ファルマシア
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最新号
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目次
  • 2020 年 56 巻 9 号 p. 804-805
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル フリー
    特集:かゆみ研究の最新知見と将来展望
    特集にあたって:「痒み」は痛みと同様に警告系として備わっており,生体防御に重要な役割を担う.一方,様々な疾患に付随する病的な痒みは耐え難い苦痛であるため,適切な治療を施さなければならない.痒みと痛みは全く異なる感覚であるが,その調節機構には多くの共通点が存在する.近年,痒み研究は飛躍的な進展を遂げており,最新のエビデンスや研究の動向をもとに痒みのメカニズムを総合的に理解し,今後の基礎・臨床研究の方向性を改めて検討する時期に達している.本特集号では,基礎・臨床の視点から,様々な領域における痒みのメカニズムならびに薬物治療戦略について解説して頂いた.痒み研究における最新の知見を踏まえ,将来の展望についても考えていきたい.
    表紙の説明:「痒み」は皮膚に分布する一次知覚神経終末で受容され,中枢神経へと伝達される.痒みは主に皮膚において生じる不快な感覚であるが,脊髄や脳においても非常に複雑な調節を受けていることが最近の研究から明らかになった.痒みを総合的に理解するためには,これらの領域それぞれにおける研究の進展が不可欠であり,更なるエビデンスの蓄積が望まれる.
グラビア
  • 望月 秀紀, 柿木 隆介
    2020 年 56 巻 9 号 p. 799-802
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    痒みは、痛みと同様に、不快な体性感覚である。これまでに機能的MRIや脳磁図など様々な脳活動計測装置を用いて、ヒト脳内における痒みの認知機構について研究が行われてきた。また、最近では動物を用いた研究も行われている。これまでの研究で、痒みの認知に関係する複雑な神経回路が明らかとなった。また、痒み特異的な脳部位も特定され、この脳部位は慢性掻痒の重要な治療対象になるかもしれない。
オピニオン
Editor's Eye
セミナー
  • アトピー性皮膚炎を中心に
    冨永 光俊, 髙森 建二
    2020 年 56 巻 9 号 p. 811-815
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    これまで抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)は、痒み治療の第一選択薬として使用されてきた。しかし、アトピー性皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患における痒みを抗ヒスタミン薬のみで制御することは難しい。このような抗ヒスタミン薬抵抗性の痒みは「難治性の痒み」であり、その発症にはヒスタミン以外のメカニズムが中心的に関与している。本稿では、痒みを伴う皮膚疾患としてアトピー性皮膚炎を中心に、難治性痒みの発症メカニズムと近年注目されている新しい痒み治療薬について概説する。
話題
セミナー
  • 穐山 祐
    2020 年 56 巻 9 号 p. 819-821
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    痒みはアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患だけでなく,多様な全身性疾患において生じる.その為,それぞれの疾患に対応した様々な痒み動物モデルが提唱されてきた.痒みの基礎実験では,主に後肢による背中の引っ掻き動作が痒みの評価法として長く用いられている.一方で,異なる特徴を持った様々な痒みの評価法も提案されてきた.本稿では,痒みの動物モデルならびに様々な痒みの評価法の特徴について簡潔に紹介する.
話題
最前線
  • 歌 大介
    2020 年 56 巻 9 号 p. 825-829
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    かゆみは,皮膚や粘膜を引っ掻きたいという欲望を起こさせる不快な感覚であると定義されている.かゆみの生理的意義やその役割は依然不明な点はあるものの,皮膚に異物が付いた際に,かゆみを感じることにより,その異物を引っ掻いて取り除く,生体防御反応の一つであると考えられている.皮膚疾患の多くはかゆみを伴い,慢性的なかゆみの持続に伴う掻破により皮膚炎症が悪化し,さらにかゆみが強くなるという悪循環を生じるため,生活の質(QOL)の著しい低下を招く.しかし,現在のところ慢性的なかゆみに対する有効な治療薬は存在しない.そのため,かゆみのメカニズム解明と治療薬の開発は極めて重要な課題である.本稿では,感覚情報の中でも,特に痛みやかゆみなどの侵害情報の入口である脊髄後角表層に焦点を当て,かゆみの情報伝達やその制御機構について概説する.
最前線
  • 津田 誠
    2020 年 56 巻 9 号 p. 830-834
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に伴う慢性的な痒みの研究はこれまで皮膚を中心に進められてきたが,近年,痒みの神経伝達メカニズムの理解が進むにつれ,研究のフォーカスが神経系に向けられている。本稿では,脊髄後角のグリア細胞の1つであるアストロサイトが慢性掻痒時に活性化し,同細胞が放出する因子が痒み神経伝達を強めるという,痒みの慢性化における新しいメカニズムを紹介する。これらの成果から神経系を標的とした治療薬の開発に繋がる可能性が期待される。
最前線
話題
話題
セミナー
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2020 年 56 巻 9 号 p. 852
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和2年6月29日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2020 年 56 巻 9 号 p. 853
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,56巻8号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
  • 桑原 光弘
    2020 年 56 巻 9 号 p. 854-855
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)欠損症として知られているセロイドリポフスチン症2型(CLN2)は,極めてまれな進行性の神経変性を伴う重度の遺伝的疾患であり,日本では難病指定されている.CLN2は,通常2〜4歳の間に痙れん発作や運動失調,ならびに言語発達遅滞を伴って発症し,悪化の一途をたどる.末期では,失明,寝たきりおよびコミュニケーション不能となり,多くの場合は若年で死亡に至る.最初の症状発現時から死亡までの期間の中央値は7.8年という報告がある.1)CLN2の治療法は長らく対症療法のみであったが,疾患進行の主原因であるTPP1欠損に着目した酵素補充療法が開発された.本剤は,2017年4月に米国で初めて販売承認を取得し,欧州でも同年5月に承認を取得した.国内では希少疾病用医薬品に指定され,2019年9月に「セロイドリポフスチン症2型」の効能・効果で承認された.
新薬のプロフィル
  • 堀井 瑛介
    2020 年 56 巻 9 号 p. 856-857
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    非小細胞肺がん(NSCLC)の約3.0%には,oncogenic driverの1つであるMET遺伝子エクソン14スキッピング変異が認められ,予後不良因子と考えられている.これまで,MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有するNSCLCに対して承認された治療選択肢はなく,治療薬の開発が望まれていた.
    本剤は,2018年3月27日付で「METエクソン14スキッピング変異を有する進行(III B/ IV期)非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として厚生労働省が定める「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定され,2019年11月19日付で「MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として「希少疾病用医薬品」に指定されている.また,米国食品医薬品局から,「ブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)」の指定も受けている.
    2020年3月25日付で,世界で最初に「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として,我が国で薬事承認を取得した.
新薬のプロフィル
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2020 年 56 巻 9 号 p. 860-861
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    池田屋安兵衛商店から,寺院が多い街並みを散策しつつ広貫堂資料館に向かう.戦国時代には,一向宗の門徒らが100年近くも国を治めていただけあって,信仰心の篤い土地柄ゆえであろうか.今では通りゆく人影もまばらで,時が静かに移ろっている.15分程歩くと広貫堂本社が見えてきた.本社や工場の立ち並ぶ敷地内で,ひときわ目立つ白壁土蔵造りの建物が資料館であった.吸い込まれるように中に入ると,売薬商人の出で立ちの人形が出迎えてくれた.受付で記帳すると,よく冷えたドリンク剤をいただけた.渇いた喉を潤し,一息ついてから館内を巡る.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
トピックス
  • 成田 紘一
    2020 年 56 巻 9 号 p. 866
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    (−)-Curvulamine(1)は,2014年にTanらによって魚類シログチに共生する真菌Curvularia sp. IFB-Z10から単離されたビスピロールアルカロイドであり,グラム陽性および陰性菌に対し抗菌活性を示すことが報告されている.6つの連続した不斉炭素を有する特異な五環性骨格の中に,酸や酸化条件に敏感であるピロール環が2つ含まれる非常に挑戦的な合成標的である.今回,Maimoneらは10π複素環芳香族化合物を巧みに利用することで初めての(−)-1の全合成を達成したので,以下に紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Han W. B. et al., Org. Lett., 16, 5366-5369(2014).
    2) Haelsig K. T. et al., J. Am. Chem. Soc., 142, 1206-1210(2020).
  • 小早川 優
    2020 年 56 巻 9 号 p. 867
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    複数の薬剤に耐性を示す多剤耐性菌の出現により,それらが引き起こす感染症が大きな問題になると近年指摘されている.新規作用機序を有する抗生物質の探索は急務であるが,製薬会社による抗生物質の開発は研究開発費用に対して予想される利益の採算が合わないため減少傾向にある.さらに,従来の天然物スクリーニングでは同じ分子が繰り返し同定されてしまう重複問題や,合成化合物のライブラリースクリーニングはコストおよび化学構造的多様性に課題があるため,新規抗生物質の探索は困難を極めている.このような背景から,新しい抗生物質の同定率を高めると同時に,早期リード探索における関連コストの低減を可能とする抗生物質探索の新しいアプローチが望まれている.最近その新しいアプローチの1つとして,BarzilayとCollinsらが機械学習を利用した新規抗生物質の探索を報告したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stokes J. M. et al., Cell, 180, 688-702(2020).
  • 多田 百花
    2020 年 56 巻 9 号 p. 868
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    漢方エキス製剤の普及により漢方製剤の使用が拡大する中で,その適正使用が課題となっている.漢方製剤の代表的な副作用(adverse drug reaction: ADR)としては偽アルドステロン症や間質性肺炎,肝障害が知られてきたが,新たに腸間膜静脈硬化症が注目され,広く注意喚起がなされることとなった.漢方製剤によるADRの調査にあたり,医薬品医療機器総合機構が提供する医薬品副作用データベース(Japanese Adverse Drug Event Report database: JADER)は有力なデータソースとなるが,その場合,ADRの発現数を知ることはできても,使用者数が不明であるため,発現頻度を知ることは難しい.そのような背景の下,Araiらは,漢方エキス製剤の使用者数の算出方法を考案し,ADR発現頻度を分析した.さらに,オッズ比分析からADR発現頻度に影響する生薬の組み合わせを見いだしたのでここに紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Shimada Y. et al., Evid. -Based Complement. Alternat. Med., 1643804,(2019).
    2) Arai I. et al., Traditional & Kampo Medicine, 6, 3-11(2019).
  • 梅澤 啓太郎
    2020 年 56 巻 9 号 p. 869
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質間相互作用の網羅的解析は,新たなシグナル伝達経路の発見や創薬開発の飛躍的発展に大きく貢献してきた.その多くは,プルダウン法や共免疫沈降法などによって明らかにされてきたが,これらの方法では生きた細胞内の一過的な状態変化によって時空間的に変動する相互作用は検出できない.そのため,新たな検出法の開発がこれまで看過されてきた多くのタンパク質間相互作用の発見を可能にすると期待されている.そこで本稿では,光感受性分子プローブを用いた新たなタンパク質間相互作用検出法(photoproximity protein-protein interaction: PhotoPPI法)を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) McCutcheon D. C. et al., J. Am. Chem. Soc., 142, 146-153(2020).
    2) Keppler A. et al., Nat. Biotechnol., 21, 86-89(2003).
    3) Rhee H. W. et al., Science, 339, 1328-1331(2013).
    4) Geri J. B. et al., Science, 367, 1091-1097(2020).
  • 黒川 優
    2020 年 56 巻 9 号 p. 870
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    ポリADP-リボースポリメラーゼ1および2(PARP1/2)は1本鎖DNAの損傷を感知し修復経路を活性化する.PARP阻害剤は,BRCA1/2遺伝子の変異によってDNA損傷の修復に異常をきたしたがん細胞の維持療法に用いられている.細胞内においてDNAの損傷が生じると,PARPによってヒストンタンパク質のセリン残基がADP-リボシル化を受けるが,in vitroにおいて精製したPARP1はヒストンタンパク質のADP-リボシル化効率が著しく悪い.過去にAhelらはin vitroにおいてhistone PARylation factor 1(HPF1)がPARP1の基質特異性をセリン残基に変えることを発見し,HPF1が生理的にPARP1の活性に重要であると報告した.本稿では,そのグループがX線結晶構造解析,NMR,生化学的解析によってHPF1がPARP1の活性中心に基質結合部位と触媒残基を提供していることを報告しているので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Gibbs-Seymour I. et al., Mol. Cell, 62, 432-442(2016).
    2) Suskiewicz M. J. et al., Nature, 579, 598-602(2020).
  • 南郷 拓嗣
    2020 年 56 巻 9 号 p. 871
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    自閉症スペクトラム(autism spectrum disorder: ASD)は,社会的相互交渉およびコミュニケーションの障害(社会性行動障害)を主症状とする疾患である.これまで,ASDの子どもの行動障害が発熱によって一時的に改善することが報告されているが,そのメカニズムについては不明なままであった.
    本稿では,発熱による社会性行動障害の改善にinterleukin(IL)-17aが重要な役割を果たすことを明らかにしたReedらの報告について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Grzadzinski R. et al., Autism Res., 11, 175-184(2018).
    2) Reed M. D. et al., Nature, 577, 249-253(2020).
    3) Yim Y. S. et al., Nature, 549, 482-487(2017).
  • 上原 章寛
    2020 年 56 巻 9 号 p. 872
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    アクチノイドは,原子番号89から103まで,すなわちアクチニウムからローレンシウムまでの15の元素の総称であり,すべて放射性元素でもある.
    近年アルファ放射線内用療法の核種として注目されているアクチニウムやトリウム,核燃料施設における内部被ばく対象核種のウランやプルトニウムなど,それらの生体内動態が様々な目的で研究されている.ウランはIII,IV,V,VI価の原子価を有し,生体内では主にVI価のオキソ酸,ウラニル(UO22+,[O=U=O]2+)として溶存し,腎臓や骨に濃集する.アクチノイドはいわゆる硬い酸であるため,オキソ酸の結合以外の配位座にはカルボキシ基やリン酸などの酸素原子を含む官能基が配位する.しかしながら,生体内に存在する炭酸イオンなどの無機配位子,タンパク質などの有機配位子との化学的相互作用メカニズムなどのミクロスケールでの研究例は少ない.
    近年,分析装置の高感度化に伴い,アクチノイドと有機配位子との局所構造解析が生体内条件に近い反応場で研究されている.ホスビチン(phosvitin)は,タンパク質分解によって切断されたリポリン糖タンパク質で,全卵黄リンタンパク質の60%を占め,大量に存在するリン酸基と鉄の相互作用が極めて強いと言われている.Kumarらは,ホスビチンとウラニル(VI),ネプツニル(V)(NpO2+)の化学結合状態を紫外可視吸光分光,時間分解レーザ蛍光分光法(time-resolved laser-induced fluorescence spectroscopy: TRLFS),全反射フーリエ変換赤外分光法,X線吸収分光的手法(X-ray absorption spectroscopy: XAS)を用いて明らかにしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kumar S. et al., Chem. Eur. J., 25, 12332-12341(2019).
    2) Younes A. et al., Metallomics, 11, 496-507(2019).
    3) Wang X. et al., Nat. Commun., 10, 2570(2019).
  • 河野 弥生
    2020 年 56 巻 9 号 p. 873
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    三次元のデータをもとに立体を造形する3Dプリンターは,部品や建築模型,生体模型の作製等,幅広い分野で使用されている.最近では,医療用フェイスシールドの作製や人工呼吸器のパーツの作製に使用されたことが報道されていた.また薬学分野においても,放出制御可能な錠剤等の製剤設計に利用されている.この3Dプリンティング技術を応用した3Dバイオプリンターは,細胞をインクとともに懸濁させ,臓器などの立体的な構造を再現することが可能であり,再生医療分野での使用が期待されている.創傷治療領域では,生体適合性のある高分子中に患者から採取した皮膚細胞を懸濁させ,3Dバイオプリンターを用いて創傷部位にフィットする人工皮膚を作製し,患者に移植するような技術が試みられている.
    本稿では,3Dバイオプリンティング技術を用いた創傷治療用ドレッシング材の調製と評価について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang J. et al., Int. J. Pharm., 519, 186-197(2017).
    2) Ehtezazi T. et al., J. Pharm. Sci., 107, 1076-1085(2018).
    3) Augustine R., Prog. Biomater., 7, 77-92(2018).
    4) Si H. et al., Polymers, 11, 1584(2019).
追悼
  • 杉浦 幸雄
    2020 年 56 巻 9 号 p. 865
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
    ジャーナル 認証あり
    田中 久先生が去る5月10日に逝去された。先生は1965年に京都大学薬学部の放射性薬品化学講座の教授に就任され、1982年には出身の薬品分析学講座に移られた。先生は広い包容力で多くの優秀な人材を育成された。田中先生は大変ダンディーで品格があり、かつ優しく芯の通った方で、常に学生に寄り添っておられた。先生の趣味は鉄道、旅行、山スキー、ドイツ歌曲と多彩でした。先生の気品のある笑顔が見られなくなり本当に寂しく、ここに謹んで哀悼の意を表したい。
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