糖尿病性潰瘍や褥瘡などの創傷では感染がリスクファクターの1つであり,その治療・予防は必須の課題である.一般的に皮膚や軟部組織の感染では緑膿菌(PA),黄色ブドウ球菌(SA)などが病原菌として知られており,創傷の難治性化および慢性化の原因となっている.感染治療に対しては抗菌薬が使用されるが,漫然とした抗菌薬の使用は耐性菌発現のリスクがあり,推奨されていない. 一方,乳酸菌を含むプロバイオティクスは腸内細菌などに対して抗菌作用を示すことが報告されており,創傷に対する局所投与においても効果が期待される.
本稿では,プロバイオティクスとして乳酸菌を配合した外用薬の抗菌作用および製剤としての安定性を検討した論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) de Macedo G. H. R. V.
et al.,
Pathogens,
10, 148(2021).
2) Pontes D. G.
et al.,
Rev.
Col.
Bras.
Cir.,
47, e20202471(2020).
3) Nair M. S.
et al.,
Adv.
Appl.
Microbiol.,
98, 1–29(2017).
4) Sousa M. A. D. S.
et al.,
Pharmaceutics,
16, 468(2023).
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