イノベーションには、既存の技術・知識にもとづく「活用型イノベーション」と、新たな技術・知識の創出を目指す「探索型イノベーション」の二者が存在し、企業の持続的な成長のためには、この両者のバランスをとる必要がある。本研究は音楽シングルCDおよび家庭用ゲームソフト市場の二市場において、両者の測定・比較をおこない、既存研究が注目する開発組織のマネジメントだけではなく、価格戦略、広告・宣伝戦略、流通企業との協調といった販売戦略も重要であることを指摘する。
進化理論のモデルでは、経済的淘汰の力がもたらす淘汰均衡は、正統派経済学の均衡と似た性質をもつが、利潤最大化ルール以外の企業も生き残るという違いがある。そして、市場条件の変化に対する企業と産業の反応も異なり、(A)経済の通常の効果、(B)探索の効果、(C)淘汰の効果、の三つの効果が生じる。正統派経済学では考慮されてこなかった(B)探索の効果と(C)淘汰の効果についてモデル化が行われ、正統派経済学の予測と整合的な標準的な結果がもたらされることが示される。
通信・放送融合が議論され始めたのは大分前の話であるが、いまだ具体的なイメージは定まっていない。しかし、最近になってデジタル放送が本格化し、また通信もより高速化されるなど、環境が整いつつある。本稿では、まず通信・放送融合をめぐる環境の変化を論じ、それに伴った最近の通信側の取り組み、放送側の取り組みの説明を行い、実際行われた放送・通信融合サービスの事例として、放送印刷の事例を取り上げる。また、マルチメディアコンテンツ配信の次世代サービスモデルと放送・通信融合の進化モデルを提案する。