プリンタのインクやトナー等の消耗品で日銭稼ぎするビジネスモデルの事例を製品アーキテクチャの観点からながめることによって、企業の競争優位性につながる製品設計のあり方を検討する。消耗品の製品設計は、環境リサイクル問題、独禁法抵触問題とも関係が深く、非常に頭を悩ませるものとなっている。また、サード・パーティ製消耗品の市場侵入にも対処しなくてはならない。これらの問題に対処できる、消耗品の戦略的製品設計をさぐる。
本稿では、日本のオンライン証券業界の黎明期を対象に、企業間の差異が生まれていった経緯を、時系列的に記述していく。多くの企業が「新たな顧客が爆発的に増える」という「支配的な通念」にとらわれて激しい手数料引き下げ競争を行っていくなか、自らの信念を貫き、業界リーダーとしての地位を獲得する企業が現れるに至ったプロセスを、主として業界の有力6企業の動きを追うことによって探る。
本報告ではサムスン電子の競争力を同社の企業戦略及び競争戦略の観点から考察し、さらに、これらの戦略を可能にする組織能力について考察している。結論として、企業戦略については、優れた事業ポートフォリオが競争優位の源泉であり、それを可能にした組織能力としては、情報収集力及び専門経営者の能力、オーナー経営による強力なリーダーシップなどが挙げられる。そして、競争戦略と関連して、無線事業部の競争戦略については、徹底した差別化戦略が競争優位の源泉であり、それを可能にした組織能力としては、品質第一の経営体質、部品垂直系列化と開発アウトソーシング、業務プロセス革新と迅速な意思決定、ブランド重視経営、デザイン重視経営などが挙げられる。