Magnetic resonance imaging(MRI)は,体内を非侵襲的に可視化できる極めて強力なイメージング手法である.特定の臓器のコントラストを更に向上させる目的で,MRI造影剤が用いられるが,最もよく使用されるガドリニウムイオン(Gd
3+)錯体の毒性が明らかになり,問題視されている.Caravanらは,Gd
3+よりも毒性が低く,それに次ぐMRI増感能を示すマンガン(Mn
2+)錯体を精力的に研究してきた.放射性同位体
52Mnを利用したPET-MRIを駆使し,線維化した肝臓を選択的かつ明瞭に検出するMRIプローブが開発されたため,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Caravan P.
et al.,
J. Am. Chem. Soc.,
137, 15548–15557(2015).
2) Caravan P.
et al.,
J. Am. Chem. Soc.,
144, 16553–16558(2022).
3) Kagan H. M.
et al.,
Path. Res. Pract.,
190, 910–919(1994).
4) Tircsó G.
et al.,
J. Inorg. Biochem.,
163, 206–213(2016).
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