ファルマシア
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58 巻, 8 号
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目次
  • 2022 年 58 巻 8 号 p. 752-753
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:最近の疫学
    ミニ特集にあたって:新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,疫学研究が一躍脚光を浴びたが,もともと疫学研究は感染症だけでなく,その他の疾病をはじめとした,健康に関連する様々な問題に影響を与える要因を探り関係性を明らかにすることで,国民の健康増進に大きく寄与してきた.近年では健康・医療に関する情報量も多くなり,いかに情報を正しく扱って疫学研究に結びつけるかも重要となってきている.今回のミニ特集は「最近の疫学」として,疫学研究に欠かせない医療統計やデータベースの活用法も含め,薬学と関連の深い種々の疫学研究について解説していただいた.
    表紙の説明:田辺三菱製薬史料館は,本社ビル竣工を機に2015年5月に開館した.同社の歴史は,1678年(延宝6年)初代田邊屋五兵衞が,大阪・土佐堀田邊屋橋(現・常安橋)南詰で合薬「田邊屋振出薬」の製造販売を家業として,店舗を開いたことに始まる.本史料館には,創業当時の軒下看板や大正時代に使用していた提灯をはじめ歴史的資料の数々を展示しているほか,原寸大で忠実に再現した明治時代の田邊屋の店先にて,田辺三菱製薬ならびに「くすりの町・道修町」の歴史を映像で紹介している.
オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 最前線
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 最前線
ミニ特集 セミナー
  • 疫学研究で見かける検定方法の誤用
    波多江 崇
    2022 年 58 巻 8 号 p. 782-786
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    筆者を含め、薬学部や大学院の学生時代に基礎的な実験研究は経験しているものの、ヒトを対象とした研究を経験したことがない者にとって、疫学研究で最も苦労するのが統計であろう。「統計について相談したい」と言えば、「検定方法の選択」を意味することが一般的である。
    そこで本稿では、筆者が疫学研究に関する投稿論文を査読する際に見かける統計学的仮説検定法の誤用について紹介する。
最前線
最前線
最前線
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2022 年 58 巻 8 号 p. 803-804
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,58巻6号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
アメリカ薬学教育の現場から
  • 藤原 亮一
    2022 年 58 巻 8 号 p. 810-811
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    6年制になってからの日本の薬学教育は,アメリカの薬学教育と似たものになったと認識していたが、2019年に異動してアメリカの薬学教育に直接携わるようになってから、筆者は日米間の薬学教育の違いを目の当たりにする日々が続いている。そこで本コラムでは、アメリカの薬学部で教鞭をとる立場から、アメリカの薬学教育と日本の薬学教育の違いや、それぞれの特色について筆者が感じ取ったことをシリーズで伝える。今回は筆者が担当する薬剤学の授業内容とともに、定期試験の問題や学生の得点分布、また良問や悪問について紹介する。
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 腰塚 正佳
    2022 年 58 巻 8 号 p. 814
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    複素環は医薬品や農薬の中心骨格として重要であり,その中でも複素環上にアミノ基を有する化合物は極めて多い.したがって,これらのアミノ基を合成後期に選択的かつ簡便に変換することが可能となれば,医薬品や農薬の活性向上を志向した構造変換において強力なツールとなる.しかしながら,芳香環上のアミノ基を変換する上で常法となるザンドマイヤー反応は,通常強酸条件を必要とすることから,必然的に基質の適用範囲が限定される.一方,Cornellaらは,これまでにピリリウム塩1が簡便に合成でき,大量供給可能かつ安定な化合物であることを見いだしている.さらに彼らは,ピリリウム塩1を用いてアミノ基を持つ複素環をピリジニウム塩3へと変換し,窒素,硫黄,酸素求核剤による芳香族求核置換反応を達成した.今回彼らは,同様の手法にて塩素などのハロゲン原子へと変換する方法論の開発に成功したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Moser D. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 57, 11035–11039(2018).
    2) Ghiazza C. et al., Nat. Chem., 14, 78-84(2021).
  • 井久保 仁也
    2022 年 58 巻 8 号 p. 815
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    近年,新たな創薬モダリティとしてタンパク質分解薬proteolysis-targeting-chimera(PROTAC)が注目されている.これは,標的タンパク質に結合するリガンドとVHLなどのE3リガーゼと結合する分子をリンカーでつないだキメラ化合物であり,E3リガーゼを標的タンパク質にリクルートすることで,ユビキチン(Ub)化とそれに続くプロテアソームによる分解を誘導する.これまで様々な標的に対するPROTACが創製されてきたが,効率的なタンパク質分解の決定因子は十分に特定されていないため経験的に最適化されてきた.本稿では,ユビキチンリガーゼ複合体構造の予測モデルを活用しつつ,ユビキチン化されるリジン残基の位置を意識した論理的なデザインにより,Bcl-xL/Bcl-2に対するPROTACを最適化した例を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dongwen L. et al., Nat. Commun., 12, 6896(2021).
    2) Khan S. et al., Nat. Med., 25, 1938–1947(2019).
  • 氏家 和紀
    2022 年 58 巻 8 号 p. 816
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    天然物の化学構造はNMRやMSを中心に解析されるが,後年の合成研究により構造が訂正されることがある.本稿では,全合成により訂正された天然物の絶対立体配置について,Daviesら第3のグループの合成研究によりさらに疑義が生じた例を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Davies S. G. et al., J. Nat. Prod., 85, 306–312(2022).
    2) Still P. C. et al., J. Nat. Prod., 76, 243–249(2013).
    3) Macha L., Ha H., J. Org. Chem., 84, 94–103(2019).
    4) Myers A. G. et al., Tetrahedron Lett., 41, 1359–1362(2000).
  • 北沢 創一郎
    2022 年 58 巻 8 号 p. 817
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動ニューロンに選択的に障害が生じた結果,筋肉が痩せ細り動かなくなる神経変性疾患である.ALSと疾患スペクトラムを形成する前頭側頭葉型認知症(FTD)は,アルツハイマー病に次いで患者数の多い認知症である.2006年に,これら患者の中枢神経に特異的に見られる封入体の構成タンパク質がTAR DNA-binding Protein 43(TDP-43)であることを,アメリカと日本のグループがほぼ同時に報告した.TDP-43は,N末端ユビキチン様ドメインと2つのRNA結合モチーフとC末端に天然状態で変性した低複雑性ドメイン(LCD)から構成される.LCDはQ/N-rich領域(282-310)とGly-rich領域(343-360)が存在し,凝集性が高く,生物学的液―液相分離とアミロイド線維の形成が報告されている.また,TDP-43がユビキチン―プロテアソーム系などのタンパク質分解を受けるためには,カスパーゼやカルパインによる断片化が重要である.この断片化を介して分解される完全長TDP-43の細胞内寿命の延長は細胞死を増加させることから,TDP-43封入体は,過剰なTDP-43に由来する細胞毒性への防御機構の産物であることが示唆されている.しかし,その異常凝集物の立体構造はこれまで不明であった.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Neumann M. et al., Science, 314, 130-133(2006).
    2) Arai T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 351, 602-611(2006).
    3) Li Q. et al., Nat. Commun., 6, 1-12(2015).
    4) Arseni D. et al., Nature, 601, 139-143(2022).
    5) Li Q. et al., Nat. Commun., 12, 1-8(2021).
  • 望月 茅可
    2022 年 58 巻 8 号 p. 818
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    近年増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,肝細胞内に過剰に蓄積した遊離脂肪酸が引き起こす脂肪毒性によって炎症や線維化を生じ,肝硬変や肝がんへと進行する危険性を伴うことから,NASHの病態解明に関する研究が盛んに行われている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang X. J. et al., Sci. Transl. Med., 13, eabg8117(2021).
    2) Zhang X. J. et al., Sci. Transl. Med., 13, eabg8116(2021).
    3) Alkhouri N. et al., Expert Opin. Investig. Drugs, 29, 135-141(2020).
  • 泉 安彦
    2022 年 58 巻 8 号 p. 819
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病,パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患では,異常なタンパク質の凝集体が神経細胞に蓄積する.誤って折りたたまれた原因タンパク質の可溶性モノマーが自己会合し,βシート構造を含むオリゴマーを形成し,更なる自己会合によって成長し,最終的にアミロイドフィブリル(線維)を生じる.凝集体と細胞毒性との関係についての一般的な見解として,大きなアミロイドフィブリルは比較的安定で不活性である一方,オリゴマーと小さなフィブリルの両方が神経毒性を示す.このタンパク質凝集体の毒性効果を打ち消すために,細胞はタンパク質の恒常性の維持に関わる機構を進化させてきた.その1つに,タンパク質分子が正しく折りたたまれる(フォールディング)のを助ける分子シャペロンがある.近年,この分子シャペロンが,アミロイドフィブリルさえも脱凝集できることが示された.本稿では,パーキンソン病関連タンパク質であるα-シヌクレインのフィブリルに対する分子シャペロンによる脱凝集機構を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Franco A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 118, e2105548118(2021).
    2) Gao X. et al., Mol. Cell, 59, 781–793(2015).
    3) Taguchi Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 116, 24310–24316(2019).
  • 内田 吉美
    2022 年 58 巻 8 号 p. 820
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    我々の健康維持や疾患の発症には日々の食生活が深く関わっている.いくつかの報告から高脂肪食と肥満が大腸がん発症に関与することが示唆されている.一方,このような食事を続けることで,正常な腸上皮組織がどのように変化しがん発症につながるのか,そのメカニズムは明らかにされていなかった.本稿では,高脂肪食を与えたマウスにおける腸内細菌叢の変化が腸上皮組織を変化させ,初期の腫瘍形成を促進することを示唆したBeyazらの論文について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Gallagher E. J., LeRoith D., Physiol. Rev., 95, 727–748(2015).
    2) Beyaz S. et al., Cell Stem Cell, 28, 1922–1935(2021).
    3) Chen Y. et al., Front. Cell. Infect. Microbiol., 11, 625913(2021).
    4) Abreu M. T., Nat. Rev. Immunol., 10, 131–144(2010).
  • 上代  大地
    2022 年 58 巻 8 号 p. 821
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    膵がんは早期発見が難しく,多くは切除不能の進行がんとして発見される.現在,切除不能進行膵がんに推奨される化学療法レジメンとして5-フルオロウラシル,オキサリプラチン,イリノテカン,ロイコボリンを併用するFOLFIRINOX療法とゲムシタビン,nab-パクリタキセルを併用するGnP療法が使用されており,予後は劇的に改善されている.一方,これらのレジメンでは多くの有害事象も報告されており,化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy: CIPN)は,両レジメンに共通する副作用である.我が国で標準的に使用されるmodified FOLFORINOX療法では,Grade3以上のCIPN発現率が5.8%,GnP療法では,Grade3以上のCIPN発現率が11.8%と報告されている.CIPNは症状が進行すると日常生活動作(ADL)低下を招き,その結果として化学療法継続が困難となり,予後に影響を与える可能性があるため,適切な管理が重要である.現在CIPNの治療に対して使用される薬剤として,ランダム化比較試験で有効性が確認されたのはデュロキセチンとプレガバリンのみである.また,CIPNに対するプレガバリンの有効性は,デュロキセチンよりも優れているという報告がある.近年,末梢神経障害に対する適応を有する薬剤として,日本で開発されたミロガバリンが上市された.しかしながら,ミロガバリンのCIPNに対する有効性に関しては報告されていなかった.本稿では,CIPNの治療薬としてミロガバリンとプレガバリンを比較した単施設の後ろ向き研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Avan R. et al., J. Res. Med. Sci., 23, 52(2018).
    2) Paskett E. D. et al., JAMA, 309, 1359–1367(2013).
    3) Salehifar E. et al., Clin. Drug. Investig., 40, 249–257(2020).
    4) Sugimoto M. et al., BMC Cancer, 21, 1319(2021).
    5) Domon Y. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 365, 573–582(2018).
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