M&Aの企業への効果は、先行研究から必ずしも明らかではない。M&Aで移転する経営資源に着目した多くの先行研究から明らかにされていない、M&Aの成功要因がある。それはM&Aのダイナミックケイパビリティであり、資源を評価し、再配分を実施する組織統合能力である。本研究は、企業成長の手段であるM&Aを事業成果に結びつけるために必要な本社能力とは、具体的にどの様なことかを解明した。M&Aを業績に結び付けられない要因、結び付けられる要因の両方をインタビュー調査により明らかにした上で、M&A成功に必要な七つの本社能力を抽出した。そしてこれら七つの項目は、三つのM&Aの実施各フェーズ (戦略立案、ディール実行、PMI) において横断的に実施することが重要であった。