限界がない。