スーパーオキシド(O
2•−)は主要な活性酸素種(ROS)の1つであり,生体内の酸化還元システムにおいて中心的な役割を担っている.また,酸化ストレスの要因でもあるため,がん,神経変性疾患,心血管疾患等への関与も示唆されている.このように,生体内システムや疾病を理解するうえで重要な分子であるため,これまでにもO
2•−の検出方法は種々開発されている.特に,蛍光イメージングは生細胞や
in vivoでのO
2•−追跡に適しており,近年報告が増えている.
応答型プローブを設計する場合,プローブが検出対象とのみ反応することが重要である.O
2•−検出では一般的にO
2•−の酸化的性質や求核性,ラジカルなどの性質を利用するが,これらの性質は他のROSにも共通するため特異的な検出は困難である.そのため,より高い特異性を示すイメージングプローブの開発が求められている.今回,1, 2, 4, 5-テトラジン(Tz)との反応を用いることで高い特異性を実現したO
2•−検出蛍光プローブ(図1A)が報告されたため,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Xiao H.
et al.,
Angew. Chem. Int. Ed.,
59, 4216–4230(2020).
2) Jiang X.
et al.,
Nat. Commun.,
14, 1401(2023).
3) Pinto-Pacheco B.
et al.,
Angew. Chem. Int. Ed.,
59, 22140–22149(2020).
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