ファルマシア
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50 巻 , 4 号
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目次
オピニオン
  • 大泉 康
    50 巻 (2014) 4 号 p. 275
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    近年,我が国は医学・薬学および高度医療技術の著しい進歩により,世界一の長寿国となった.しかしながら急速な高齢化社会を迎えて,認知症や生活習慣病の罹患率は増加の一途をたどり,その結果医療費が高騰し,医療保険制度も崩壊の危機に直面している.そのため,その削減が今後の国家的課題となり,治療重点から予防を重視した医療へと転換を図り,健康長寿社会を目指さざるを得なくなった.
    健康寿命を延ばす方策の1つとして,現代医療に漢方医学を大幅に取り入れ,西洋医学と調和を図ることが急務である.もう1つの方策として,健康食品による代替療法を確立することも重要である.人類は,有史以前から疾病治療に動植物を活用してきた.また,薬材が食材と同様であったため,「医食同源」あるいは「薬食同源」といわれるようになった.最近の国民の健康志向の高まりから,健康食品関連産業の市場は年間1兆4,000億円を超え,潜在的規模は3兆5,000億円にも達している.しかし,たびたび健康食品による健康被害も起きて,国民に不信感を与えていることも事実である.この大きな原因として,健康食品の効果とその安全性についての科学的研究が必ずしも十分でないことを挙げることができる.天然薬物や機能性食品における基本的な研究の方向としては,これらの有効成分を科学的に明らかにしていくということに加え,それらの有効性・安全性を重視し,国民の不信感を払拭しなければならない.そのためには,食品研究に薬理学的研究,前臨床研究,さらに臨床研究を大幅に取り入れ,食品に関する基礎と臨床を統合した総合的な研究を推進することが最も重要な課題である.
    筆者は,アルツハイマー病などの認知症の予防薬・治療薬あるいは機能性食品の開発の新しい戦略として,天然界から①記憶障害改善作用,②神経再生活性,③アルツハイマー病の原因物質とされるβ-アミロイドタンパク質やタウタンパク質の沈着抑制活性を併せ持ち,その予防法あるいは原因療法となり得る低分子性の化合物の探索研究を進めてきた.その結果,上記の3つの条件を満たす新しいタイプの認知症の予防・治療技術開発につながる可能性のあるものとして,柑橘類の果皮の成分ノビレチンを発見した.この研究成果は機能性食品の開発の道を拓くものと期待されており,国のプロジェクト研究として「未利用みかん果皮の抗認知症成分活用技術と高付加価値品種の開発」(2008年度から3か年)および「柑橘類果皮を利用した抗認知症機能性食品の開発に向けた基盤技術の開発」(2011年度から3か年)が進められてきた.
    「薬学とは何ぞや」ということについては古くから議論されてきたが,「生命や健康について化学的,生物学的さらに物理化学的に研究する総合的な応用科学であり,その研究成果により,人類の健康,福祉に貢献することを目的とした学問である」といっても大過なかろう.筆者も薬学研究者の1人として,この目的を達成するためには,これまでライフワークにしてきたノビレチンの基盤研究成果に基づき,その前臨床研究および臨床研究を推進し,人類の健康,福祉に貢献するまで研究を進める責任をひしひしと感じる昨今である.
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Editor's Eye
インタビュー
最前線
  • 河野 望, 新井 洋由
    50 巻 (2014) 4 号 p. 290-294
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    生体膜の主要な構成成分である脂質は多様性に富んでおり,真核細胞では1,000種類以上もの脂質が存在するといわれている.これらの脂質は細胞内に一様に存在しておらず,各オルガネラ膜に特徴的な脂質組成を有する.このような脂質の偏在性は,各オルガネラに特徴的な脂質代謝系とオルガネラ間の脂質輸送によって形成されており,そのうち細胞内脂質輸送は「輸送小胞による脂質輸送」と「脂質輸送タンパク質による脂質輸送」の大きく2つに分けられる.これまでに,脂質輸送タンパク質が脂質代謝,小胞輸送,細胞内シグナル伝達など様々な細胞現象を制御していることが分かってきている.一方,脂質輸送タンパク質の多くが,どのように脂質を適切な場所に運び,脂質を受け渡すのか,その詳細なメカニズムは不明な点が多く残されている.本稿では,脂質輸送タンパク質とその細胞内脂質輸送機構について,我々がこれまでに研究してきたビタミンE輸送タンパク質の解析結果を中心に紹介する.
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最前線
  • 今井 由美子
    50 巻 (2014) 4 号 p. 295-299
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    インフルエンザウイルスは,弱毒型の季節性インフルエンザウイルスであっても,高齢者,乳幼児,妊婦,あるいは糖尿病,喘息,免疫不全などの合併症のあるヒトが感染すると,重症化して死に至ることがある.一方,強毒型のH5N1鳥インフルエンザウイルスはヒトに感染すると高率に呼吸不全や多臓器不全などの致死的病態を引き起こす.さらに昨年,中国でH7N9鳥インフルエンザウイルスのヒトでの感染が見つかった.WHOによると,2013年8月12日時点で135例の感染者が報告され,うち44例が死亡したと報告している.いったんインフルエンザがヒトにおいて重症化すると,オセルタミビルなどの抗インフルエンザ薬はもはや無効となり,集中治療室(ICU)において人工呼吸をはじめとした救命治療が必要となるが,今までのところ重症化したインフルエンザに対して有効な治療法はない.
    現在,抗インフルエンザ薬として使用されているのは,ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル,ザナミビル等)であるが,これはウイルスタンパク質を標的としているので,最近は耐性を持つウイルスが出現している.またノイラミニダーゼ阻害薬は,感染から48時間以内に投与すると効果があるものの,それを過ぎて投与した場合には,効果がないことが報告されている.一方,現状のワクチンは流行する可能性のある亜型ウイルスを予測して個々に生産する方式である.すべての亜型ウイルスを幅広く防御することを目的としたユニバーサルワクチンの開発が進められているが,これはいまだ実用化には至っていない.
    ところで,ウイルスは宿主の細胞内小器官を利用して増殖する.ウイルスが侵入した宿主細胞ではウイルスとの相互作用から様々なシグナル伝達系が動き出し,ウイルス・宿主の相互作用が感染症の病態形成の鍵を握る.そこで,従来のウイルスタンパク質を標的とした抗インフルエンザ薬に加えて,ウイルス・宿主の相互作用の観点から宿主を標的にした新しい抗インフルエンザ薬の開発が必要であると考えられる.近年,インフルエンザウイルスと宿主の相互作用に関して,プロテオーム,トランスクリプトーム,あるいはRNA干渉(RNAi)法を用いたデイスラプトーム等のゲノムワイドな解析が行われている.しかしながら,DNA,RNA,タンパク質,その先で機能する生体内化合物,特に脂溶性化合物に関しては,ウイルス感染症における動態,ウイルスの増殖における役割は不明である.
    今回筆者は,脂肪酸代謝物のライブラリーを用いたスクリーニングと質量分析法による脂肪酸代謝物のリピドミクス解析を通して,多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids:PUFA)由来の代謝物プロテクチンD1(Protectin D1:PD1)がインフルエンザウイルスの増殖を抑えることを見いだした.PD1は,これまで抗炎症作用を有する脂肪酸代謝物として知られていた.今回筆者は,PD1が従来の抗インフルエンザ薬とメカニズムを異にし,ウイルスRNAの核外輸送を抑制することによって作用することを見つけた.
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最前線
最前線
  • 難波 康祐
    50 巻 (2014) 4 号 p. 305-309
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    鉄は地球上のほとんどすべての生物の生命活動維持に欠かせない元素であるが,酸素分圧の高い現在の地球環境では,鉄は主に水に難溶なFe3+として存在している.このため,鉄は地殻中元素の約5%を占めるほど豊富に存在するものの,生物が利用できる水溶性の鉄イオンは地表上にわずかしか存在していない.植物は,このわずかな鉄イオンを吸収して生育しているが,土壌溶液のpHが高いアルカリ性条件下では,水酸化鉄(Fe(OH)3,FeO(OH))の溶解度が極めて低いため,植物は根から必要な鉄イオンを吸収できずに鉄欠乏症となる.このようなアルカリ性土壌は農耕に適さない不良土壌とされており,全世界の陸地のおよそ3割を占めている.一方,この鉄欠乏状態を克服するために,イネ科植物は長い進化の過程で独自の鉄吸収メカニズムを獲得してきた.すなわち,イネ科植物のオオムギは根からムギネ酸(mugineic acid:MA)と呼ばれる鉄キレート剤(ファイトシデロフォア)を分泌し,土壌中の鉄(Ⅲ)イオンとの錯体を形成することによって可溶化し,特異なトランスポーターを介して鉄イオンを植物内に取り込むことが知られている(図1).
    近年,世界人口は急激な増加の一途をたどっている.2050年頃には深刻な食糧危機に直面することが懸念されているなか,アルカリ性不良土壌で穀物を生産する手段の開発は重要な研究課題となっている.そのような背景のもと,ムギネ酸に関する研究は国内外で活発に行われてきた.ムギネ酸の構造決定,コバルトおよび銅との錯体結晶構造解析,ムギネ酸類の生合成経路の解明,ムギネ酸・鉄錯体トランスポーターHvYS1の同定,ムギネ酸生合成遺伝子を導入したアルカリ耐性イネの作成など多様な研究が実施されてきたが,鉄イオン取り込みに関する分子レベルでの詳細なメカニズムはいまだ明らかとなっていない.本稿では,鉄イオン取り込み機構の解明や,ムギネ酸の実用化に関する有機合成化学的なアプローチについて,我々の研究を中心に紹介する.
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最前線
  • 小西 英之, 眞鍋 敬
    50 巻 (2014) 4 号 p. 310-314
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    一酸化炭素(CO)は有機合成において最も重要な一炭素源として,古くから現在に至るまで実験室や工業プロセスに広く用いられている.しかしCOは無色無臭の気体であり,人間にはその存在が感知できず,さらにはわずか0.1%という低濃度ですら生命を脅かすほど危険な化合物でもある.このような高い毒性を有するCOは,入手容易ではあるが非常に扱いにくい物質であり,実験化学者たちもなるべく使いたくないというのが本音である.
    このような背景のもと,毒性の高いCOガスに代わる安全なCO等価体の開発を望む声が自然と高まってきた.実際,過去20年ほどで様々なCO代替品が発見されており,それらを用いる有機合成反応も数多く報告されている.筆者らは,ギ酸エステル等のギ酸誘導体が温和な条件下でCOを発生できることを見いだし,それを従来のCOガスの代わりに利用する実用的な有機合成反応の開発を行ったので,ここに紹介する.
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セミナー
  • 浜瀬 健司
    50 巻 (2014) 4 号 p. 315-320
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    アミノ酸は生命体を構成する主要な化合物群の1つであり,地球上の生命は様々な形でアミノ酸を利用している.特にタンパク質の構成要素となる20種のアミノ酸は生体内含量が高く,遊離体として,またペプチドやタンパク質として多彩な機能を担っている.化学構造に着目すると,これら20種のタンパク質構成アミノ酸はすべて同一炭素にアミノ基とカルボキシル基が結合したα-アミノ酸であり,グリシンを除いてD型とL型の鏡像異性体が存在する(図1).一方で,生体内におけるアミノ酸鏡像異性体の含量比は大きくL型に偏っており,特にほ乳類のような高等動物では,L-アミノ酸のみが存在して生理機能を有すると長い間考えられてきた.
    しかし近年,分析法の進歩に伴ってほ乳類の体内にもD-アミノ酸が存在することが明らかになり,生理機能を有していることが明確に示されてきた.様々な疾病とD-アミノ酸含量との関連も明らかにされ,アミノ酸の鏡像異性体を区別して定量する「キラルアミノ酸メタボロミクス」に関心が集まっている.本稿では現在までに明らかになってきたD-アミノ酸の生理的役割や由来,含量制御について解説するとともに,キラルアミノ酸定量を可能とする分析法について紹介する.併せて,キラルアミノ酸分析の医療応用についても紹介する.
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話題
  • 江野 英夫
    50 巻 (2014) 4 号 p. 321-324
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    突然だが,世界で繰り広げられている医薬品開発競争を過酷なレースである「トライアスロン」に置き換えてみたい.
    トライアスロンはゴールするまでに長時間を要する耐久レースであり,競技者の力はもとより,競技者をサポートする体制の違いがレースの明暗を分けることとなる.ひと昔前はコースも比較的単調で,従来のレース戦略(例えば,低分子化合物を対象とした医薬品開発戦略)が功を奏していたが,近年ではコースが多様化(抗体医薬などのバイオ医薬品,分子標的医薬品,核酸医薬など)すると同時に,新たな規則(レギュレーション)が順次追加されるなど,環境が複雑化し,これまでどおりのレース戦略では太刀打ちできない状況が生まれて久しい.
    例えば,以前であれば,競技者(製薬企業)が1人で全行程を走破したものだが,今では3種の競技(スイム,バイク,ラン)をそれぞれの専門家が分担して行うリレー制を採るチーム(国・企業)がレースを引っ張る構造になっている.過去には日本の競技者が大会の上位を占めるケースもあったが,最近では欧米のチームがリードする展開が続いている.
    彼我の差はどこにあるのだろうか?
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話題
薬薬連携つながる病院・薬局
  • 飯島 康典
    50 巻 (2014) 4 号 p. 331-333
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    医療現場では多職種連携,薬薬連携などの重要性が言われているが,そもそも「連携」とは目的でなく手段である.まずは,「患者にとって安心して暮らせる地域づくりと,最適な医療,薬物療法を提供する」という目的を薬剤師が認識する必要がある.そのためにも,薬剤師が医療人としての倫理観を持ち続けることが重要である.
    本来,薬剤師の患者に対する目的は共通であるはずだが,現状では薬剤師の業界の中でも複数の団体が存在し,病院薬剤師,中小規模の薬局や大型チェーン薬局の薬剤師など立場が違う薬剤師が自ら共通の目的を持って連携し,まとまることは難しい状況である.
    そこで,地域薬剤師会が立場の違う薬剤師同士の顔が見える関係を作り,その地域の現状にあった連携しやすい体制を整備する必要があると考える.顔の見える関係となり,他職種の役割,専門性の違いや情報の違いを意識した上で,1人の患者に対して協働していくことが重要である.
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数式なしの統計のお話
  • 酒井 弘憲
    50 巻 (2014) 4 号 p. 334-335
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    早いもので,もう桜の季節である.巷では初々しい新人社会人を見かけ,おじさん社会人としては何となくエールを送りたい気分になってくる.筆者は,スポーツ,中でも野球なんていう集団遊びは興味もないし大嫌いなのであるが,どうやら日本では世の中の大半の人が野球を好きなようである.
    よく,「2年目のジンクス」ということが言われるが,これも統計を生業にしている者の目から見れば至極当然な話なのである.「平均への回帰」という言葉を聞かれたことはないだろうか? その最初の事例は,フランシス・ゴールトン(彼はかのチャールズ・ダーウィンの従弟である)により1877年に発表された種子の重量に関する結果であった.「2年目のジンクス」も,この平均への回帰の1つの事例である.
    本誌の読者の方々には,血圧の事例の方が分かりやすいかもしれない.血圧には日内変動があり,測定するタイミングによって値が異なってくる.例えば降圧薬の臨床試験で,組み入れ基準が収縮期血圧160mmHg超と決められていたとしよう.そうすると,たまたま測定時点で165mmHgだった患者が試験に登録されることになるが,この患者の平均血圧が実は155mmHgだったとしたら,薬を飲まなくても自然変動で,あるタイミングで145mmHgになることだってあり得るわけである.つまり高い値はより低く,低い値はより高くなり平均値に近づいていくのである.前回,3つのMの話をしたが覚えておられるだろうか.今回の事例では,前回とは別の意味で「平均には気をつけろ!」なのである.
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家庭薬物語
  • 結城 雅史
    50 巻 (2014) 4 号 p. 336-337
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    効能効果:滋養強壮:胃腸虚弱,食欲不振,血色不良,冷え症,肉体疲労,虚弱体質,病中病後.
    成分分量:60mL中,日局インヨウカク114mg,日局ウコン36mg,日局ケイヒ270mg,日局コウカ12mg,日局ジオウ60mg,日局シャクヤク60mg,日局チョウジ24mg,日局トチュウ18mg,日局ニンジン60mg,日局ボウフウ96mg,日局ヤクモソウ48mg,ウショウ594mg,ニクショウヨウ48mg,ハンビ12mg.
    上記の生薬を日局規定のチンキ剤製法に準じて冷浸する.
    添加物として,みりん,アルコール,液状ブドウ糖,カラメルを含有する.アルコール分14vol%
    用法用量:成人:1回20mL,1日3回,食前または就寝前に服用する.
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製剤化のサイエンス
トピックス
  • 矢崎 亮
    50 巻 (2014) 4 号 p. 341
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    医薬品などの人工小分子化合物と抗体などの生体内分子とを結合させた複合体を形成させる「バイオコンジュゲーション」は,抗体の持つ高い選択性を利用して医薬品を目的の患部に送る drug delivery system(DDS)への応用や,医薬品の作用機序解明につながるため,重要な手法の1つである.通常,このバイオコンジュゲーションは,医薬品中のアルコールやアミン,カルボン酸などの比較的反応性の高い官能基を足がかりに,生体内分子との共有結合を形成することで達成される.一方,立体障害のために反応性の低い第三級アルコールを有するカンプトテシンや,足がかりとして適切な官能基を有していないブスピロン等の分子に対しては,結合形成が困難であった.今回Baranらによって,ピリジンやピリミジン等の芳香族ヘテロ環の炭素―水素結合官能基化反応を用いることで,アルキン修飾された生体内分子との結合部位としてアジド基を導入する手法が報告されたので本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhou Q. et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 12994-12997 (2013).
    2) Fujiwara Y. et al., J. Am. Chem. Soc., 134, 1494-1497 (2012).
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  • 石内 勘一郎
    50 巻 (2014) 4 号 p. 342
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    抗がん剤パクリタキセルは,イチイ(Taxus spp.)樹皮由来の微量成分であるが,1993年にStierleらはTaxus brevifoliaの内生糸状菌Taxomyces andreanaeが同化合物を生産することを報告した.それ以来,内生糸状菌は植物由来微量有用二次代謝産物を無尽蔵かつ持続的に生産し得る新しい医薬資源として注目を集めるようになった.
    しかしその後の20年間,植物内生菌の培養条件が有用物質の大量かつ安定供給が可能なレベルまで実際に最適化されたという報告はない.そのため,内生菌の医薬資源としての新たな有用性を示すには,まだ幾つかの障害が存在すると考えられている.このような背景の中,Zhaoらは,ヒカゲノカズラ科植物トウゲシバ(Huperzia serrataThunbTrev.)由来の微量成分ヒュペルジンA(以下,HupA,図1)を生産する内生糸状菌Colletotrichum gloeosporioides ES026のHupA生産条件の最適化を検討した結果,アルコールがHupA生産を促進する誘導因子として働くことを見いだしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stierle A. et al., Science, 260, 214-216 (1993).
    2) Zhao X. M. et al., PLOS one, 8, e61777 (2013).
    3) Ma X., Gang D. R., Nat. Prod. Rep., 21, 752-772 (2004).
    4) Zhang Z. B. et al., World J. Microbiol. Biotechnol., 27, 479-486 (2011).
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  • 金谷 貴行
    50 巻 (2014) 4 号 p. 343
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    コンドロイチン硫酸はガラクトサミンとグルクロン酸の二糖の繰り返し構造からなる多糖で,グリコサミノグリカンに分類され,動物の生体内ではタンパク質と結合し,プロテオグリカンと呼ばれる糖タンパク質構造で存在する.19世紀末にウシ軟骨より発見され,軟骨を意味するギリシャ語のchondros(コンドロス)よりその名が命名された.軟骨だけでなく,脳,血管や皮膚などの結合組織にも存在し,一般には関節痛・神経痛の医薬品・健康食品として知るところが多いと思われる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Huang N. et al., Carbohydr. Res., 380, 64-69 (2013).
    2) Kaneko M. et al., Chem. Pharm. Bull., 55, 462-463 (2007).
    3) Mourão P. A. S. et al., J. Biol. Chem., 263, 18176-18183 (1988).
    4) Wu M. Y. et al., Carbohydr. Polym., 80, 1116-1124 (2010).
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  • 大橋 若奈
    50 巻 (2014) 4 号 p. 344
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    Ca2+シグナル経路において普遍的なセカンドメッセンジャーとして機能するカルモジュリン(calmodulin:CaM)は,細胞内Ca2+濃度の変化に応じて標的分子の機能を素早く調節する.CaMによる活性制御を受ける標的分子としては細胞内シグナル伝達因子群に加え,チャネル等の多くの膜タンパク質がある.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Reichow S. L. et al., Nat. Struct. Mol. Biol., 20, 1085-1092 (2013).
    2) Reichow S. L. et al., Structure, 10, 1389-1398 (2008).
    3) Gonen T. et al., Nature, 429, 193-197 (2004).
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  • 豊永 翔
    50 巻 (2014) 4 号 p. 345
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    薬物の経口投与時のバイオアベイラビリティ(bioavailability:BA)の指針として生物薬剤学分類システム(biopharmaceutics classification system:BCS)があり,薬物は水溶性と膜透過性に基づいて4つに大別される.そのうち,難水溶性・易透過性薬物(BCSクラス2薬物)のBA向上に関しては,微粒子化などの製剤技術が多く知られている.一方,易水溶性・難透過性薬物(BCSクラス3薬物)のBA向上に関しては,プロドラッグ化による脂溶性向上が主であり,製剤技術の報告はあまり多くない.しかしながら,プロドラッグを活性体へと変換する酵素の種差・個人差が開発上の問題となることもあり,プロドラッグ化以外の選択肢があることが望ましい.そこで本稿では,添加物を用いるという簡易な方法によってBCSクラス3薬物の経口投与時のBA向上に成功した論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) FDAホームページ http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM070246.pdf
    2) Holmes E. H. et al., PLOS ONE, 8, e61853 (2013).
    3) Aungst B. J. et al., AAPS J., 14, 10-18 (2012).
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  • 江本 尚代
    50 巻 (2014) 4 号 p. 346
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    自閉症は神経発達障害の1つであり,社会的相互交渉の障害,反復常同的な行動様式などを特徴とする精神疾患である.その病因は遺伝的な要素が強いとされており,数百kbpの遺伝子で自閉症スペクトラム障害(autistic spectrum disorder:ASD)との関連が示唆されている.本稿では,神経細胞において100kbを超えるような長い遺伝子の発現にトポイソメラーゼが特異的に関与し,その中にASD候補遺伝子が含まれることが報告されたので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) King I. F. et al., Nature, 501, 58-62 (2013).
    2) Neale B. M. et al., Nature, 485, 242-245 (2012).
    3) Iossifov I. et al., Neuron, 74, 285-299 (2012).
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  • 三浦 進司
    50 巻 (2014) 4 号 p. 347
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    Sirtuin(Sirt)は標的タンパク質の脱アセチル化およびADPリボシル化を触媒する酵素であり,ヒトやマウスには7種類が存在する.このうちSirt1の役割についてはよく調べられており,カロリー制限によって発現が増加すること,肝臓,骨格筋,脂肪組織での脂肪酸酸化を促進し,膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進することなどが報告されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schwer B., Verdin E., Cell Metab., 7, 104-112 (2008).
    2) Laurent G. et al., Mol. Cell, 50, 686-698 (2013).
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  • 岩井 健太
    50 巻 (2014) 4 号 p. 348
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    小胞体(endoplasmic reticulum:ER)は,膜タンパク質および分泌タンパク質の合成の場であり,これらタンパク質を正しく折りたたむための機構を備えている.この折りたたみは,シャペロンタンパク質群と20種あまりあるプロテインジスルフィドイソメラーゼ(protein disulfide isomerase:PDI)ファミリータンパク質の協調により厳密に行われている.一方,上手く折りたたまれなかったタンパク質(ミスフォールドタンパク質)は,ERから細胞質に逆行輸送され,ユビキチン-プロテアソーム系で分解されることでタンパク質の品質が管理される.このようなタンパク質分解機構はER関連分解(ER-associated degradation:ERAD)と呼ばれ,これら品質管理機構の破綻は,ミスフォールドタンパク質の過剰な蓄積(ERストレス)を引き起こす.本稿では,ERに局在するPDIファミリータンパク質の1つであるERdj5の新たな機能を解明したOkaらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Oka O. B. et al., Mol. Cell., 50, 793-804 (2013).
    2) Ushioda R. et al., Science, 321, 569-572 (2008).
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  • 田中 佑典
    50 巻 (2014) 4 号 p. 349
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    消化管内における錠剤の崩壊は吸収の第一ステップである.消化管内で錠剤の崩壊が遅延した場合,消化管からの吸収が遅れ,薬物治療の効果を担保することが困難となる場合がある.したがって,消化管内において,どのくらいの時間で,どの程度,錠剤が崩壊するのかを前臨床の段階で評価しておくことは,臨床での有効性を考える上で極めて重要である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Radwan A. et al., Biopharm Drug Dispos., 33, 403-416 (2012).
    2) Radwan A. et al., Mol Pharm., 10, 2283-2290 (2013).
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  • 舘 知也
    50 巻 (2014) 4 号 p. 350
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    海外では,チーム医療の一環として,医師の診断後,薬剤師と医師が合意した治療プロトコールに基づき,薬剤師が主体的に患者の薬物治療管理を行う共同薬物治療管理(collaborative drug therapy management:CDTM)が実施されている.最近になって,日本でも,厚生労働省医政局長通知(平成22年4月30日付医政発0430第1号)において,医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき,薬剤師が薬剤の種類,投与量,投与方法,投与期間等の変更や検査のオーダを医師等と共同して実施するなど,薬剤師のチーム医療の参画が明示された.このように,薬剤師にとって医師と共同・連携して主体的に患者の薬物治療管理を行い,患者ケアの質の向上や医療費削減に貢献する機会が大幅に増えてきたといえる.
    1) Green B. B. et al., JAMA, 299, 2857-2867 (2008).
    2) Artinian N. T. et al., Nurs. Res., 56, 312-322 (2007).
    3) McManus R. J. et al., Lancet, 376, 163-172 (2010).
    4) Margolis K. L. et al., JAMA, 310, 46-56 (2013).
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  • 尾形 篤太郎
    50 巻 (2014) 4 号 p. 351
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    シスプラチン(1)は幅広い抗腫瘍スペクトルを持つ代表的な無機医薬品の1つであり,現代では他剤併用を主流に,卵巣がんや精巣がん,膀胱がん等の治療に応用されている.しかし,薬剤耐性を示す腫瘍細胞の発現頻度が高く,腎毒性等,通常組織への副作用も強いため,代替医薬品の開発が望まれている.一方,ヒ素はその有害性のみ一般に知られるが,ヒ素化合物,特に三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)は急性前骨髄球性白血病の治療薬としても使用されている.本稿では,白金にヒ素を組み込んだ新しいタイプの抗腫瘍活性化合物について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Rosenberg B. et al., Nature, 222, 385-386 (1969).
    2) Chen H. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 48, 9295-9299 (2009).
    3) Miodragović Ð. U. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 10749-10752 (2013).
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  • 有賀 寛芳
    50 巻 (2014) 4 号 p. 377_1
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    教員・研究者としての晩年を迎えるこの頃,ふと昔の学生時代を思い出し,どちらが良いかとは判断できないが,時代背景,情報量などが影響しているのか今とは随分違うなと思う.40年以上前の我々の学生時代は70年安保の色が濃く残り,まだ学生運動が盛んな時期であった.講義が開講されないことも多く,私などはアルバイトに励む毎日であった.講義が定常的に開講されるようになっても,自分の興味ある講義しか出席せず,試験の前には授業にきちんと出席していた学生のノートのコピーが頼りだった.もちろん,こんな学生はまれであったと思うが,先生方も講義の出席にとやかく言わなかった.
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