M&Aに関する実証研究の文献レビューを行った。M&Aが効果的な戦略であるということは、既存研究から必ずしも明らかになってはいない。既存研究ではM&Aの株価効果は買収企業にとって負の影響があると結論している。M&Aの業績効果はターゲット企業との事業関連性があるときに正の影響をもたらすと報告されているが、既存研究における事業関連の定義が曖昧であるため、どのような場合に正の影響をもたらすかはわかっていない。今後の研究として三つの方向が求められる。(1) ビジネスセグメント間の補完関係も考慮して事業関連性を明確に定義する (2) リソース・ベースド・ビューを用いたM&A研究をイノベーションと収益性の測定まで拡張する (3) ダイナミック・ケイパビリティ理論を用いて本社のM&A能力を実証的に検討する。
1990 年代末から、TI やADI などの半導体サプライヤーが携帯電話端末の心臓部に当たる「ベースバンドチップセットと通信プロトコル・スタック」を販売し始めた。それにより、新興国の設計受託企業および生産受託企業が欧米のブランド企業に製品開発のサービスを提供し始めた。このような状況の中で、ブランド企業はどのような製品開発分業を行うべきだろうか。本稿では、8 社の台湾系の生産受託企業へのアンケート調査から上記の問題を検証する。