本稿では、いわゆる「アーキテクチャの産業論」が予想する命題、すなわち「統合型ものづくり」(Integration-based Manufacturing)の組織能力を戦後において構築してきた多くの日本企業は「擦り合わせ型」(Integral Architecture)の製品と相性が良く、したがって日本の純輸出財の多くは相対的に「擦り合わせ型」である、という命題の背後にある設計プロセスの論理を考察する。具体的には、設計の問題を「連立方程式の解の探索」という単純化されたプロセスに置き換え、日本企業は試行錯誤的な解の探索において他国企業より相対的に効率的である、という仮定のもとで、なぜ日本企業が「擦り合わせ製品」において「設計費用」の比較優位(リカード的な意味における)を確立する可能性が高いのかを、簡単な思考実験によって分析する。また、試行錯誤だけでなく体系的な科学知識にも依存する非常に複雑な擦り合わせ製品の場合に、日本企業が比較優位を持たない可能性があることを指摘する。
本研究はハイアールの事例を研究対象に、ガーシェンクロン理論を援用して中国家電企業の高速成長のプロセスと原因を明らかにする。後発利益の享受が、ハイアールの急成長及び国際競争力を向上させる重要なファクターであると指摘する。
本稿では、半導体市場および半導体装置メーカーの収益性の現状を見た上で、とくに近年起きている事業領域のシフトにおいて、「委託側」と「受託側」の抱く期待がズレていることから生じている、日系企業の課題について考察を行なう。
本稿ではこれから目指すべき情報・コミュニケーションシステムの開発の指針として二つの層、三つのフェーズからなる情報・コミュニケーション活動の図式を提案して、そのその統合的支援が目指すものであるということを述べる。また、その実現に向けて、われわれが行っている研究活動の概略を説明する。