ファルマシア
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57 巻, 12 号
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目次
  • 2021 年 57 巻 12 号 p. 1070-1071
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    ミニ特集:デジタル治療(デジタルセラピューティクス)が描く未来
    ミニ特集にあたって:情報技術の進歩に伴い,臨床現場において種々のデジタル医療(デジタルセラピューティクス)が実用化されている.例えば,遠隔診療,スマートフォンなどによる患者情報の収集,禁煙治療アプリをはじめとする疾病の治療を目的とするアプリ,服薬アドヒアランス向上を目指したセンサー入り医薬(デジタルメディスン)などが挙げられる.また,創薬研究においてもビッグデータや人工知能の活用といった試みがなされている.本ミニ特集では,医療機器アプリをはじめとするデジタル医療と,創薬研究における情報技術の活用に着目して,それらの現状と将来展望について,ご専門の先生方にご寄稿いただいた.読者の皆様にご高覧いただければ幸甚である.
    表紙の説明:今月の表紙は,「おもひぐさ」を題材にした「道の辺の 尾花が下の思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」(作者不詳)である.「おもひぐさ」とは,現代の「リンドウ」と思い込んでいたが,「ナンバンギセル」という説の方が有力らしい.電子付録では,本号でこのシリーズを終えるにあたり,万葉集と薬草の関係を改めて総括するとともに,晩秋の野原を彩るリンドウなどの花を通じて,あをによし奈良の都を覗き見ることにしたい.
オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
  • 古森 亜矢
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1087-1091
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    近年、疾病治療の新たなアプローチとしてデジタル治療(デジタルセラピューティクス(Digital Therapeutics:DTx))が注目されている。DTxの定義は未だ定まっておらず、タブレットPC等にインストールされたソフトウェアを用いて治療を行うことをDTxと呼ぶ場合や、治療を目的としたソフトウェア自体をDTxと呼ぶ場合がある。本稿では、前者をDTx、後者をDTxアプリと記載する。
    本稿では、薬機法に基づき承認審査を行う立場から、DTxアプリを評価する場合に審査員が重視するポイントを説明する。なお、医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)としての見解だけでなく、筆者の個人的見解も含まれる。
ミニ特集 セミナー
  • 竹下 康平
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1092-1096
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    従来の医薬品、医療機器とは異なり、医療機器プログラムの開発には医療業界の前提を持たないIT企業などの関与が必要で、開発のスピード感も異なる。Joinの開発支援では、薬事・保険の書類作成と新機能開発時のハードルに関する議論、臨床的側面のフィードバック、関連学会との交渉、大学の所属を生かし新機能開発における開発資金の獲得等を行った。医療の効率化が叫ばれる中で、デジタルを使い既存コストの軽減と患者アウトカムの直接的な改善が製品開発成功のカギであると考える。
ミニ特集 セミナー
  • 青島 健
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1097-1102
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    創薬研究はディスカバリー、トランスレーション、クリニカル、リアルワールドなど様々なステップで構成され、それぞれのステップ・プロセスにおいて、種々の科学データが生成されている。今までこれらのデータは、各々の部門を中心に活用・構築が行われてきた。つまり、探索部門はクリニカルデータを活用せず、クリニカル部門はディスカバリーのデータに興味を示さないのが実態であった。しかし、近年、データに関わる部門横断的な利活用ニーズが高まっている。その背景として、人工知能(AI)技術が目覚ましい発展を遂げ、創薬研究のあらゆるプロセスで生成される膨大なデータを対象にした、高速かつバイアスのない網羅解析が実現しつつあることが挙げられる。これらの解析により生成された仮説やエビデンスは創薬研究を加速させ、開発期間とコストの削減につながる可能性を秘めている。本稿では、創薬研究におけるデータ共有やデータレイク(本稿ではデータベースの集合体をデータレイクと定義する)構築の必要性について解説する。更に、我々が十数年以上かけて構築した社内化合物情報を中心としたデータレイクについて紹介し、創薬研究におけるビッグデータおよびAI活用の実例を紹介する。
最前線
最前線
最前線
  • 「剥がれる」刺激により誘導される新規メカニズム
    藤井 拓人
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1113-1117
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    がんは日本における死亡原因の第一位である.がん治療が困難な最大の要因は,がん細胞の他臓器への転移であり, がん患者の死因の約90%を占める.従って,がんの克服には転移の制御が必須である.がん細胞は,原発組織から剥がれ,血管を介して移動し,他の組織に生着し増殖することで転移を達成する.我々は,がん細胞の「剥離」に着目し,剥離直後に誘導される「がん細胞固有のメカニズム」が,剥離がん細胞の細胞死の回避に関与することを明らかにしたので概説する.
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1118
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和3年9月27日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1119-1121
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,57巻10号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
  • 熊井 一樹
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1122-1123
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    本剤はCD38 を特異的に認識するIgG1κ完全ヒト型モノクローナル抗体であるダラツムマブと皮下間隙の結合組織のヒアルロン酸を加水分解する酵素であるrHuPH20を配合した皮下投与製剤である。本剤は本邦で2021 年3月に「多発性骨髄腫」 の効能・効果で製造販売承認を取得し、2021年8月には「全身性ALアミロイドーシス」の効能・効果を取得している。なお、2020年11月25日に全身性ALアミロイドーシスに対し希少疾病用医薬品として指定を受けている。
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
  • 原 崇人
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1131_2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    博士後期課程在学中にご支援いただいたことへの感謝と、本支援事業によって筆者が得た経験を記す。博士課程は自分の興味のために自分の時間をすべて使える最後の機会である。進学を悩んでいる方は本支援事業への申請を一考してほしい。本稿が背中を押す一助となれば幸いである。既に採択されている方は,そこでしか得られない経験をぜひ積み重ねていただきたい。無事に修了したあかつきには,本奨励事業のありがたみを痛感するはずである。
トピックス
  • 山下 賢二
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1132
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    医薬品候補化合物は,僅かな構造変化により生物活性や代謝安定性などが変化し,骨格上にメチル基を導入しただけで,性質が大きく改善されることがある.これをマジックメチル効果といい,リード化合物へのメチル基導入は重要な創薬戦略の1つとなっているが,多くの場合,あらかじめメチル化された原料から新たにメチル化体を合成する必要がある.そこで,合成終盤でも利用でき,普遍的に存在するC(sp3)-H結合をメチル化する反応の開発が望まれている.しかし,C(sp3)-H結合の高い安定性や選択性制御などの問題から,複雑な分子のメチル化は困難であり,Whiteらの2段階を経るC(sp3)-Hメチル化以外に有望な報告例はなかった.今回Stahlらは,ペルオキシドを酸化剤およびメチル源とした直接的C(sp3)-Hメチル化法の開発に成功したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schönherr H., Cernak T., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 12256-12267(2013).
    2) Feng K. et al., Nature, 580, 621-627(2020).
    3) Vasilopoulos A. et al., Science, 372, 398-403(2021).
  • 辻 耕平
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1133
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    2019年12月以来,新型コロナウイルス感染症COVID-19が流行し始め,早くも1年半が経過した(原稿執筆時現在).現在,予防効果の高いワクチンの開発や接種が進んでいる.2021年6月現在までにCOVID-19治療薬として日本で承認されているのは,中等症から重症の入院患者にのみ使用可能なレムデシビル,デキサメタゾン,およびバリシチニブの3種類のみであり,後者2種は抗炎症作用を示す対症療法として用いられるものである.レムデシビルはRNAポリメラーゼ阻害薬としてウイルスの複製を阻害するが,もともとはエボラ出血熱の治療薬として開発されたものであり,開発の初期段階からSARS-CoV-2-を標的とした治療薬は未だ開発されていないのが現状である.
    今回,満屋らは,SARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)がSARSの原因となるSARS-CoVのMproと非常に高い相同性 (96%)を有していることに着目し,過去に開発されたSARS-CoV Mpro阻害薬からGRL-1720(A. K. Ghoshら)および5h(林良雄ら)が有望な創薬リード化合物であることを見いだしたので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hattori S. et al., Nat. Commun., 12, 668(2021).
    2) Boras B. et al., bioRxiv, the most recent version 12 Feb. 2021 doi: https://doi.org/10.1101/2020.09.12.293498.
    3) https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-initiates-phase-1-study-novel-oral-antiviral
    4) https://investor.todosmedical.com/news-events/press-releases/detail/112/todos-medical-launches-phase-2-clinical-trial-of-its
    5) Qiao J. et al., Science, 371, 1374-1378(2021).
  • 小林 匡子
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1134
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    腸管粘膜には食物などに対する免疫応答を抑制する機構(免疫寛容)が存在し,この機構に異常が生じると炎症性腸疾患や食物アレルギーなどが引き起こされる.末梢での免疫寛容に重要な役割を担うのが,Foxp3によって免疫寛容能を獲得した制御性T細胞(regulatory T cells: Treg)であり,Foxp3の変異により食物アレルギーを発症したマウスにTregを移植するとアレルギー反応が抑制されることが知られている.最近,中国において潰瘍性大腸炎の補助療法薬として認知されている白頭翁湯が,腸管粘膜に存在するTregを増加させて免疫寛容を促し,炎症性腸疾患を改善することが報告されたので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Miao Z. et al., Front. Pharmacol., 11, 531117(2021).
    2) Yamamoto T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 516, 626-631(2019).
    3) Nagamatsu T. et al., Am. J. Reprod. Immunol., 80, e13021(2018).
  • 山﨑 由貴
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1135
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    創薬研究の初期段階において,ヒット化合物の同定とそれに続くリード化合物への最適化は極めて重要なプロセスである.ヒット化合物の探索にはハイスループットスクリーニング(HTS)が活用されているが,HTSの多くは蛍光・発光法や放射性物質を利用したバイオケミカルアッセイであり,評価系に依存した偽陽性と偽陰性が大きな課題となっている.この解決策として,近年,質量分析(MS)を用いたHTSが注目されている.MSを用いたバイオケミカルアッセイには,複数の標的分子を同時に,かつラベルフリーで直接検出できるという利点がある.一方で,従来のMSアッセイでは,試料中に含まれる塩や界面活性剤によるイオン化抑制を防止するため,試料の前処理やクロマトグラフィーによる分離が必要となり,スループット性が低いことが問題となっている.そこで近年,新たなイオン化法を活用することにより,クロマトグラフィーフリーでスループット性の高いMSシステムを構築する試みがなされている.本稿では,赤外マトリックス支援レーザー脱離エレクトロスプレーイオン化質量分析(IR-MALDESI-MS)を用いてHTS法を確立したPanらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Monge M. E. et al., Chem. Rev., 113, 2269-2308(2013).
    2) Fan P. et al., Anal. Chem., 93, 6792-6800(2021).
  • 高島 茂雄
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    X連鎖副腎白質ジストロフィー(X-ALD)は出生およそ1.7万人あたり1人が罹患し,脱髄を伴う進行性大脳白質変性(大脳型)や脊髄神経変性を伴う運動・自律神経障害(副腎脊髄ニューロパチー),副腎機能不全(アジソン型)などを発症する.X-ALDの病因遺伝子(ABCD1)は,ペルオキシソーム内に飽和型の極長鎖脂肪酸(炭素鎖数が20より多い脂肪酸)をトランスポートして分解を促すトランスポータータンパク質をコードしている.本疾患ではABCD1の変異によって飽和型極長鎖脂肪酸が蓄積し,その細胞毒性によって病態が発症するモデルが提唱されている.本論文では,飽和型の極長鎖脂肪酸を毒性の低い不飽和型に転換することで発症を抑えられる可能性が示されたので,これを紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kemp I. C. et al., Nat. Rev. Endocrinol., 12, 606-615(2016).
    2) van de Beek M. C. et al., Biochim Biophys Acta., 1863, 2255-2265(2017).
    3) Raas Q. et al., J. Clin. Invest., 131, e1425002021(2021).
    4) Zhang Y. et al., Am. J. Physiol. Renal., 290, F1065-F1073(2006).
  • 清水 かほり
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1137
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    ω-3脂肪酸は,メチル末端から数えて3番目の炭素に最初の二重結合を有する脂肪酸の総称であり,代表的なものとしてエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid: EPA, C20:5)やドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid: DHA, C22:6)が挙げられる.ほ乳類ではω-3脂肪酸は合成されず,魚油に豊富に含まれている.EPAやDHAの摂取は,血中および肝臓中の脂肪を減少させることや心血管疾患のリスクを低下させることが知られているものの,そのメカニズムは十分には解明されていない.本稿では,ω-3脂肪酸が脂肪を減少させるメカニズムとしてN-アシルタウリン(N-acyltaurin: NAT)に注目したGrevengoedらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Grevengoed T. J. et al., J. Clin. Invest., 131, e143861(2021).
    2) Grevengoed T. J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 116, 24770-24778(2019).
  • 酒井 聡
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1138
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    上皮系細胞が間葉系細胞の形質を獲得する現象を上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition: EMT)という.EMTは個体の発生や,がん細胞の転移・浸潤,臓器の線維化などに寄与し,細胞接着に関わるE-カドヘリンなどの発現が消失し,上皮系細胞がより運動能の高い間葉系細胞の表現型を獲得することが特徴である.本稿では,SerresiらがEMTに関与するクロマチン制御遺伝子を同定するために,レポーターベクターによるgenetic tracingとCRISPR interference(CRISPRi)法を用いることで,EMT関連遺伝子の発現制御機構を明らかにしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Lamouille S. et al.,Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 15, 178-196(2014).
    2) Serresi D. et al., Sci. Adv., 7, eabd7974(2021).
    3) Schmitt M. J. et al., Cancer Discov., 3, 754-777(2021).
  • 平井 一行
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1139
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    近年,新しい抗菌薬の開発が停滞しており,世界的脅威となっている薬剤耐性菌の拡大・増加を防止するためには,耐性菌を広げないための対策を実施する感染制御チーム(Infection Control Team: ICT)と耐性菌を作らないために抗菌薬の使用を適切に管理するための支援を実施する抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team: AST)が連携して活動することが大切である.2018年度には抗菌薬適正使用支援加算が新設され,ASTに求められる責務が大きくなっている.効果的なAST活動の実施には,診断支援(Diagnostic Stewardship: DS)の実践が一助となると期待されている.DSとは,「治療方針を決定する微生物学的診断の適切使用を改善する協調的な指導と介入」と定義され,DSにより不適切な抗菌薬使用の減少が期待されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) World Health Organization,“Global Antimicrobial Resistance Surveillance System-Manual for Early Implementation”, World Health Organization, Switzerland, 2016, pp. 12.
    2) Nicolle L. E. et al., Clin. Infect. Dis., 68, 1611-1615(2019).
    3) Lee ALH. et al., J. Hosp. Infect., 108, 81-89(2021).
資料
  • 異なる種類のワクチンの接種間隔の規定変更
    中野 貴司
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1128
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    2020年10月1日から、異なる種類のワクチンを続けて接種する際の間隔の規定が変更となった。「注射生ワクチンを続けて接種する場合のみ、次の接種までの間隔を27日以上あける」という従来からの制限は継続されるが,接種するワクチンの多い乳児期において確実な接種機会を確保する観点から、そのほかの種類の異なるワクチンを続けて接種する場合については、接種間隔に一律の日数制限を設けないこととなった。一方、同じワクチンの接種を複数回受ける場合は、ワクチンごとに決められた間隔を守る必要があるので,混同してはならない。
追悼
  • 尾堂 順一
    2021 年 57 巻 12 号 p. 1129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
    日本薬学会有功会員の田中善正先生が逝去されました。先生は、ほぼ半世紀もの長きに渡り、薬学の教育・研究にご尽力されました。特に、岡山大学薬学部の創設から発展まで、その全てに全力を注がれました。多彩なご趣味をもち、豊かな才能に恵まれ、温和で常に自然体、優しい笑顔の先生でした。岡山大学薬学部を巣立った卒業生・修了生が勉強する環境を整えて頂いた事に感謝すると共に、先生のご冥福を心よりお祈り致します。
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