企業が環境の変化に対応し、持続的に成長するための能力であるダイナミック・ケイパビリティについて多くの議論がなされてきたが、その主体、構築・発揮プロセスについての解明は進んでいない。本論文は、この課題に対して日本国内の経営学者の理論を援用することによりこれを探求し、企業事例によって検証を図るものである。
これまで報告者は佐賀県の最高情報統括官 (CIO) を務めてきた。現在では、公共部門のデータのオープン化について取り組んでいる。公共情報の有効活用に当たっては、様々な壁が存在している。特に行政と民間の壁を崩すのは難しいが、公共部門が保有しているデータや経験を民間の活動と組み合わせることでこれまでにない大きな効果をもたらすことができる。そのため、行政にはそれらの壁を崩して民間と協働して取組んでいくことが求められる。