ファルマシア
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57 巻 , 2 号
選択された号の論文の48件中1~48を表示しています
目次
  • 2021 年 57 巻 2 号 p. 82-83
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    ミニ特集:生薬・薬用植物研究の現在とこれから
    ミニ特集にあたって:生薬や薬用植物は,漢方薬の構成生薬として,また医薬品化合物の原料などとして用いられている.本ミニ特集では,薬用植物の国内栽培化や優良種苗供給,生薬の品質確保と制度的な取り組み,生薬マオウやブシの薬理作用の解明,そして漢方薬における生薬の働き,そしてそれら生薬・薬用植物研究の展望について,それぞれ専門の先生方にご執筆をいただいた.神農本草経などに記載される生薬や薬能が,現代の科学で解きほぐされ,臨床にも役立っている.本ミニ特集が,この温故知新の世界を知っていただく一助になれば幸いである.
    表紙の説明:今年の表紙は,「万葉歌人が詠んだ薬用植物」とした.この新シリーズのトップを飾るのは,山部赤人の詠んだ「春の野に すみれ摘みにと 来し我そ 野をなつかしみ 一夜寝にける」である.現代文に直訳すれば,「春の野原にスミレを摘みに来た.野辺の美しさに心ひかれて、ここでつい一夜を明かしてしまったなぁ.」この時,赤人は何スミレを見たのか,何を想ってこの歌を詠んだのか,電子付録では,赤人の思いを妄想しつつ,スミレについても蘊蓄を述べることにする.
オピニオン
  • 国嶋 崇隆
    2021 年 57 巻 2 号 p. 81
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    薬学教育の中で問題解決能力の醸成をどのように位置づけ実践するべきなのかを改めて考えてみる.教育と研究を本務とする大学において昨今指摘されている研究力低下は,こうした能力の育成にも大きな影を落としつつある。6年制移行に伴って様々な制度改革を進めてきた薬学分野も例外ではなく,直面している現状の諸問題に対処するためにも,教育効果と研究力がともに向上するような制度への見直しが必要であろう.
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 最前線
ミニ特集 セミナー
  • 袴塚 高志
    2021 年 57 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    日本の生薬・漢方製剤の安全性,有効性及び品質は,公定書(日本薬局方及び局外生規[日本薬局方外生薬規格])を基礎として,GMP(Good Manufacturing Practice),GQP(Good Quality Practice),GVP(Good Vigilance Practice),GACP(Good Agricultural and Collection Practice)などにより多面的に確保され,各事業者が実施するべき個別の要件は製造販売承認書に規定されている.本稿では,現代日本の薬事制度において承認を受けた天然物医薬品としての生薬に限定して,その品質確保に資する取り組みについて主に制度の面から解説する.
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 セミナー
最前線
最前線
話題
FYI(用語解説)
  • 吉松 嘉代
    2021 年 57 巻 2 号 p. 134_1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    基原とは,日本薬局方の中で,生薬のもととなる植物,動物,鉱物と,その薬用部位を表す言葉で,医薬品である生薬の直接的な原料を表す言葉である.植物生薬の場合の基原は,植物の学名と薬用部位で表し,動物生薬の場合の基原は,動物学名と薬用部位で表す.生薬原料の多くを占める植物(薬用植物)において,ほとんどの場合,薬効を示す成分(薬用成分)の組成や含量は,部位(花,葉,種子,果実,茎,根,根茎など)によって大きく異なっている.したがって,生薬の基原は,医薬品としての生薬の適否を判断する基準の1つとされている.
  • 牧野 利明
    2021 年 57 巻 2 号 p. 134_2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    アロディニア(allodynia,異痛症)とは,通常では痛みとして認識しない程度の接触や軽微な圧迫,寒冷などの非侵害性刺激が,痛みとして認識されてしまう感覚異常のことである.アロディニアは,末梢神経損傷,帯状疱疹,糖尿病性神経障害,抗がん剤による副作用などによる神経障害性疼痛で見られる.機械的アロディニアでは,衣服による摩擦などの日常的な刺激ですら痛みと感じてしまうため,生活の質が大きく毀損される.アロディニアの治療に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は無効で,プレガバリンやガバペンチンが利用されるが,より安価で「鎮痛」の効能を持つブシが利用できるならば,医療経済学的に有用であろう.
  • 川添 和義
    2021 年 57 巻 2 号 p. 134_3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    東洋医学的診断法で,バランスの崩れ,すなわち「証」を判断するために行われる望診,聞診,問診,切診の4つの方法を指す.望診は,患者の顔色や皮膚の色つや,舌の様子など視覚により診断する方法である.聞診は,患者の声やからだが発する音など聴覚と,さらに体臭や排泄物の臭気など,嗅覚により診断する方法である.問診は,体感(熱っぽいとか冷えるなど)や睡眠,月経,痛みの状況など,患者の主観的な情報から診断する方法である.切診は患者の身体に触れて診断する方法で,手の脈を触れる脈診,腹部の状況を触れて硬さや動きなどを見る腹診などがある.
  • 馬場 崇
    2021 年 57 巻 2 号 p. 134_4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    ガス中でイオンに電場を印加するとイオンはドリフト運動するが,その速度は電場の強さにほぼ比例し,その比例係数をモビリティという.実際には低電場と高電場でモビリティに差が生じることがあり,その差をディファレンシャルモビリティ(DM)と呼ぶ.DMはイオン種に依存する量であり,これを用いてイオンの選別を行う技術がディファレンシャルモビリティスペクトロメトリ(DMS)である.質量分析では,大気圧イオン源と質量分析器の間にDMSを設置することがある.DMはイオンとガス分子との相互作用に大きく依存するので,気化させたプロパノールなどの分子ガスを添加して,質量分析を適用する試料分子イオンの選択性を向上することができる.
  • 水野 忠快
    2021 年 57 巻 2 号 p. 135_1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    ニューラルネットワークの一種.CNNとのアナロジーで考えると分かりやすく,CNNでの畳み込み演算とは異なる演算により,グラフ構造を反映するような畳み込み層を導入している点が特徴.生命科学分野で化合物の構造情報の記述等で用いられている.
  • 水野 忠快
    2021 年 57 巻 2 号 p. 135_2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    ある入力を特定のルールに基づいて別の値に変換すること.化合物の構造を例にすると,記述子を抽出するルール(ex. Morgan finger print)があり,興味のある化合物の構造(ex. SMILES)を入力として,当該化合物内に各記述子の数がいくつあるかを要素としたベクトル量を得ることを指す.当該ベクトル量は入力とした化合物の構造を反映する.
  • 水野 忠快
    2021 年 57 巻 2 号 p. 135_3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    興味のある遺伝子に関連する多変量と,あらかじめ定義された遺伝子群との関係性を,当該遺伝子群の多変量における順位の偏りに基づいて指標で評価する解析手法.2003年にMootha Vらが考案し,2005年にSubramanian Aらによって体系化された.Kolmogorov-Smirnov統計量を用い,入力とする多変量と遺伝子群との分布の違いとして偏りを数値化する.
  • 水野 忠快
    2021 年 57 巻 2 号 p. 135_4
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    興味のある遺伝子群と,gene ontologyにより定義された遺伝子群との関係性を,カテゴリーデータの検定によって評価する解析手法.2000年Ashburner Mらは遺伝子の機能,分布等のグループ(遺伝子群)情報を,それらの階層構造を含めてまとめた(遺伝子のオントロジー,すなわちgene ontology).主にフィッシャーの正確確率検定を用い,興味のある遺伝子群とgene ontology由来の遺伝子群との独立性に基づいて評価する.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 2 号 p. 136-138
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,56巻12号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
最終講義
前キャリアが今に生きること
留学体験記 世界の薬学現場から
トピックス
  • 小島 正寛
    2021 年 57 巻 2 号 p. 146
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    鉄は毒性が低く地殻中に最も豊富に存在する遷移金属であるうえ,他の元素と異なる特徴的な反応性を示す場合があることから,触媒反応開発における魅力的な研究対象である.なかでも鉄触媒を用いるアルキンの三量化反応は,原子効率に優れた芳香環の構築法として価値が高い.しかし先行研究では,低原子価鉄活性種を系中で発生させるために,事前に調製した強塩基性の鉄(Ⅱ)錯体を用いる必要があり,合成化学的に有用な鉄触媒反応の開発は未だ課題であった.こうしたなかJacobi von Wangelinらは,塩化鉄(Ⅱ)触媒と光触媒の協働触媒系を用いて穏和な条件でのアルキンの三量化反応を実現したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fürstner A., ACS Cent. Sci., 2, 778-789(2016).
    2) Brenna D. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 8451-8454(2017).
    3) Neumeier M. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 59, 13473-13478(2020).
  • 吉岡 広大
    2021 年 57 巻 2 号 p. 147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    制御された細胞死は生体の機能を正常に保つうえで重要である.そのような細胞死の1つとしてフェロトーシスがあり,この機構の破綻は様々な疾患との関連が報告されている.そのため,フェロトーシス誘導は新たな治療戦略として期待されており,フェロトーシスを抑えるタンパク質glutathione peroxidase 4(GPX4)に対する阻害剤はその一手と成り得る.既知のGPX4阻害剤の多くは,RSL3やML162など共有結合性の反応基であるクロロアセトアミド構造を有する化合物である.これらは,GPX4の活性中心にある求核性のセレノシステインを標的とする共有結合性阻害剤であるが,クロロアセトアミドの高い反応性が原因で標的選択性に課題があった.一方で,一見すると共有結合性の反応基を有さないML210もGPX4阻害剤であるが,その作用機序は不明であった.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Weïwer M. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 22, 1822-1826(2012).
    2) Yang W. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 113, E4966-E4975(2016).
    3) Eaton J. K. et al., Nat. Chem. Biol., 16, 497-506(2020).
  • 室賀 翔太
    2021 年 57 巻 2 号 p. 148
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    生薬には多様な薬理作用を有するものが多い.それは,生薬が多成分から成ることに起因すると考えられる.生薬の薬理作用を検討する場合,in vitro試験とin vivo試験を組み合わせて評価されることが多い.その際,in vitro試験で有効性を示す生薬がin vivo試験でも効果を発現するには,有効成分が体内に吸収され,標的部位に適切な濃度で到達することが必要である.しかし,消化管からの吸収は化合物の分子量や脂溶性など様々な要因に影響されるため,in vitro試験で活性の高い化合物が必ずしも体内に吸収されるとは限らない.このことが,生薬に含まれる活性成分の特定を困難にしている一因として考えられる.そこで,あらかじめ化合物の細胞膜透過性について評価することが,消化管からの吸収の程度を予測し,in vitroin vivo試験の有効性を科学的に考察するための一助になると考えられる.本稿では,クコ(Lycium barbarum L.)の果実を基原とする生薬クコシ由来の多糖類(LBP,>10kDa)について,これまで知られていなかった小腸膜透過性をin vitro試験で評価し,薬効との関係を検討したFengらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhao Y. H. et al., J. Pharm. Sci., 90, 749-784(2001).
    2) Feng L. et al., Molecules, 25, 1351(2020).
    3) Artursson P., Karlsson J., Biochem. Biophys. Res. Commun., 175, 880-885(1991).
  • 大塚 裕太
    2021 年 57 巻 2 号 p. 149
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    合成プロセスにおける継続的なモニタリングと,フィードバックによる制御に関するprocess analytical technology(PAT)の発展が目覚ましい.製造プロセス中のインラインでの測定;ラマン,中赤外(IR),近赤外分光法と計量化学(ケモメトリックス)を組み合わせたモニタリングは,最終製品の品質を保証するための有用なツールとして注目されている.一方,マイクロリアクターは化学反応を非常に狭い装置・空間内で行うことを特徴としているが,熱効率の面でも通常の化学反応と異なり,温度の偏りが少ないことから,反応速度論の研究にも有利であることが知られている.インライン分析と組み合わせることで分離不能な中間体の調査も可能になり,複雑な反応メカニズムの解析にも有用である.
    本稿では,Fathらによる,インライン分析とマイクロリアクターのシステムとの組み合わせによる,ベンズアルデヒドとベンジルアミンのイミン化反応速度論についての論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fath V. et al., Org. Process Res. Dev., 24, 1955-1968(2020).
  • 谷川 和也
    2021 年 57 巻 2 号 p. 150
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    病原体などの異物の侵入に対してマクロファージは,貪食した後に細胞内で形成されるファゴゾーム/エンドソームに伴うファゴゾーム成熟を経て,リソソームで殺菌するendolysosomal経路を備えている.一方で,細胞内寄生菌である結核菌(Mycobacterium tubercurosis: Mtb)はヒトの肺に感染した後,肺胞内のマクロファージの中で増殖するが,その過程においてリソソームの生合成を誘導する結核菌側の分子実態は不明であった.Sachdevaらは,結核菌細胞壁脂質であるsulfolipid-1(SL-1)が,mammalian target of rapamycin complex 1(mTORC1)に依存したtranscription factor EB(TFEB)の核内移行を介してマクロファージ内のリソソーム合成を促すことで,菌の細胞内生存を低下させることを明らかにしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sachdeva K. et al., J. Biol. Chem., 295, 9192-9210(2020).
    2) Beatty W. L. et al., Traffic., 1, 235-247(2000).
    3) Lawrence R. E. et al., Nat. Cell Biol., 21, 133-142(2019).
  • 中谷 仁
    2021 年 57 巻 2 号 p. 151
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    「冬眠」とは,ほ乳類が冬季の厳しい寒さ,食物不足時に,代謝量を長期にわたって下げ,その期間を過ごす現象である.恒温性を持つほ乳類が,冬季にもそれを維持するには大変なエネルギーが必要であるが,冬眠することで代謝量自体を著しく低下させ,低体温のまま生命を維持することができる優れたシステムである.
    げっ歯目だとリス科,ヤマネ科などで冬眠が知られている.また霊長目では,コビトキツネザル科が知られている.残念ながら,ヒトには冬眠はない.
    ただ,ヒトでも極めて稀なケースではあるが冬眠状態が起こったのではないか,と考えられる事例が報告されている.これは神戸市六甲山で35歳男性が秋登山の後,遭難して意識を失い,20日後に救助された事例である.発見時には心肺停止状態,体温22度であったが,翌日には意識を取り戻し,後遺症もなかったのである.この事実から,一般にヒトは冬眠できないが,その誘導機構は備わっており,何らかの理由で不活化された状態にあるのではないか,といった類推が成り立つ.
    今回,紹介させて頂く論文は,ヒトと同じく冬眠はないと考えられている研究用マウスで,特定の神経回路刺激を行うことで冬眠に似た状態を人工的に誘導することに成功した,初めての報告である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) 和 秀雄,“冬眠する哺乳類”,東京大学出版会,2001.
    2) Blanco M. B. et al., Sci. Rep., 3, 1768(2013).
    3) 朝日新聞朝刊,東京本社版,2006年12月20日.
    4) Takahashi T. M. et al., Nature., 583, 109-114(2020).
    5) Takayasu S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 103, 7438-7443(2006).
  • 久綱 僚
    2021 年 57 巻 2 号 p. 152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)は,クローン病とともに炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)に分類される.時に血液を伴う下痢や腹痛を引き起こし,寛解と増悪を繰り返して慢性的な経過を辿る.UCの発症メカニズムは今日においても解明されておらず,根本的な治療法も確立されていないことから患者数は世界規模で増加傾向にあり,日本では難病に指定されている.そのようなUCに対し,たばこの煙(cigarette smoke: CS)が発症リスク,進行,再発を抑えるという疫学的な報告がある.また,UCモデルとして確立されているデキストラン硫酸ナトリウム(dextran sulfate sodium: DSS)誘発性大腸炎マウスにおいても,疫学的所見に肯定的な結果が得られている.しかし,CSの腸管炎症に対する影響を調べた研究は限られており,そのメカニズムは明らかとなっていない.今回,Lo SassoらはUCモデルマウスを用いて,CS曝露によって腸管での発現量が変動する遺伝子群を同定した.また,CSがマウス腸内細菌叢の組成に影響を与え,大腸炎の緩和または回復の促進に寄与することを明らかにしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Mahid S. S. et al., Mayo. Clin. Proc., 81, 1462-1471(2006).
    2) Lo Sasso G. et al., Sci. Rep., 10, 3829(2020).
    3) Kang C. S. et al., PLoS One, 8, e76520(2013).
  • 青木 重樹
    2021 年 57 巻 2 号 p. 153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル 認証あり
    生活習慣病の1つである2型糖尿病(T2DM)は,予備軍も含めると世界的に億単位の患者が存在すると推定されている.T2DMは様々な合併症を引き起こすが,その中でも動脈硬化などの心血管疾患(CVD)発症のリスクであることが従来から知られている.しかし,同じT2DM患者でもCVDを合併しない場合もあり,CVD発症の有無を決める仕組みは不明であった.
    本稿では,慢性的なT2DMであるものの動脈硬化などのCVDの既往がない患者,T2DMに罹患してからの期間が短いにもかかわらず動脈硬化を発症した患者から,それぞれiPS細胞を作製して動脈硬化抑制因子を探索したToyoharaらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Toyohara T. et al., Cell Stem Cell, 27, 147-157(2020).
    2) Takahashi K., Yamanaka S., Cell, 126, 663-676(2006).
    3) Warren C. R. et al., Cell Stem Cell, 20, 547-557.e7(2017).
    4) Lo V. et al., J. Lipid. Res., 51, 368-377(2010).
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