超原子価ヨウ素化合物は,その高い酸化数にもかかわらず安定性に優れ,他の反応剤とは一味違った酸化剤・求電子的官能基化剤としてその力を発揮してきた.しかしながら,アリールカチオン等価体であるジアリール-
λ3-ヨーダンは,その安定性ゆえに,適用可能な求核剤が反応性の高い金属エノラート等に限られている.今回内山らは,より強い求電子性が期待できるジアリール-
λ3-クロラン1すなわち超原子価塩素反応剤の安定供給に初めて成功し,これを様々な求核剤に適用し,その化学的性質を検証したので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Yoshimura A., Zhdankin V. V.,
Chem.
Rev.,
116, 3328-3435(2016).
2) Nakajima M.
et al.,
J.
Am.
Chem.
Soc.,
141, 6499-6503(2019).
3) Nesmeyanov A. N., Tolstaya T. P.,
Dokl.
Akad.
Nauk SSSR,
105, 94-95(1955).
4) Ochiai M.
et al.,
J.
Am.
Chem.
Soc.,
128, 9608-9609(2006).
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