本論文は、生産における “ものづくり現場” の代表的なオペレーション方式であるトヨタ生産方式(TPS)が、販売・サービス現場の改善に、どのように活用されているか、神奈川トヨタ自動車(上野健彦社長、以下K社)の協力を得て観察し、理論化、一般化を試みた研究中間結果である。 理論化の軸は、販売・サービス業も “ものづくり企業” である、とする「生産マネジメント」(藤本隆宏, 2001a, 2001b) の理論軸を基本にしている。自動車生産を例に取れば、開発コンセプトにもとづく設計情報を、TPSを活用した効率的な生産によって材料である鋼板に転写し、商品である車を、アウトプットする。販売・サービスでは、お店に入るお客様がインプットであり、店舗で販売サービスの価値をお客様に転写し、満足したお客様(感動したお客様)をアウトプットする。店舗において、スタッフによるお客様への価値転写が、TPSを活用しながら、効率的に、組織的に、かつ、お客様の求めることに対応して行われうるかどうかが、課題である。K社の経営理念が、トップ(社長)の強い改革意思と、販売店舗店長のリーダーシップによっていかに実現し、成果に結びついていくかを、表層の競争力、深層の競争力、組織能力などを軸として観察研究した。最後に、アーキテクチャーの観点から、“すり合わせ型” といえる自動車販売に、より効率的な “モジュラー型” の販売ツールを導入し、販売サービスの効率化を実現することが課題のひとつである。
「もの」を売っていないARMのような半導体IPのビジネス・モデルの企業形態は、なかなか一般に理解されていない。半導体チップの設計におけるIPは、料理のレシピのようなものである。ARMは、そのレシピ(IP)をライセンスするだけで、料理(チップ)は料理人(半導体メーカー)にお任せするというやり方をビジネス・モデルとして行っている。本報告では、高収益のARMのIPビジネス・モデルの歴史的背景および現状に関して説明する。
口コミの影響力を考えるにあたって、ランダムサンプリングによる質問紙調査を実施し、新たな知人の定義のもとに電話帳法による知人数推定をおこなったところ、先行研究のインターネット調査との異同がみられた。日本人の「連絡の取れる人」の数の平均は129.9人だったが、インターネット利用者のほうがその人数は多かった。