本稿は日本のアニメ産業を事例に、芸術的な感性を問われる製品制作(開発)における情報技術導入の意義を分析する。まず、開発における工程ごとに詳細に検討することによって、「彩色」「撮影」では業界全体で情報技術が普及しているが、「作画」では一部に3DCG が組み込まれているがデジタル作画はあまり行われていないことを明らかにする。さらにこうした工程ごとの細かい分析により、情報技術の登場初期には情報技術投資と生産性の間には関係性が見られないという生産性のパラドックスが生じる理由、並びにそのことで、手描きと3DCG のハイブリッドが生まれたメカニズムも明らかになる。
静岡県の中遠・西遠地域では、1990年以降、粗付加価値額が一貫して増加してきているが、本稿では、その背景には一体どのような要因が関係しているのかを、資源投入量と生産性(効率改善)の観点から、静岡県の工業統計調査報告書(静岡県の工業データ)を使用し、その特徴を三つの仮説―①ヒトを増やすことによる粗付加価値額の増加、②機械(設備)を増やすことによる粗付加価値額の増加、③労働生産性の向上による粗付加価値額の増加―に基づき検証をおこなった。その結果、この地域では、90年以降、大きなトレンドとしてはヒトの投入量は減少する一方で、設備の投入量と資源の生産性については依然として増加と上昇の傾向を維持し、粗付加価値額の一貫した増加へ貢献してきたことが確認された。
現在デザインが着目されており、経営学でもデザインの分析が求められる。デザインは、顧客満足度に対しては正の効果は与え、その効果は製品の成熟に伴い増加していることが携帯電話産業の調査で明らかになった。その反面製品満足度に対しての効果は見受けられなかった。