本稿では、製造の外部委託の側面から、携帯電話端末メーカーはいかにして優位性を獲得しているのかを考察する。分析の結果、以下の3 点が示唆される。1) 自社生産と外部委託生産のバランスをとるよりも、戦略的意思決定によって、いずれかの方向性を明確にする企業のほうが優位なポジションを獲得できる。2) 企業は製品の水平的ポジショニングを明確にし、製造の外部委託を行うことによって、業績を高めることができる。3) 企業は高級機種の製造を外部委託することによって、業績を高める可能性がある。本稿における分析の手順は、最初に、先行研究のレビューから仮説を導出し、2007 年から2010 年までの4 年間のデータを用いて、携帯電話端末メーカー大手8 社に対して重回帰分析による仮説検定を行う。それから、インタビューによる欧米大手メーカーの事例研究を実施することによって、重回帰分析から得られる結果を検証して結論を導く。
本稿では、静岡県中遠・西遠地域における1990年代以降の製造品出荷額の拡大の要因を輸出・国際化の観点から分析した。静岡県中遠・西遠地域 (静岡県) の出荷額の増加は、輸出額の増加が一因となっている。輸出の増加は、機械類、特に輸送用機器の輸出の増加によってもたらされた。地域別でみると、アメリカへの輸出が大幅に増加したことに加え、アジアへの輸出額の増大によって、全体の輸出額を引き上げたことが示された。さらに静岡県では、海外に拠点を持つ企業群が増加しており、海外進出企業は国内売上高成長率が高いことが判明した。海外に進出していない企業も堅実に国内売上高成長率は伸びていることから、全体の出荷額の増加に寄与していることを示した。