ファルマシア
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59 巻, 11 号
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
目次
  • 2023 年 59 巻 11 号 p. 978-979
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル フリー
    特集:包括ケアシステムにおける精神科専門薬剤師の役割と精神科薬物療法の基礎知識
    特集にあたって:厚生労働省は,地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制を充実させるために「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム『略称:にも包括』」を策定した.『にも包括』の推進によって,精神疾患患者とその家族が暮らす地域社会のなかで,精神医療,精神保健,精神福祉の機能的連携を促進させる体制が構築された.本特集では,精神科薬物療法の専門家である精神科専門薬剤師が貢献する『にも包括』での取り組みについて,その第一線で活躍されている先生方に「地域包括ケアシステムにおける精神科専門薬剤師の役割」を,さらに最新情報を含めた主要な精神疾患に対する「精神科薬物療法の基礎知識」について解説して頂いた.『にも包括』が関わる精神医療と地域社会のなかで薬剤師が果たすべき役割について理解を深めて頂ければ幸いである.
    表紙の説明:59巻11号の表紙は,本号特集のメインテーマである「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)」について,精神疾患患者とその家族が暮らす「住まい」を中心に,これを取り巻く精神医療の提供体制,介護・居住支援,社会参加,地域精神保健および障害福祉,地域住民との交流促進などが地域社会で展開している様子をイメージしている.「薬の専門家」は,この精神医療と地域社会にどのように貢献するのだろうか?
オピニオン
Editor's Eye
話題
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話題
  • 北川 航平
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1015-1019
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    「眠れないんです~」
    筆者は精神科病院に勤める薬剤師だが、患者からこのように訴えられることは珍しくない。しかし、睡眠に問題を抱える患者は何も精神科だけではないので、薬剤師なら誰でも睡眠に関する相談を受けたことがあるのではないだろうか。それもそのはず、現代は日本人の約20%、およそ5人に1人が不眠症に悩まされていると言われている(図1)。1)特に2020年に世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、コロナ禍での慣れない自粛生活によって生活リズムが乱れて、睡眠にも影響が及んでいるようだ。そのため、現在はコロナ禍前よりも、睡眠に問題を抱えた人が増えている可能性があるだろう。最近、日本を含む世界14ヵ国の一般住民を対象に行われた調査では、コロナ流行前と比べて、入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害、疲労感、悪夢など睡眠に関連する問題が、流行後に有意に増加したことが報告されている。2)なかなか大人しくしてくれないウイルスだが、読者の皆様は毎日よく眠れているだろうか。
話題
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1025
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課(※)より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和5年8月1日,8月2日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
    (※)令和5年9月1日より厚生労働省医薬局医薬品審査管理課
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1026
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,59巻9号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
薬用植物園の花ごよみ
期待の若手
期待の若手
トピックス
  • 深澤 拓海
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1038
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    新しい医薬品や農薬等の開発初期における数多くの候補化合物合成に向けて様々な反応や合成手法が開発されている.近年,合成終盤での官能基変換については盛んに研究がなされている1)が,環員数を変化させる骨格編集についてはその困難さから報告例が少ない.
    骨格編集の例として,炭素原子や窒素原子の導入による環拡大反応は多数の報告がある.一方,環縮小反応についてはあまり報告例がないのが現状である.本稿では,Bartholomewらによって報告された脱「炭素」反応による環縮小反応2)について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Campos K. R. et al., Science, 363, eaat0805(2019).
    2) Bartholomew G. L. et al., J. Am. Chem. Soc., 144, 22309–22315(2022).
    3) Van der Plas H. C., Jongejan H., Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas, 87, 1065–1072(1968).
  • 向峯 あかり
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1039
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    スーパーオキシド(O2•−)は主要な活性酸素種(ROS)の1つであり,生体内の酸化還元システムにおいて中心的な役割を担っている.また,酸化ストレスの要因でもあるため,がん,神経変性疾患,心血管疾患等への関与も示唆されている.このように,生体内システムや疾病を理解するうえで重要な分子であるため,これまでにもO2•−の検出方法は種々開発されている.特に,蛍光イメージングは生細胞やin vivoでのO2•−追跡に適しており,近年報告が増えている.
    応答型プローブを設計する場合,プローブが検出対象とのみ反応することが重要である.O2•−検出では一般的にO2•−の酸化的性質や求核性,ラジカルなどの性質を利用するが,これらの性質は他のROSにも共通するため特異的な検出は困難である.そのため,より高い特異性を示すイメージングプローブの開発が求められている.今回,1, 2, 4, 5-テトラジン(Tz)との反応を用いることで高い特異性を実現したO2•−検出蛍光プローブ(図1A)が報告されたため,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Xiao H. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 59, 4216–4230(2020).
    2) Jiang X. et al., Nat. Commun., 14, 1401(2023).
    3) Pinto-Pacheco B. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 59, 22140–22149(2020).
  • 日置 裕介
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1040
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    近年の薬剤耐性菌の爆発的な出現により,新たな抗菌剤の発見・開発が求められ続けている.しかしながら,既知化合物やその類縁体の再発見率が極めて高い現代の天然物探索研究において,構造的に新しい抗菌剤リードの探索コストは著しく増加している.このような状況から,新たな天然物探索戦略もまた必要とされている.本稿では,微生物間相互作用に注目した天然物探索により,新規抗真菌性リポペプチド「キアヌマイシン」を発見した報告について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Götze S. et al., J. Am. Chem. Soc., 145, 2342–2353(2023).
    2) Arp J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 115, 3758–3763(2018).
  • 村上 怜子
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1041
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    現代社会において,砂糖の摂りすぎによる肥満および,それに伴う様々な疾患は大きな問題となっている.そのため,ゼロもしくは低カロリーの人工甘味料は,砂糖の摂取量を減らし,減量や血糖値をコントロールするために,広く使われている.様々な人工甘味料の短期の安全性は評価されているが,長期的に大量に摂取した場合の影響の評価は不十分であり,近年,長期の大量摂取が循環器系の病態に影響する可能性が指摘されている.人工甘味料の1つであるエリスリトール(C4H10O4)は,果物など自然界にも含まれる物質で,砂糖の60~70%の甘みを持ち,生体内でほとんど代謝されない「ゼロカロリー」の糖アルコールである.エリスリトールは,食べ物や飲み物において広く使用されてきた.本論文4)では,食生活の聞き取り調査等ではなく,血液中に含まれるエリスリトールの濃度を質量分析計(mass spectrometry: MS)によって実際に測定し,心疾患リスクとの相関関係を検証している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Janzi S. et al., Front. Nutr., 7, 603653(2020).
    2) Debras C. et al., BMI, 378, e071204(2022).
    3) Vyas A. et al., J. Gen. Intern. Med., 30, 462–468(2015).
    4) Witkowski M. et al., Nat. Med., 29, 710–718(2023).
  • 安田 柊
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1042
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    フェロトーシスとは,二価鉄依存的な脂質過酸化によって生じる細胞死である.近年,フェロトーシス誘導薬または阻害薬は,がんや神経変性疾患など様々な疾患の治療に有用だとして注目が集まっている.一方で,薬剤抵抗性や選択性の観点から,この細胞死のメカニズムをより深く理解することが求められている.本稿では,フェロトーシスが生じる際に重要な細胞内の脂質過酸化部位を同定した,von Krusenstiernらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stockwell B. R., Cell, 185, 2401–2421(2022).
    2) von Krusenstiern A. N. et al., Nat. Chem. Biol., 19, 719–730(2023).
    3) Zou Y. et al., Nature, 585, 603–608(2020).
  • 浅岡 希美
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1043
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    「胸が高鳴る」「胸中がざわつく」など,感情を胸部感覚とする表現は数多く存在する.「こころ」を「心臓」に例えた一種の比喩的表現ではあるが,実際に興奮や不安などの情動変化は自律神経系を介して心機能を変化させており,心機能変化を反映した表現であるともいえる.心機能(変化)の情報は内受容感覚として脳へとフィードバックされ,心機能の調節,恒常性の維持に寄与する一方,認知・情動機能に影響を与えることが示唆されているが,詳細なメカニズムは不明である.電気刺激や光遺伝学的手法を用いてげっ歯類の自律神経系を人為的に刺激し,心臓機能の操作や行動への影響を評価する研究は既に行われている.しかし,これらの方法は電極や光ファイバーを臓器近傍に留置するため侵襲性が高く,加えて交感神経や副交感神経を直接刺激するため,心臓以外の内臓機能への影響も無視できないという問題があった.本稿では,Hsuehらが開発した,体外からの光照射によって心筋細胞を光遺伝学的に収縮させる手法と,それを用いた心拍変化に起因する情動行動変化のメカニズムに関する知見について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Klein A. S. et al., Science, 374, 1010–1015(2021).
    2) Hsueh B. et al., Nature, 615, 292–299(2023).
    3) Chen R. et al., Nat. Biotechnol., 39, 161–164(2021).
  • 尾田 好美
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1044
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    2017年の厚生労働省の調査によると,歯肉炎および歯周疾患の総患者数は約398万人にのぼる.歯周病の1つである歯周炎では,歯の表面の歯石とバイオフィルムの除去や,歯周ポケット内部の歯石と歯根表面の汚染されたセメント質を除去し,歯の根を硬く滑らかにするなどの治療が行われている.この治療によって歯周炎の原因物質を除去することはできるが,破壊された歯周組織の修復は個人の治癒能力に大きく依存することから,炎症を抑え,破壊された歯周組織を修復し,再発を予防するような積極的な治療アプローチが現在も求められている.そこで,再発予防につながる歯周修復の非臨床試験としてクルクミンを配合したナノ粒子の局所投与に関する研究が行われたので,本稿ではその詳細について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Cobb C. M., J. Clin. Periodontol., 29, 6–16(2002).
    2) Perez-Pacheco C. G. et al., Naunyn. Schmied. Arch. Pharmacol., 396, 311–321(2023).
    3) Skyvalidas D. N. et al., Nutr. Res., 75, 95–108(2020).
  • 瀧川 正紀
    2023 年 59 巻 11 号 p. 1045
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    ポリファーマシーは,高齢者の薬物治療における問題点の1つであり,今般様々な取り組みがなされている.ポリファーマシーは薬が多いだけではなく,それに伴う服薬過誤や服薬アドヒアランス低下,有害事象発生などにつながる状態を言う.ポリファーマシー状態にある患者に対して減薬や薬剤変更といった処方適正化を検討する際,医師・薬剤師のみならず,看護師なども含めた多職種で協議することが望ましい.また,処方適正化は急性期,急性期後の回復期,慢性期など,様々な療養環境で実施されることが推奨されている.これまでに急性期,慢性期などにおける減薬介入に関する報告はあるが,急性期入院中から退院後の回復期にかけて継続した減薬介入を行った報告はなかった.そこで本稿では,薬剤師・看護師主導で急性期入院中から急性期後のケア施設入居中・退院まで継続的な減薬介入を行ったVasilevskisらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) 高齢者医薬品適正使用検討会.高齢者の医薬品適正使用の指針:各論編(療養環境別)(2019).
    2) Edey R. et al., Int. J. Clin. Pharm., 41, 159-166(2019).
    3) Lee S. W. H. et al., Br. J. Clin. Pharmacol., 85, 2668–2688(2019).
    4) Vasilevskis E. E. et al., JAMA Intern Med., 183, 223-231(2023).
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