現代社会では,加熱加工食品等より,外因性の終末糖化産物(advanced glycation end products: AGEs)を体内に取り込む機会も多く,AGEsが生体に及ぼす影響についても明らかにされつつある.AGEsとは,糖とタンパク質の非酵素的糖化反応で生成する構造体の総称であり,数十種類が知られ,その受容体であるReceptor for AGEs(RAGE)も,様々な細胞で見いだされている.AGEsは生活習慣病や様々な老年性疾患の引き金になるほか,NF-κB経路を活性化し,炎症性ストレスを誘導する.現代人の食生活の変化と増加傾向を示す様々な疾患は,AGEsと何らかの関わりがある場合がある.特に糖尿病では,高血糖性ストレス状態によりAGEs生成量が高くなることから,インスリン抵抗性とインスリン分泌への影響に関する報告が多数ある.
本稿では,AGEsが血糖性ストレスのない条件下において,骨格筋グルコーストランスポーター4(GLUT4)の発現を低下させ,骨格筋グルコースホメオスタシス異常を引き起こすことを報告したPinto-Juniorらの研究報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Vlassara H., Uribarri J.,
Curr.
Diab.
Rep.,
14, 453(2014).
2) Anelli T., Sitia R.,
EMBO J.,
27, 315(2008).
3) Pinto-Junior D. C.
et al.,
Sci.
Rep.,
25, 8109(2018).
4) Piperi C.
et al.,
J.
Clin.
Endocrinol.
Metab.,
7, 2231-2242(2012).
5) Furuya D. T.
et al.,
Mol.
Cell Endocrinol.,
370, 87-95(2013).
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