前回 (1) (高橋, 2011) では、ウェーバーの「鉄の檻」が実はパーソンズの誤英訳で、本当は「殻」の意味だったことを知って想像力をかきたてられた。産業の黎明期には、幼弱な企業を保護する「殻」が存在していたはずである。それを経営学では「殻」とは呼ばずに別の様々な名称を与えてきた。今回の (2) では、T型フォードを取り上げ、この「殻」に護符のごとくしがみつくことで、フォード社が驚異的な急成長を遂げるまでを描く。それが「殻」として企業の動きを拘束する場面については (3) に続く。
本稿は1980年代から主張されてきた日本企業の海外展開における本国中心主義が、2000年代において克服されているかどうかを明らかにした研究である。本稿では、海外子会社における海外派遣社員の人数を本国から海外への関与の代理変数とし、分析を行った。分析の結果、日本企業の海外展開における本国中心主義は決して弱まっていなかった。さらに、本国中心主義が弱まっていない一因が、海外子会社に製品開発・工程開発といったより複雑な機能が任される際に、本国からの技術的な関与が強くなっているためである可能性を提示した。
現在、IT産業においては、GoogleやAmazonの提供するクラウドコンピューティングが大きな競争力を有しつつある。クラウドをプライベートクラウドと、パブリッククラウドに分けることによって、パブリッククラウドの領域で競争力をもつ、GoogleやAmazonの有する分散並列技術の重要性について触れ、同時に、プライベートクラウドの領域で必要となる能力に触れる。最後に、今後のクラウドでは、スマートフュージョンプラットフォームが重要となってくることを、いくつかの例によって説明を行う。