ファルマシア
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55 巻 , 5 号
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目次
  • 2019 年 55 巻 5 号 p. 386-387
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー
    特集:培養技術の新展開 マイクロ流体デバイスからbody-on-a-chipまで
    特集にあたって:人体のホメオスタシスにおいて,複数の臓器間での物質・情報のやり取り(クロストーク)が注目されている.臓器間クロストークは,ホメオスタシスが破綻した病態の理解や,薬による治療の標的として重要である.ヒトでの臓器間クロストークを解析するツールとして,複数の臓器細胞を流路でつなぎ,灌流培養するマイクロ流体システムがある.1種類の培養細胞では見えなかった現象が,複数の細胞を使うことによって,あるいは物理的刺激や酸素供給などを,より生体に近い環境に設定することによって見えてくる系がマイクロ流体システムであり,これまで不可能だったin vitro実験を可能とする創薬ツールとして期待される.本特集号では,その現状,問題点,今後の展望について考える.
    表紙の説明:細胞培養や人工膜の技術は,近年目覚ましい進歩をとげている.チップ上での細胞膜の再現,iPS等を利用した,より生体に近い培養細胞,臓器内微小環境を反映させたデバイス,さらには複数臓器をつなぐマイクロ流体デバイス等が開発されている.表紙は,実際の応用のイメージであり,人体との生理学的な違いを数理モデル等で定量的に補正した上で,デバイス情報から人体情報を得る.
オピニオン
  • 金森 敏幸
    2019 年 55 巻 5 号 p. 385
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    医療現場では,目の前の患者様を治して上げたいという視点がスタートとなる.したがって,医療分野で実用化を目指した研究開発では,出口(ユーザー目線)から帰納的に課題設定する必要がある.帰納的な研究開発では,必然的に問題解決型となるため,あらゆる分野の専門家の叡智を集結しなければならず,異分野連携が極めて重要となる.我が国の医薬品メーカーは,seeds push型の研究開発,あるいは,安直なアウトソーシングを改め,pre-competitive research(プレコン)の概念を拡大し,一致団結して異分野連携を進める必要がある.
Editor's Eye
セミナー
話題
最前線
最前線
  • 小宮 麻希, 佐藤 まどか, 平野 愛弓
    2019 年 55 巻 5 号 p. 409-413
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    Human ether-a-go-go-related gene (hERG)チャネルは様々な薬剤と反応しやすく、時に副作用性の不整脈を誘発することが問題となっている。現行の新薬の副作用評価法では、細胞の影響を受けやすい等の問題もあり、より精度の高い副作用評価法が求められている。我々はhERGチャネルの新たな薬物副作用評価法として、人工細胞膜を用いた評価系の構築を目指してきた。本稿では、人工細胞膜系構築における様々な課題とそれを克服してきた我々のアプローチを中心に紹介したい。
最前線
話題
最前線
最前線
話題
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2019 年 55 巻 5 号 p. 436-437
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    東京日本橋,近年の再開発によって,これまでの重厚なイメージの町並みに新たな魅力が加わることで,新たな層の人々が集まるようになり活気にあふれている.この町の起源は,転封による徳川家康の入府までさかのぼる.調べてみると,当時,日比谷周辺まで海が入り込んでいたが,江戸城築城(正確には再建)に伴う堀の開削や神田山(駿河台)を切り崩した土砂で埋め立てる壮大な土木事業によって,この一帯が誕生したようである.江戸城から浅草に延びる大通り沿いに計画的に金座や商人の屋敷を配置したこと,ならびに徳川の世が訪れたことで全国各地から商人や職人が集まった.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
トピックス
  • 古田 未有
    2019 年 55 巻 5 号 p. 442
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    Nodulisporic acid類は抗寄生虫作用を示すインドロテルペノイドである.造的特徴として,C3,C4位の第四級不斉炭素中心にトランス配座でメチル基を有する複雑な構造が挙げられ,その構築は極めて困難である.これまでの合成では,容易に調製可能なデカリンが原料に用いられていたが,上述のメチル基の導入に多段階を要していた.一方,2015年にProninらは,ラジカル−極性交差反応を用いたカスケード型環化により,インドロテルペノイド類の置換様式と一致するトランスデカリン骨格の一挙構築法を見いだした.今回,彼らはこの反応を鍵反応とし,わずか12工程でnodulisporic acid C(1)の収束的全合成を達成したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ondeyka J. G. et al., J. Nat. Prod., 66, 121-124(2003).
    2) George D. T. et al., J. Am. Chem. Soc., 137, 15410-15413(2015).
    3) Godfrey N. A. et al., J. Am. Chem. Soc., 140, 12770-12774(2018).
    4) Bruno N. C. et al., J. Org. Chem., 79, 4161-4166(2014).
  • 三沢 憲佑
    2019 年 55 巻 5 号 p. 443
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    医薬品開発において,手掛かりとなる化合物を基に,より高い活性を有する化合物を効率的に見いだすプロセスは重要なポイントである.これまでに結合自由エネルギー計算を行う手法の1種として,自由エネルギー摂動法free energy perturbation: FEPや熱力学的積分法などのアルケミカル的な手法が考案されてきた.これらの手法は,徐々にリガンドを変換しながらその中間状態を計算することで,構造的に類似したリガンド分子の結合自由エネルギー差を厳密に予測できる手法であるが,計算時間や精度の観点から,これまで産業界ではあまり活用が進んでいなかった.しかし近年,general-purpose computing on graphics processing units(GPGPU)などの計算資源による計算性能の飛躍的向上や,構造サンプリング技術の工夫,分子力場の精度改善などにより,FEPは多くの創薬プロジェクトにおいて,リガンド分子の相対活性を精度よく予測するツールとして重要な手法になりつつある.最近のFEPを用いた動向の一例として,Janssen社のグループが,共通の母核構造を有する脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)阻害剤に対する阻害活性予測能を報告したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Saha A. et al., J. Chem. Theory Comput., 14, 5815-5822(2018).
    2) Keith J. M. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 24, 1280-1284(2014).
    3) Kuhn B. et al., J. Med. Chem., 60, 2485-2497(2017).
    4) Lovering F. et al., ChemMedChem, 11, 217-233(2016).
  • 菊地 崇
    2019 年 55 巻 5 号 p. 444
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    がん細胞の多剤耐性(multidrug-resistance: MDR)獲得が,がん化学療法の大きな妨げとなっている.その一因として,がん細胞でのATP結合カセット(ATP binding cassette: ABC)輸送体の過剰発現があげられる.それらのうちP糖タンパク質(P-glycoprotein: P-gp)は,腎臓,肝臓,小腸,血液脳関門,血液胎盤関門などの細胞に発現しており,異物を排泄することで,生体防御に関わっている.しかしながら,がん化学療法において,P-gpは抗がん剤を細胞内から排泄するため,その効果を減弱させる.
    がん化学療法のMDR克服に,P-gp排泄機能の調節分子(モジュレーター)が寄与できる可能性があるが,現在のところ,臨床で抗がん剤と併用できるモジュレーターはない.
    本稿では,Ferreiraらが,がん化学療法のMDR克服分子の探索研究で,トウダイグサ科植物Euphorbia pedroiから,P-gpの排泄抑制能を有する新規なトリテルペノイドを見いだしたので,紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Szakács G. et al., Nat. Rev. Drug Discov., 5, 219-234(2006).
    2) Gottesman M. M. et al., Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol., 56, 85-102(2016).
    3) Ferreira R. J. et al., J. Nat. Prod., 81, 2032-2040(2018).
    4) Ferreira R. J. et al., J. Chem. Inf. Model., 53, 1747-1760(2013).
  • 伊藤 雅隆
    2019 年 55 巻 5 号 p. 445
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    有効成分(active pharmaceutical ingredient: API)の形態は現在のところ固体が主流であるが,近年では液体のAPIについても研究が行われている.液体のAPIを錠剤や硬カプセル剤等の固形製剤として開発する場合,多孔質の添加剤にAPIを吸着させる方法がある.我が国でも油状の液体APIであるインドメタシン ファルネシルの固形製剤化に利用されている.イオン液体(ionic liquid: IL)は,新規のAPIとして注目を集めている.ILは100℃以下の融点を示す塩であり,室温では液体である.1992年にWilkesらが安定なILを創製したことで注目を集め,活発に研究されてきた.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) インフリー®カプセル インタビューフォーム改訂 第6版
    2) Wilks J. S. et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 132, 965-967(1992).
    3) Wang C. et al., Mol. Pharm., 15, 4190-4201(2018).
  • 山口 賢彦
    2019 年 55 巻 5 号 p. 446
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    心臓では圧負荷の増大に対して代償性の心筋肥大が生じるが,代償システムが破綻すると心不全に移行する.その移行過程において心筋は構造変化し,拍動能は低下する.心筋細胞の拍動はサルコメアと呼ばれるアクトミオシンの高次構造だけではなく,サルコメアの長軸方向に沿うように結合した微小管ネットワークの影響も受けることが報告されている.心筋が構造変化する際には,微小管ネットワークの高密度化や微小管を構成するチューブリンの翻訳後修飾を伴う.特にα-チューブリンのC末端チロシンは脱チロシン化/チロシン化され,その状態の違いが微小管動態や機能の制御に重要である.これまでに心不全患者の心筋において,微小管ネットワークの変化と拍動能低下の関連は不明であったが,最近Chenらはヒト心筋を用いてその関連性を示したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Robison P. et al., Science, 352, aaf0659(2016).
    2) Hammond J. W. et al., Curr. Opin. Cell Biol., 20, 71-76(2008).
    3) Chen C. Y. et al., Nat. Med., 24, 1225-1233(2018).
  • 星 秀夫
    2019 年 55 巻 5 号 p. 447
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    パーキンソン病(PD)は進行性変性疾患であり,その臨床症状は運動症状と非運動症状とに分類される.運動症状は,主に黒質-線条体ドパミン神経系が正常に働かなくなることによって生じる.一方,非運動症状は,自律神経障害,認知機能障害,感覚障害,概日リズム障害,睡眠障害など多彩な障害からなる.なかでも便秘,レム睡眠異常,うつ,嗅覚異常などの非運動症状は,運動症状に先行して現れることが報告され,PDの早期診断に利用できるのではないかと期待されている.最近,早期PD患者の網膜で,ドパミン細胞が局在する層が薄くなっていたという報告があった.しかし今回,「眼科検査で異常なし」と診察されたPD初期患者に光照射を行い,瞳孔径を計測することでPDの早期発見につながることを示したJoyceらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kalia L. V., Lang A. E., Lancet, 386, 896-912(2015).
    2) Ahn J. et al., Neurology, 91, e1003-e1012(2018).
    3) Joyce D. S. et al., Sci. Rep., 8, 7796(2018).
    4) Panda S. et al., Science, 301, 525-527(2003).
    5) Berson D. M., Trends Neurosci, 26, 314-320(2003).
  • 木下 充弘
    2019 年 55 巻 5 号 p. 448
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    現代社会では,加熱加工食品等より,外因性の終末糖化産物(advanced glycation end products: AGEs)を体内に取り込む機会も多く,AGEsが生体に及ぼす影響についても明らかにされつつある.AGEsとは,糖とタンパク質の非酵素的糖化反応で生成する構造体の総称であり,数十種類が知られ,その受容体であるReceptor for AGEs(RAGE)も,様々な細胞で見いだされている.AGEsは生活習慣病や様々な老年性疾患の引き金になるほか,NF-κB経路を活性化し,炎症性ストレスを誘導する.現代人の食生活の変化と増加傾向を示す様々な疾患は,AGEsと何らかの関わりがある場合がある.特に糖尿病では,高血糖性ストレス状態によりAGEs生成量が高くなることから,インスリン抵抗性とインスリン分泌への影響に関する報告が多数ある.
    本稿では,AGEsが血糖性ストレスのない条件下において,骨格筋グルコーストランスポーター4(GLUT4)の発現を低下させ,骨格筋グルコースホメオスタシス異常を引き起こすことを報告したPinto-Juniorらの研究報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Vlassara H., Uribarri J., Curr. Diab. Rep., 14, 453(2014).
    2) Anelli T., Sitia R., EMBO J., 27, 315(2008).
    3) Pinto-Junior D. C. et al., Sci. Rep., 25, 8109(2018).
    4) Piperi C. et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 7, 2231-2242(2012).
    5) Furuya D. T. et al., Mol. Cell Endocrinol., 370, 87-95(2013).
  • 大橋 崇志
    2019 年 55 巻 5 号 p. 449
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル 認証あり
    多剤耐性菌は世界的に大きな問題となっており,「抗菌薬適正使用」の重要性が増している.「抗菌薬適正使用」においては,「適切な薬剤」の選択が必要不可欠である.その中でも,ペニシリン系抗菌薬は狭域抗菌薬であり,かつ,様々な感染症で第1選択薬として使用可能であるため,抗菌薬適正使用の観点から重要な抗菌薬の1つである.しかし,ペニシリンアレルギーの訴えがある患者では,ペニシリン系抗菌薬や,それと交差アレルギーを示す可能性の高い他のβ-ラクタム系薬の選択が制限されることをしばしば経験する.また,周術期予防抗菌薬においては,β-ラクタム系薬の代わりに第2選択である広域抗菌薬が選択されることで,創部感染のリスクが増加するという報告がある.本稿では,ペニシリンアレルギーと診断された患者におけるmethicillin resistant Staphylococcus aureus(MRSA)およびClostridioides(Clostridium)difficile(CD)感染症リスクを検証した研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Blumenthal K. G. et al., Clin. Infect. Dis., 66, 329-336(2018).
    2) Blumenthal K. G. et al., BMJ, 361, k2400(2018).
    3) Sacco K. A. et al., Allergy, 72, 1288-1296(2017).
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