3年後をピークに日本の人口が減少に転じるという「2006年問題」の影響は広範で甚大であることは、前回指摘した。さらに重要なのは、人口減少による日本の社会や経済に与える影響を最小限に食い止めるためには何が必要か、という処方箋を描き出すこと。そのキーワードは、「日本語」「子供」そして「地方」だ。
社会科学、とりわけ経営学における実証研究の方法論について考える。東京大学大学院経済学研究科では、これを「Field-Based Research Methods (FBRM)」と呼んでいる。こうした方法論は、いわばフィールド調査の「場数」を踏んで体得するという面もあるが、座学で学べることも多い。むしろ、まず基本概念やフレームワークをきっちり習得した上で、実証の現場に立つことが望ましい。ここではFBRMの出発点として、アカデミックな研究とデータ収集の関係について考えよう。
電子技研工業はレーザードップラ振動計の開発・販売を目的として、大手計測器メーカーの小野測器を辞めた4名によって設立された。しかし、彼らはすぐに製品開発の点で差別化の困難に直面する。その後、何とか差別化された製品を開発できたが、今度は営業活動が思うように進まず苦しむこととなった。本稿は、この過程を記述したものである。