ファルマシア
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55 巻 , 4 号
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目次
  • 2019 年 55 巻 4 号 p. 288-289
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル フリー
    表紙の説明:春の野山にすみれの花を探しに行った.山の斜面にすみれとは違う鮮やかなショッキングピンクの花が視界の中に飛び込んできた.「カタクリだ!」思いがけない出会いほどうれしいものはない.カタクリの粉は,現在は食用に用いられることが多いが,昔は滋養薬としても利用されていた.カタクリの開花時期は咲く場所の気候・標高・環境の 違いにより3月から6月までと幅広い.カタクリの群生地に出かけるのも楽しいが,春の野山をハイキングし,思いがけない出会いを楽しんでみては?
グラビア
オピニオン
  • 髙倉 喜信
    2019 年 55 巻 4 号 p. 287
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    この度,奥 直人会頭の後を受けて,2019年度より日本薬学会会頭を拝命した.日本薬学会は,1880年(明治13年)4月に創立された約140年もの長い歴史と伝統を誇る我が国有数の学術団体である.初代会頭の長井長義先生の薬学に対する情熱に端を発した本学会は,歴代の会頭の努力により長年にわたってその歴史と伝統が継承されると共に,時代の変遷に伴って大きく発展してきた.現在,17,000名を超える個人会員,200以上の団体・企業の賛助会員を有し,「薬学」という共通のキーワードのもと,大学,企業,医療機関,各種研究機関,行政機関等,広範な専門領域からの多様な会員により構成され,学会活動が展開されている.こうした本学会の運営の舵取り役を担うことは身に余る光栄であると同時に重責を痛感している.微力だが,会員の皆様のご支援・ご協力に支えていただき,責務を果たすべく精一杯努力していく所存である.
Editor's Eye
最前線
話題
最前線
セミナー
セミナー
  • 澤田 克彦
    2019 年 55 巻 4 号 p. 315-319
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    日本の医薬品副作用報告データベースJADERの公開状況ならびに適用される統計学的データマイニング手法の概要と動向について紹介する.著者らが報告・公開してきた種々の具体的活用例の資料と併せて読んでもらう事により,特別に高度な技術や環境が無くとも公開データベースとデータマイニング手法を組み合わせて各自が持つ作業仮説の考察や,新たな作業仮説の探索に活用出来る可能性を知る機会として頂ければ幸いである.
セミナー
最前線
  • 鶴留 優也, 小柳 悟
    2019 年 55 巻 4 号 p. 325-329
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    受容体,チャネル,トランスポーターなど膜タンパク質の多くは安定的に発現し,その半減期は数日におよぶと考えられている.しかし,それらの所見は主に培養細胞を用いた実験から導き出されたものであり,生体内ではこれら膜タンパク質の発現や機能に約24時間周期の変動(概日リズム)が観察される場合がある.特に薬物の輸送に関わるトランスポーターの膜発現の概日リズムは,薬物の吸収,排泄,病巣部位への分布などにも影響を及ぼすため,そのメカニズムの解明は薬物治療の最適化や新たな製剤開発への応用にもつながることが期待される.
    本稿では,トランスポーターの発現における概日リズムの制御メカニズムについて「足場タンパク質」の機能に焦点を当てて概説する.
最前線
FYI(用語解説)
  • 灘中 里美
    2019 年 55 巻 4 号 p. 335_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    対象細胞の増殖や分化に必要な培養条件を整えるために補助的に用いられる細胞を示す言葉である.ヒトES細胞/iPS細胞を培養する時に用いられるフィーダー細胞は,細胞の生存・増殖・未分化性維持に必要な液性因子を供給するとともに,細胞が接着する足場を提供する.ES細胞の分化を抑制する白血病抑制因子(LIF)は,マウスES細胞には有用であるが,ヒトES細胞/iPS細胞には同様の効果を示さないため,フィーダー細胞との共培養がこれらの細胞の標準的な培養法になっている.しかし,細胞移植のような医療応用を前提とした場合,フィーダー細胞由来の未同定の成分が持ち込まれることなどが安全性の問題となっている.
  • 澤田 克彦
    2019 年 55 巻 4 号 p. 335_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    いずれの指標も医薬品副作用報告データベースの情報を,特定の有害事象とその他の有害事象,特定の医薬品とその他の医薬品に分類して要約した2×2分割集計表から算出される値であり(計算式は本文内の「セミナー」図1参照),分割表内での不均衡を表す指標となる.特定の有害事象と特定の医薬品との間に因果関係がなく,偶然報告されたものであれば,いずれも1に近い値となると考えられ,したがって1より明らかに大きい値となる時,シグナルとして捉えることができる.計算式がシンプルで直感的に理解し易いことから医薬品副作用報告データベースでのシグナル指標として広く利用されている.副作用報告数が少ない段階では値が不安定になることから注意が必要である.
  • 内田 康雄
    2019 年 55 巻 4 号 p. 335_3
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    Uniprot(The Universal Protein Resource)データベースは,スイスバイオインフォマティクス研究所と欧州バイオインフォマティクス研究所が運営するタンパク質のアミノ酸配列およびその機能情報を提供する代表的なデータベースである.
    Swiss-Prot,TrEMBl,Protein Information Resourceを統合して構築されているUniProtKB(UniProt Knowledgebase)を基盤としており,タンパク質に関連する様々な情報を横断的・網羅的に調べることができる,世界で最も広範なタンパク質の情報データベースである.
  • 鶴留 優也, 小柳 悟
    2019 年 55 巻 4 号 p. 335_4
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    時計遺伝子とは生体機能の24時間周期の変動(概日リズム)を制御する遺伝子群の総称である.1984年にショウジョウバエのPeriod(Per)が同定され,その発現の24時間周期変動が,概日リズム発振の本体であると明らかになった(2017年ノーベル生理学・医学賞).ほ乳類動物ではPer, Cryptochorome(Cry),Clock, Bmalなどが同定されている.これらによってコードされる各タンパク質は,転写抑制因子(PER, CRY)または転写促進因子(CLOCK, BMAL)として機能し,互いの発現を調整するフィードバックループ機構を形成することで,様々な遺伝子の発現に概日リズムを引き起こす.
前キャリアが今に生きること
留学体験記 世界の薬学現場から
トピックス
  • 嵯峨 裕
    2019 年 55 巻 4 号 p. 342
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    メタンに代表されるアルカン類天然ガス資源は従来の化石燃料としての使途のみならず,安価で魅力的な炭素源として種々の化成品への変換を可能とする.しかし,アルカン類天然ガス資源の化学変換には非常に安定なC(sp3)-H結合(結合解離エネルギー=105kcal/mol)を開裂する必要があり,従来法では高温や紫外光照射などの過酷な条件を要する.加えて,アルカン類のC(sp3)-H結合を,溶媒や生成物が有する相対的に反応性の高いC(sp3)-H結合に先んじて開裂させる選択性も持ち合わせなければならない.今回Huらは,アルコールと安価なCe金属を組み合わせた新規LMCT(ligand-to-metal charge transfer)/HAT(hydrogen atom transfer)触媒を開発し,上記の課題を克服したので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Crabtree R. H., Chem. Rev., 95, 987-1007(1995).
    2) Hu A. et al., Science, 361, 668-672(2018).
    3) Kunkely H., Vogler A., J. Photochem. Photobiol. A Chem., 146, 63-66(2001).
    4) Roberts B. P., Chem. Soc. Rev., 28, 25-35(1999).
  • 小笹 弘貴
    2019 年 55 巻 4 号 p. 343
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    プロドラッグ化は,創薬研究において重要な手法の1つである.プロドラッグ体は酵素的あるいは化学的反応により活性体へと変換されることで,活性体の物理化学的性質を変化させ,その欠点を克服する.Pelletierらは,ジペプチドプロドラッグ化という珍しいアプローチで本手法に挑戦しており,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pelletier J. et al., ACS Med. Chem. Lett., 9, 752-756(2018).
    2) McDonnell M. et al., Bioorg. Med. Chem., 20, 5642-5648(2012).
  • 辻本 恭
    2019 年 55 巻 4 号 p. 344
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,メタボローム解析を用いた生薬の品質管理・評価や,特定遺伝子配列情報を応用した基原判別が着目され,広く行われている.さらに,両者を組み合わせることで,網羅的な解析を行うことができ,より詳細な品質管理・評価が期待できる.今回Kangらは,韓国産の6種のLonicera(スイカズラ)属植物について,種間のゲノム多様性を葉緑体DNA配列に基づいて調べ,それらの系統学的関係を明らかにした.同時にLC-MSを用いたメタボロミクスによる成分プロファイルの比較を行ったので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kang K. B. et al., Phytochemistry, 155, 126-135(2018).
  • 三島 正規
    2019 年 55 巻 4 号 p. 345
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    家族型のパーキンソン病の原因の1つとしてparkinの変異が知られている.本稿では,parkinタンパク質の活性化機構と疾患の関連を理解するために行われたSauvéらの構造研究を紹介する.ParkinはE3ユビキチンリガーゼであり,活性化するとミトコンドリア外膜のタンパク質をユビキチン化する.このユビキチン修飾がマイトファジー受容体をリクルートし,マイトファジーを誘導することで,ミトコンドリアの品質管理が行われている.したがって,parkinの活性化機構の理解は,極めて重要である.この活性化の引き金となるのが,セリン/スレオニンキナーゼであるPINK1(PTEN-induced kinase 1)による,parkinのリン酸化と,ユビキチンのリン酸化である.PINK1はミトコンドリアがダメージを受けると,ミトコンドリアに蓄積し,リン酸化を行う.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sauvé V. et al., Nat. Struct. Mol. Biol., 25, 623-630(2018).
    2) Matsuda N. et al., J. Cell Biol., 189, 211-221(2010).
    3) Koyano F. et al., Nature, 7503, 162-166(2014).
    4) Okatsu K. et al., Nat. Commun., 3, 1016(2012).
  • 神谷 哲朗
    2019 年 55 巻 4 号 p. 346
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病性腎症は糖尿病の重大合併症の1つであり,糸球体濾過量の低下や腎組織の線維化など機能的および形態的な異常を伴う疾患である.糖尿病性腎症の治療は,その基礎疾患となる高血圧や脂質異常症の改善が基礎となるが,その治療が十分に達成されているとは言えない.また,本疾患の増悪は透析導入の重大なリスクとなることから,その治療薬を開発することは喫緊の課題である.糖尿病性腎症罹患者の腎組織は,活性酸素種(ROS)の産生亢進に起因する酸化ストレス(OS)に曝されており,酸化ストレスをトリガーとする一連の炎症反応が腎組織障害を誘発する原因の1つとして考えられている.
    Apoptosis signal-regulating kinase 1(ASK1)は組織に普遍的に発現するタンパク質リン酸化酵素であり,酸化ストレス誘導性のアポトーシスや炎症反応に関与することが知られている.また,組織線維化に関与するp38などのリン酸化酵素の活性化を促進することから,糖尿病性腎症治療のターゲット分子として注目されている.本稿では,Lilesらが報告した新規ASK1阻害剤の糖尿病性腎症への効果について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Reidy K. et al., J. Clin. Invest., 124, 2333-2340(2014).
    2) Tobiume K. et al., EMBO Rep., 2, 222-228(2001).
    3) Ma FY. et al., Am. J. Physiol. Renal Physiol., 293, 1556-1563(2007).
    4) Liles JT. et al., J. Clin. Invest., 128, 4485-4500(2018).
  • パブラック 晶子
    2019 年 55 巻 4 号 p. 347
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder: ASD)は社会的コミュニケーションの障害や強いこだわりによる常同行動(同じ行動を繰り返す)などの症状を示す発達障害である.近年,いくつかの臨床試験で,オキシトシンがASDの社会性障害を改善することが報告されている.オキシトシンは,背側縫線核から側坐核に投射するセロトニン(5-HT)神経終末に作用して改善効果を示すとされているが,社会性における側坐核5-HT神経伝達の役割はあまり知られていない.本稿では光遺伝学を駆使して,ASDモデル動物の社会行動における5-HTの役割を調べたWalshらの研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yamasue H. et al., Mol. Psychiatry, Jun 29. doi: 10.1038/s41380-018-0097-2(2018).
    2) Watanabe T. et al., Brain, 138, 3400-3412(2015).
    3) Dölen G. et al., Nature, 501, 179-184(2013).
    4) Walsh JJ. et al., Nature, 560, 589-594(2018).
  • 平川 城太朗
    2019 年 55 巻 4 号 p. 348
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    現在,心血管疾患は高齢者の死亡原因の上位に属するため,冠状動脈が形成される分化メカニズムを明らかにすることは,薬学・医学者にとって重要な研究課題である.血管系は多くの生物間に保存され,脊椎動物の場合は,心臓から出る血液を送る動脈と心臓へと戻る血液を送る静脈,そしてそれぞれの末端をつなぐ毛細血管により構成される.治療薬が優れた効果を発揮するためには,治療薬が血液を介して体内に分配され,その後に肝臓および腎臓で代謝される必要がある.近年,科学技術の発展により多くのブレイクスルーがもたらされている.そのうち最も有名なものが,次世代シークエンサー(next generation sequencer: NGS)である.NGSを用いた解析では全ゲノム解析だけでなく,発現遺伝子を網羅的に解析するRNAシークエンシング(RNA sequencing: RNA-seq)という技術が開発され,現在では1細胞レベルでRNA-seqを行うsingle-cell RNA sequencing(scRNA-seq)を用いた研究成果が数多く報告されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Su T. et al., Nature, 559, 356-362(2018).
    2) Red-Horse K. et al., Nature, 464, 549-553(2010).
  • 辻 貴大
    2019 年 55 巻 4 号 p. 349
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    口腔内崩壊フィルム剤(ODF)は,口腔内で速やかに崩壊するフィルム状の剤形であり,第十七改正日本薬局方の第1追補に新しく収載された.ODFは小児,高齢者,嚥下困難者も容易に服用できる剤形である.主に基剤となる親水性ポリマーと可塑剤および崩壊剤といった添加剤から成る.近年,ODF中に,微粒子化した難溶性薬物を分散させることで,溶出性の改善を図った事例が報告されている.しかし,そうしたODFについて,崩壊性に関する知見は十分に得られていない.ODFの製剤設計を行う上で,良好な崩壊性を有しつつ十分な機械的強度を有する処方が要求されるが,それらはしばしばトレードオフの関係にあるため,両者のバランスを取ることは難しい.
    スーパー崩壊剤(SDIs)は,主に口腔内崩壊錠(OD錠)に使用され,錠剤中に数%添加することで,その崩壊性が顕著に向上する.現在,クロスポピドン,クロスカルメロースナトリウム(CCS),デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)が汎用されている.
    そこで,本稿ではSDIsをODFに添加することで,崩壊性と機械的強度の両立が可能か評価した事例について紹介する.この事例では,難溶性薬物のフェノフィブラートおよびSDIsとしてCCSまたはSSGを含むODFを調製し,崩壊性および機械的強度,更には薬物の溶出性を評価した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Takeuchi Y. et al., Pharm. Tech. Japan, 28, 167-169(2012).
    2) Zhang L. et al., Int. J. Pharm., 535, 462-472(2018).
    3) Desai P. M. et al., J. Pharm. Sci., 105, 2545-2555(2016).
    4) Zhang L. et al., J. Pharm. Sci., 107, 2107-2118(2018).
資料
  • 清水 博之
    2019 年 55 巻 4 号 p. 341
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/01
    ジャーナル 認証あり
    急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis: AFP)は、ポリオウイルス感染による麻痺(ポリオ: 急性灰白髄炎)、急性弛緩性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等、多様な臨床症状を示す疾患の総称で、様々な要因が発症に関与する。近年、日本や世界各地で、エンテロウイルスD68等の関与が疑われるAFP症例の増加が報告され、発生動向把握の必要性が指摘されている。世界的ポリオ対策も考慮し、2018年5月1日から「急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く)」が、感染症法の五類感染症(全数把握疾患)に追加された。
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