日本薬学会第135年会は,2015年3月25日(水)~28日(土)までの4日間,神戸市にて開催された.本年会開催に向けて,大阪大学大学院薬学研究科の先生方を中心に神戸学院大学薬学部と兵庫医療大学薬学部の先生方に加わっていただき組織委員会を立ち上げ,3年前から準備を開始した.講演会場とさせていただいた神戸学院大学と兵庫医療大学からはいろいろとご協力を得ることができ,なんとか無事に年会を開催することができた.
本年会では,神戸学院大学と兵庫医療大学の両大学の全24の講演会場において,特別講演,受賞講演,理事会企画シンポジウム,一般シンポジウムや一般口頭発表を実施し,神戸サンボーホールとデザイン・クリエイティブセンター神戸の両ホールでポスター発表および機器展示を実施した.また,両エリアは互いに少し離れているので,両エリア間を結ぶシャトルバスを運行した.
本年度の一般ポスター発表は2,529題あり,26日生物系,27日化学・物理系,28日医療・教育系の日程で大きく3領域に分けて実施した.一方,講演会場では合計75件におよぶ一般シンポジウムが企画されたほか,全1,130題の一般口頭発表はポスター発表と重ならない日に配置した.また一般シンポジウムはそれぞれ2時間半の枠をとり,創薬から医療にわたるいろいろな領域からの最新の情報に直接触れる充実したプログラムを提供させていただいた.
本年会は,7,551名の一般・学生会員および非会員の有料参加者と約760名の学部学生のほか非会員シンポジストなどの招待者を合わせると,およそ8,400名の登録がある盛大な年会となった.一方で,3日間実施した計19件のランチョンセミナーで配られた整理券の合計約5,600枚と,両大学の食堂で消費された3日間の総昼食数1,600食を合計すると,7,200食となった.参加者の皆様がポスター会場におられた日を除いて2日間講演会場におられたとすると,延べ16,800食の昼食が必要となって両者の数値に大きな開きがあることから,3日間フルに学会参加された方は意外にもかなり少なくなってきているように推測される.このことは,日本薬学会年会が薬学領域で開催される研究者および学生の皆様にとっての年に一度の大きなイベント(お祭り)のような機能へと変わってきていることを示しているのかもしれない.
その一方で,今年度から実施された理事会企画の国際交流シンポジウムに象徴されるように,日本薬学会年会の国際化を目指すのであれば,諸外国からの研究者がもっと参加しやすくなるように年会ホームページや参加申込システムの英語版を構築して年会情報の海外への開示を推進していく必要があるかと考えられる.また現在,一般口頭発表やポスター発表を申し込むには日本薬学会会員であることが求められるが,海外からの参加者にはこれを免除する必要があるようにも考えられる.今後,これまでの日本薬学会年会が果たしてきた機能に加えて,諸外国からの参加者を迎えて世界の創薬研究者の情報交換の場として機能する,国際的な学術交流のためのセッションの構築についても推進していただければと考える次第である.
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