近年,創薬の効率化を目的として,AIの導入が盛んに試みられている.分子設計の領域でも,「何を作るべきか」という判断を支援するAIが数多く提案されている.その一例として,初期条件を入力すると,その情報に即した構造式を自動で出力するアルゴリズムである構造生成器が挙げられる.
構造生成器のルーツは古く,E. J. Coreyの逆合成解析システムに始まり,近年では,機械学習の一種である深層学習を構造生成器に導入する試みが盛んである.一方,既存の構造生成器では,スキャフォールドなどの固定したい部分構造が変化してしまうことも多い.リード化合物の最適化段階では,スキャフォールドを固定し,側鎖の構造変換を通して最適化するのが一般的である.そのため,スキャフォールドを保持しつつ,側鎖構造のみを変換する構造生成器も求められている.本稿では,スキャフォールドを固定し,特定の部位に側鎖を付与する構造生成器を提案したLangevinらの論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Corey E. J., Wipke W. T.,
Science,
166, 178-192(1969).
2) Gómez-Bombarelli R.
et al.,
ACS Cent.
Sci.,
4, 268-276(2018).
3) Langevin M.
et al.,
J. Chem. Inf. Model.,
60, 5637-5646(2020).
抄録全体を表示