ファルマシア
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最新号
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目次
  • 2021 年 57 巻 4 号 p. 254-255
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    ミニ特集:改正医薬品医療機器等法を読み解く
    ミニ特集にあたって:医薬品や医療機器等は,その品質,有効性・安全性の確保等を目的として,日本の薬事行政の根幹をなす医薬品医療機器等法に基づき,開発や製造,流通等が厳格に規制されている.2019年の法改正では,革新的な製品をより安全・迅速に医療現場に提供するための制度改善,電子的技術を活用した市販後安全対策の向上,薬剤師・薬局のあり方の見直し,法令遵守体制の整備等が行われた.本ミニ特集では,医薬品医療機器等法を所管する厚生労働省の行政官に,法改正の内容を解説していただいた.改正後の医薬品医療機器等法への理解が深まり,医薬品や医療機器等を取り巻く環境が今後どのように変化するのかを考える機会となれば幸いである.
    表紙の説明:今月の表紙は,オキナグサ(ねつこ草)を題材にした「芝付きの 美宇良﨑なる ねつこ草 相見ずあらば 我恋ひめやも」である.現代文に訳すと,「芝付きの三浦﨑に生えている,ねつこ草のような可憐な娘に,もし逢っていなかったら,私は,このように恋い焦がれることがなかったであろうに」となる.奥の深い和歌だが,作者不詳である.電子付録では,作者の思いを妄想しつつ,民間薬としてのオキナグサ,植物としてのオキナグサやその仲間,春の野山で見られる花についても蘊蓄を述べることにする.
オピニオン
  • 薬学の教育・研究の国際的競争力の強化を目指して
    佐々木 茂貴
    2021 年 57 巻 4 号 p. 253
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    「日本の薬学教育・研究は世界の流れに大きく後れをとりつつあるのではないか」という危機感が強くなっている。
    会頭就任にあたり、この現状を打破するための取り組みを始めたいと考えている。一つは「国際的競争力」を高めるための「分野融合」である。さらには、「社会への発信力」を高めるための「分野融合」である。2021年度は、日本薬学会の新体制は、で国際化と分野融合の動きを加速し薬学会を更に魅力的な学会に発展させる所存である。
Editor's Eye
ベランダ
  • 小林 利彦, 金井 求, 国嶋 崇隆, 青木 一真, 松木 則夫
    2021 年 57 巻 4 号 p. 261-266
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    アジア医薬化学連合(Asian Federation for Medicinal Chemistry: AFMC)のシンポジウムである第13回 AFMC International Medicinal Chemistry Symposium (AIMECS 2021) が10年ぶりに日本で開催される。1995年に東京で開催されてから、今回が4回目の日本開催となる。AFMCの創設者の小林利彦先生、AIMECS2021の大会長を務める金井求先生、プログラム担当の国嶋崇隆先生、財務担当の青木一真先生に、AIMECS2021の展望と豊富を語っていただこうと座談会を企画した。収録は2020年11月に行ったが、コロナ禍の終息が見えず、オンライン開催となるが、多くの薬学会会員の参加を期待している。
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
セミナー
  • 岡田 興昌, 長田 裕臣
    2021 年 57 巻 4 号 p. 294-298
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    医薬品の設計や品質管理における重要な要素の一つに結晶多形がある.結晶多形は吸収性や安定性など医薬品の品質に影響を及ぼすことがある.個々の製品にとって最適な結晶形を選択するために結晶多形スクリーニング実験が実施される.計算科学による結晶構造予測は,その有力な補完手段となり得る.近年の計算機性能の向上により結晶構造予測に高精度な手法が用いられ,その予測精度は実用レベルに急速に近づいている.
話題
話題
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 4 号 p. 310
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和3年1月22日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
  • 内原 脩貴
    2021 年 57 巻 4 号 p. 312_1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    博士課程在学中は長井記念薬学研究奨励支援事業よりご支援いただき,心より感謝している.私が研究者,なかでもアカデミアを志し,博士課程への進学を決意したのは修士課程の頃だった.当時の私はうつ病に関する研究に従事しており,進学後は少し異なる領域に挑戦したいと考えていた.このような背景から,研究時間を十分に確保することは非常に重要であり,生活費等を稼ぐために時間を使うことを避けたいと考えていた時に出会ったのが貴事業である.幸運なことに採択いただき,慶應義塾大学薬学部の多胡めぐみ准教授(現・同大学教授)指導のもと,がんの発症機序や薬理学的研究に存分に取り組むことができた.博士課程における成果を論文としてまとめることができたのは,ひとえに貴事業のご支援の賜物だと思っている.
    学位取得後は,がん治療時に細胞で生じる現象を詳細に理解するための研究を行いたいと考えた.現在は,群馬大学未来先端研究機構の柴田淳史准教授のもと,細胞レベルでDNA修復機構やDNA損傷に関連する免疫応答制御についての研究に従事している.これまでの経験から私が重要だと考えることは,時間への配慮と環境変化への適応である.その点を意識しつつ,今後も細胞レベルでの疾患や治療の根源的な理解を通じて,究極の生命システムである人間にとって最適な薬の創生に貢献できるよう精進したい.
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
  • 辻村 真里
    2021 年 57 巻 4 号 p. 312_2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    私は、博士課程において長井記念薬学研究奨励支援事業に採択されたことで、充実した研究活動を行うことができ、とても感謝している。特に、本支援事業における金銭的な支援は、私に研究と向き合う十分な時間を与えてくれた。本支援事業に採択される前は、薬剤師として調剤薬局でアルバイトをすることで生計を立てていた。薬剤師の仕事はよい経験であったが、アルバイトに長い時間を割くことに対して大きな抵抗があった。特に、博士課程2年次以降は研究とアルバイトの時間配分が難しく、研究活動に専念できないもどかしさや焦りを感じていた。本支援事業はこうした精神的な負担から解放してくれた。そのおかげで、研究活動に専念することができ、自身の研究成果を論文として国際学術誌へ掲載させることができた。また、日本薬学会第139年会において学生優秀発表賞を受賞し、東京理科大学大学院の早期修了規定を満たすなど、大きな成果に結びついたと思う。
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
  • 研究員達が輝ける研究環境の整備
    井上 尊生
    2021 年 57 巻 4 号 p. 314-315
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    米国東海岸メリーランド州ボルチモア市の丘の上に、ジョンズホプキンス大学はある。その医学系研究科で私はライフサイエンス研究と、医学・生物分野の教育に従事する。研究室主宰者(PI)として、細胞生物学部の教授として、また細胞動態研究所(CCD)のセンター長としての仕事内容を紹介したのち、ある一日の生活を記したいと思う。この記事を通して伝えたいことが3つある。私の仕事と生活を周知して、米国大学に勤めるPIを身近に感じてもらうこと、研究活動一般に対して関心を持っていただくこと、そして究極的には興味を持った方といつか一緒に研究を始めることだ。
トピックス
  • 岡田 卓哉
    2021 年 57 巻 4 号 p. 316
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    多環式アルカロイドの複雑な構造,そして多彩な生物活性は合成化学者の興味を惹きつけ,今もなお,世界中で盛んに合成研究が行われている.keramaphidin類の生合成経路として提唱されているBaldwin-Whitehead(B. W.)仮説によると,keramaphidin B(2)はジヒドロピリジン中間体3から酵素によらない分子内Diels-Alder反応を経て生合成され,天然には両対掌体が存在する.ところで,xestocyclamine A(1)は1993年に海綿から単離・構造決定された2の類縁体であるが,興味深いことに,擬対掌体であるingenamine(4)とは11員環内のアルケンの位置が異なっている.
    今回Mengらは,1の母核となるジアザデカリン骨格を二重Michael付加反応によって構築し,提唱された1の初の全合成を達成するとともに1の構造訂正を行ったので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Baldwin J. E., Whitehead R. C., Tetrahedron Lett., 33, 2059-2062(1992).
    2) Meng Z., Furstner A., J. Am. Chem. Soc., 142, 11703-11708(2020).
  • 高田 悠里
    2021 年 57 巻 4 号 p. 317
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質を標的とする薬の多くは,酵素阻害やリガンド結合阻害による活性調節に依存し,適用可能なタンパク質は限られる.そこで,標的となりにくいタンパク質を分解することによって制御するproteolysis-targeting chimaeras(PROTACs)をはじめとした手法が開発されてきた.しかしながら,これらの手法は細胞内におけるタンパク質分解機構を利用するため,その適用は主に細胞質内のタンパク質に限られてきた.
    今回Banikらは,リソソームへのシャトル輸送に関わる細胞表面上のカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CI-M6PR)に着目した.CI-M6PRと標的タンパク質の両方に結合するキメラ分子lysosome-targeting chimaeras(LYTACs)を設計・創製し,利用することで膜および細胞外タンパク質の特異的分解に成功したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sun X. et al., Signal Transduct. Target Ther., 4, 64(2019).
    2) Banik S. M. et al., Nature, 584, 291-297(2020).
  • 十亀 真実
    2021 年 57 巻 4 号 p. 318
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    サプリメントと聞いて,皆様はどのようなものを思い浮かべるだろうか.誰もが知っている身近な食品やビタミン,全く聞いたことのない海外の植物から微生物に至るまで,多種多様な材料を配合して魅力的な効用を謳うサプリメントが世界中に溢れている.しかし,その中には原料や製剤品質に問題のある製品が存在することが報告されている.東京オリンピックを機にスポーツへの関心が高まる中,運動系サプリメントへの関心も高まっているが,ここ数年,問題ないものと認識し摂取していたサプリメントにドーピング禁止物質が含まれていたことによる「うっかりドーピング」の報告が後を絶たない.例えば,骨・軟骨の強化や修復を謳うサプリメントからは,コルチコステロイドが検出される場合がある.コルチコステロイドは炎症と痛みを軽減する医薬品成分であり,サプリメントへの配合は世界的に認められていないことに加え,ドーピング禁止物質にも指定されている.このような成分を含むサプリメントの品質管理を目的とした分析法の重要性は高いが,従来の分析法ではLC-MS/MSやGC-MS等,高額かつ練度を要する機器を使用したものが多かった.本稿ではRaziらによる,骨・軟骨強化サプリメント中のコルチコステロイド(ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾロン)のHPLCを用いた簡便な分析法の開発研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) 合田幸広,YAKUGAKU ZASSHI, 128, 837-838(2008).
    2) Razi S. B. et al., Asian J. Pharm. Ana., 10, 67-76(2020).
  • 渋谷 明日香
    2021 年 57 巻 4 号 p. 319
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    新型コロナウイルスSARS-CoV-2は,世界的に急速な感染拡大を引き起こし,今もなお新型コロナウイルス感染症COVID-19の世界的な流行が続いている.SARS-CoV-2は呼吸器症状などの重篤化を引き起こす.そのため,SARS-CoV-2に対する治療薬の迅速な開発が求められている.治療薬開発では,SARS-CoV-2などのコロナウイルスが働くうえで不可欠なmain protease(Mpro)が標的分子として注目されている.本稿では,X線結晶構造解析を用いて,治療薬候補とMproの複合体の結晶構造を解明し,新たな治療に貢献した例を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Jin Z. et al., Nature, 582, 289-293(2020).
    2) Dai W. et al., Science, 368, 1331-1335(2020).
  • 齋藤 浩大
    2021 年 57 巻 4 号 p. 320
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    樹状細胞などの食細胞は,ウイルスや病原菌をパターン認識受容体(pattern recognition receptor: PRR)で認識し,異物を排除する.また,抗原提示細胞として,獲得免疫への橋渡しも行っている.トル様受容体(toll-like receptor: TLR)はPRRの一種であり,リガンドが結合するとMyD88やTRIFを介して細胞内に活性化シグナルを伝達する.TLRを介して活性化した樹状細胞では,ケモカイン受容体の発現が上昇し,所属リンパ節へ遊走後,T細胞を活性化する.そのため,炎症部位における獲得免疫誘導には,樹状細胞のTLRシグナル活性化とそれに伴う遊走能亢進が極めて重要である.しかし,その詳細なメカニズムは解明されていなかった.Talin1は,インテグリンと相互作用することで細胞接着に関与する分子であるが,TLRシグナルおよび樹状細胞遊走に対する役割は不明な点が多い.本稿では,Talin1のTLRを介した樹状細胞活性化,および炎症局所への樹状細胞遊走に対する新たな制御機構を発見した報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Calderwood D. A. et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 14, 503-517(2013).
    2) Lim T. J. F. et al., J. Exp. Med., 217, e20191810(2020).
    3) King J. K. et al., J. Immunol., 195, 464-476(2015).
  • 安田 浩之
    2021 年 57 巻 4 号 p. 321
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)とは,細胞内のDNAやヒストンを顆粒球タンパク質とともに細胞外に放出する現象であり,異物を捉え,殺菌する自然免疫応答の一種として発見された.近年,関節リウマチなどの自己免疫性疾患や糖尿病,がんなどの炎症性疾患においてその誘導が確認され,NETsは様々な疾患の増悪に関与する因子として考えられている.細胞外に放出されたDNA(NET-DNA)は血管壁の傷害や血栓の誘発に関与すると考えられているが,toll-like receptor 9など,DNAと結合して活性化する受容体も存在することから,NET-DNAは病態発症・増悪機序の細胞外シグナル因子として注目されるようになった.特にがん転移において,幾つかのマウスモデルでNET-DNAの関与が示唆されている.本稿では,NET-DNAと結合することが確認されたcoiled-coil domain containing protein 25(CCDC25)の乳がんの肝転移における役割をまとめたYangらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Brinkmann V. et al., Science, 303, 1532-1535(2004).
    2) Albrengues J. et al., Science, 361, eaao4227(2018).
    3) Yang L. et al., Nature, 583, 133-138(2020).
  • 松丸 大輔
    2021 年 57 巻 4 号 p. 322
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    元来,自然な状態での“ヒト”の寿命は30年程度と考えられてきたが,労働環境,住環境,衛生,医療の改善により,多くの先進国で80年ほどに延伸されてきている.寿命の延長に伴う高齢化の中で,多くの人々が加齢による組織・臓器の機能低下を経験している.個体の老化,そして白内障や動脈硬化をはじめとする老化関連疾患に大きく関わるのが細胞老化という現象であり,テロメア長の短小化,DNA損傷,発がんシグナルの活性化,酸化ストレスなどがその誘導因子となることが知られている.細胞老化を起こした細胞は,細胞周期が停止し,細胞死に対して耐性を持つ.また本来の機能を失い,サイトカイン・ケモカイン等を放出して組織の微小環境をかく乱する.
    このような細胞を選択的に除去することが老化関連疾患の進行の遅延,寿命の延長,生理機能の回復・維持につながることが見いだされている.老化細胞選択的に細胞死(senolysis)を誘導する薬剤をsenolytic drugと呼び,現在まで,BCL2・BCL-xL特異的阻害剤(ABT263),チロシンキナーゼ阻害剤(dasatinib)とquercetinの併用,BETファミリータンパク質阻害剤(ARV825)などが報告されている.しかしながら,効果が十分ではない,あるいは副作用発現の懸念から更なる改良が望まれている.
    本稿では,近年認可された免疫細胞療法キムリア®でも記憶に新しいchimeric antigen receptor(CAR)T細胞を,senolysis誘導に応用したAmorらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Van Deursen J. M., Science, 364, 636-637(2019).
    2) Chang J. et al., Nat. Med., 22, 78-83(2016).
    3) Zhu Y. et al., Aging Cell, 14, 644-658(2015).
    4) Wakita M. et al., Nat. Commun., 11, 1935(2020).
    5) Amor C. et al., Nature, 583, 127-132(2020).
  • 平野 良平
    2021 年 57 巻 4 号 p. 323
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,急速に高齢化する社会では,生活習慣病やがん等の加齢性疾患の罹患率が増加しており,加齢性疾患のリスク因子として「細胞老化」が注目されている.細胞老化とは酸化ストレス等によってDNA損傷が起こった際に誘発される不可逆的細胞増殖停止現象である.長年の細胞老化の研究により,細胞老化を起こした細胞(老化細胞)は生体内に長く存在し,サイトカインやケモカインといった炎症や発がんを促す因子を分泌することが解明されており,この現象は細胞老化随伴分泌現象(senescence-associated secretory phenotype: SASP)と呼ばれている.さらに,細胞老化が加齢性疾患の死亡率やアルツハイマー型認知症の進行,術後の有害事象や医学的リスクに関与することも報告されている.そのため,生体内の細胞老化は,加齢性疾患をはじめとする多くの臨床上のバイオマーカーと成り得る.一方,生体内における細胞老化には,性別や生活習慣,疾患等の複数の因子が複雑に絡み合っていることから,その評価方法は確立されていない.ここでは,Schaferらが発表したSASPにて分泌されるタンパク質の血中濃度が術後の医学的リスクを反映した例を紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Campisi J. et al., Nature, 571, 183-192(2019).
    2) Schafer M. J. et al., JCI Insight, e133668(2020).
    3) Kim S. W. et al., JAMA Surg, 149, 633-640(2020).
    4) Yousefzadeh M. J. et al., EBioMedicine, 36, 18-28(2018).
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談話室
  • 加藤 一生
    2021 年 57 巻 4 号 p. 331
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル 認証あり
    2020年は感染症とその治療法が特に注目された一年だった.COVID-19に対してウイルス同定から1年を経過しない間にmRNAワクチンが相次いで承認され,開発スピードという点でmRNAワクチンは大きなアドバンテージを有することが認識された.HCV感染症治療に関して,近年新たな低分子医薬が開発され,これらは長らく“drug-like”(経験則上,薬物分子が備えるべき特性.例えば経口吸収性に関するRule of 5)と考えられていた範疇を打破している.mRNAワクチンの常識外れの開発スピード,低分子医薬の進化で不治だった感染症が治るという事例は,モダリティ発展によって感染症対策がさらに成長できるポテンシャルを示した.
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