連続不斉炭素中心にブロモ基ならびにクロロ基が隣接する構造を有するテルペン類の多くは,海洋資源から単離され,ユニークな生理活性を示すことが知られている.一方でその選択的な合成法に関しては,これまで十分に開拓されていなかった.今回Burnsらは,独自に開発した化学・位置およびエナンチオ選択的ジハロゲン化反応を応用し,1975年に紅藻類
Portieria hornemanniiから単離されヒトがん細胞に対して前例のない活性プロファイルを示す2)海洋天然物(+)-halomon(1)の不斉合成に成功したので,以下に紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hu D. X.
et al.,
J. Am. Chem. Soc., 137, 3795-3798 (2015).
2) Fuller R. W.
et al.,
J. Med. Chem., 35, 3007-3011 (1992).
3) Bucher C.
et al.,
J. Am. Chem. Soc., 137, 12784-12787 (2015).
4) (a) Schlama T.
et al.,
Angew. Chem. Int. Ed., 37, 2085-2087 (1998) ; (b) Sotokawa T.
et al.,
Angew. Chem. Int. Ed., 39, 3430-3432 (2000).
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