ファルマシア
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53 巻 , 10 号
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目次
  • 2017 年 53 巻 10 号 p. 946-947
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:悪性腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬の有用性と問題点を考える
    ミニ特集にあたって:免疫チェックポイント阻害薬は治療効果が高く,画期的な新薬との評価がある一方,臨床試験では分からなかった副作用も多く報告されている.また,高価であり,医療経済的な問題点についても議論されている.本ミニ特集では,免疫チェックポイント阻害薬の現状や問題点について各分野の専門家にご執筆いただくことにより,本剤の適正使用のあり方について考えてみることとしたい.
    表紙の説明:長井長義の墨跡で,「安善養徳性(安らかに善く徳性を養う)」と大書し,「丁卯新年試筆ハ十三翁朴堂学人」と署している.昭和2年正月の筆.朴堂は長井の号である.語句の出典は漢魏六朝の『古楽府』という中国の書.徳島藩医の長男として生まれ,幼くして漢学を修めた長井の学殖が滲んでいる.東京薬科大学所蔵.写真の機器は,長井がエフェドリンの抽出のため,明治17(1884)年にドイツから輸入し用いた実物.左は蒸留缶.右は濾過器.いずれも鋼製.大日本住友製薬所蔵.
オピニオン
  • 遠藤 泰之
    2017 年 53 巻 10 号 p. 945
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    日本薬学会第137年会は2017年3月24日(金)から27日(月)にかけて仙台にて開催された.有料参加者は6836名(事前登録4,742名,当日登録2,094名)であり,参加費免除の学部学生740名を含めた登録参加者総数は7,576名であった.これに招待講演者,懇親会招待者,企業展示・説明者,ランチョンセミナー関係者,マスコミ関係者,市民講演会参加者などを加え,総参加者は8,628 名となった.今後の年会は、参加者のニーズに応えるプログラムと,各分野での最先端の講演のバランスをどうするかが,考えなければならない問題となる.
Editor's Eye
挑戦者からのメッセージ
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
  • 杉山 恵梨
    2017 年 53 巻 10 号 p. 963-966
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    ドラッグ・ラグ解消の取り組みにより、世界に先駆けて、本邦で革新的な医薬品が実用化されつつあるが、その有効性及び安全性のプロファイルは、既存の医薬品とは大きく異なることがある。革新的な医薬品を有効かつ安全に使用するためには、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な医療機関で使用することが重要であるため、厚生労働省では、最適使用推進ガイドラインを作成することとした。
    本稿では、最適使用推進ガイドラインの内容を紹介するとともに、これまでに作成したニボルマブ(遺伝子組換え)及びペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドラインの要点を示す。
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
最前線
話題
  • 松島 英介, 市倉 加奈子
    2017 年 53 巻 10 号 p. 984-988
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    うつ病は男性に比べ女性に多い精神疾患であるが、これには生物学的、心理社会的、人為的要因が関係しているといわれている。また、女性のうつ病の臨床的特徴としては、非定型的症状が多かったり、疼痛などの身体症状や不安を多く訴えたり、精神運動制止や社会的役割における機能障害が目立つ。こうした女性のうつ病患者の薬物治療に際しては、体重増加、高プロラクチン血症、性機能障害などに注意し、Quality of Life(QOL)を念頭においた対応が必要である。
話題
速報 話題
FYI(用語解説)
  • 勝田 将裕, 山上 裕機
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1000_1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    ワクチンの免疫原性を高める目的で抗原とともに投与される物質または因子の総称.ワクチンによる獲得免疫の活性化には,抗原の曝露のみでは不十分であり,局所におけるサイトカインバランスの調整や抗原提示細胞を成熟化する自然免疫が同時に活性化されることが重要であると考えられている.アジュバントは,抗原の免疫系への送達機能や自然免疫応答を活性化する機能を有し,ワクチンとともに投与することで獲得免疫応答を活性化する.抗原の送達機能を持つアジュバントには,アルミニウム塩,水-油系エマルジョン,リポソームなどがある.また,微生物の構成成分に由来する物質は自然免疫を誘導することがよく知られており,アジュバントとして開発応用されている.
  • 勝田 将裕, 山上 裕機
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1000_2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    生体内の様々な血液関連因子を分離する広範な医療技術の呼称で,体外循環によって血液中から血漿成分や細胞成分を分離する,あるいは分離した血漿成分から病気の原因となる液性因子を分離すること.再生医療においては,必要な細胞成分や液性因子を分離し治療に用いるが,この分離採取の手法を指す.本稿の樹状細胞療法においては,体外循環の成分採血により樹状細胞の作製に必要な血球成分を採取する手法のことを示す.
  • 勝田 将裕, 山上 裕機
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1000_3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    独立した登録センターへの電話やFAXによる連絡,またはインターネットによるEDC(Electronic Data Capture)を介して第三者が被験者登録や割付を行うしくみ.被験者登録に際しては,責任・分担医師や治験コーディネーターによる登録および被験者の適格性が確認されているが,登録センターやEDCを介して第三者に報告する手続きを踏むことで,より確実に登録・症例の適格性が確保される.また,被験者の割付を中央登録により第三者が行うことは,割付に関するバイアスを排除し質の高い試験の実現に大きく寄与する.
  • 松島 英介, 市倉 加奈子
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1000_4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    精神運動抑制ともいわれ,抑うつ気分や意欲の低下などとともに,うつ病の主症状の1つである.思考や決断力などの精神活動が停滞し,会話の減少,思考過程の遅延や緩慢な動作となって現れる.患者は,根気がない,集中できない,決断ができない,億劫や面倒などと訴える.重症になると,口数が極端に減って行動も不活発となり,臥床したまま動かなくなることもあり,うつ病性昏迷と呼ばれる状態になる.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1001-1003
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,53巻9号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
在宅医療推進における薬剤師のかかわり
製剤化のサイエンス
留学体験記 世界の薬学現場から
医療現場につながる基礎科学
  • 高橋 秀依
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1012
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    有機化学では酸性及び塩基性の強さを表す指標としてpKaを用いるが、医薬品の場合、弱酸性・弱塩基性という言葉が実際にどの程度のpKaを示すのか、言葉の使い方も曖昧である。また、薬剤師が医薬品の水溶性を考えるとき、インタビューフォームに書かれているpKaは大いに参考になるが、まれに、その数値に疑問が持たれるものがある。大学教員はインタビューフォームについてもっと検証する必要があるのではないか。
創薬研究から製品化へのマネジメント・モデル
  • 髙橋 義仁
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1013-1015
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    高い計画性や投資効率の実現のために研究開発に使われるプロジェクト評価は必要であり工夫されてきた.キャッシュフローの予測に加え時間が生む価値を考慮するDCF法,将来発生するシナリオの全体像を理解し全体像をベースに意思決定を行うための方法であるディシジョンツリー法などは,よく知られている.しかし予測誤差,割引率の設定の仕方などで予測数値は大きく変化する.プロジェクト評価者の裁量範囲も大きいこともあり,評価されたプロジェクト価値を客観的で公平な指標ととらえるのには限界がある.このような特性を理解して適切に利用する必要がある.
トピックス
  • 高木 晃
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1016
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    N-ヘテロ環状カルベン(N-heterocyclic carbene:NHC)は比較的安定な二価化学種であり,遷移金属の配位子や有機触媒として近年幅広く有機合成に用いられている.一方,アルデヒドはNHC触媒を用いることで,本来の極性を逆転させ(極性転換),求核種として反応することが知られている.今回Bijuらは,二環性トリアゾリウム型NHC触媒を用いることで,イミンの極性転換が達成されることを見いだし,2,3-二置換インドールの新規合成法の開発に成功したので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Patra A. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 2730–2734(2017).
    2) DiRocco D. A. et al., J. Am. Chem. Soc., 134, 6143–6145(2012).
    3) Lee S. J. et al., Adv. Synth. Catal., 358, 1566–1570(2016).
  • 北澤 隆之
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1017
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    単一の分子で複数の標的と相互作用する薬剤をマルチターゲット薬といい,一剤につき1つの薬効を持つ従来型の医薬品と比べて薬効の相乗効果,副作用の軽減,薬剤耐性の発現や薬物間相互作用のリスクの低下といった様々な利点が期待できる.さらに服薬数の低減というメリットも考えられることから,近年注目を集めている.従来,マルチターゲット薬は神経変性疾患やがんなどの分野で注目されていたが,最近ニコチン依存症治療薬の探索について報告されたので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Simone A. D. et al., J. Med. Chem., 60, 2287-2304(2017).
    2) Foll B. L. et al., Expert Opin. Invest. Drugs, 16, 45-57(2007).
    3) Panlilio L. V. et al., Pharmacol. Ther., 138, 84-102(2013).
    4) Simone A. D. et al.,Chem. Commun., 50, 4904-4907(2014).
  • 松本 崇宏
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1018
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    ミツバチは,ハチミツ,ローヤルゼリー,蜜蠟等の生産のみならず,園芸作物の花粉交配を担う重要な役割を持っている.ハチミツ,ローヤルゼリーは食用や健康食品として,蜜蠟はろうそくや医薬品等の原料として広く利用されているが,プロポリスの用途については知らない方が多いのではないだろうか.プロポリスはミツバチが巣作りに利用する植物由来の樹脂様物質で,化粧品や木製楽器の艶出し等に利用されてきた.これまでに抗炎症作用や,脂肪蓄積抑制作用をはじめ,様々な効用を有することが報告されている.Wilsonらは,アメリカネバダ州産セイヨウミツバチ(Apis mellifera)プロポリスの抽出エキスが,アメリカ腐蛆病菌(Paenibacillus larvae)およびチョーク病の原因とされる真菌(Ascophaera apis)に対する抗菌・抗真菌活性を有することを見いだしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ichi I. et al., J. Food Sci., 74, 127-131(2009).
    2) Tani H. et al., Bioorg. Med. Chem., 18, 151-157(2010).
    3) Wilson M. B. et al., Phytochemistry, 138, 83-92(2017).
    4) Garrido-Bailon E. et al., Microb. Biotechnol., 6, 131-139(2013).
  • 田中 健一郎
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1019
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    がん組織は正常組織よりも活動が活発であり,その周辺温度が高いことや,嫌気的解糖系の代謝物である乳酸や二酸化炭素の産生が亢進しているため,がん組織内のpH が低下していることが知られている.そのため,がん組織と正常組織の物理化学的性質の違いに着目し,抗がん剤やがんの位置を検出できるプローブの開発を目指した研究が盛んに行われている.
    代表的な温度応答性ポリマーとして,Poly(N-isopropylacryl amide)(PNIPAAm)が知られており,バイオマテリアルやドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が期待されている.PNIPAAmは温度に応答して,下限臨界溶解温度(lower critical solution temperature:LCST)である32℃を境に,低温側では親水性,高温側では疎水性となる性質(相転移)を持つ.これまでにHirutaらは,PNIPAAmを基本構造としてポリマーの共重合組成を変化させたり,pH応答性モノマーを共重合させたりすることで,温度やpHに応答する蛍光ポリマープローブを作製している.
    一方,有機・無機ハイブリッドナノ粒子は,無機ナノ粒子表面へ有機物質が化学修飾されたもので,有機物質の優れた特性(柔軟性や加工性)と物理化学的に強固な無機材料を組み合わせるため,様々な分野への応用が期待されている.そこでHirutaらは,これまでの研究を基盤として,温度応答性有機・無機ハイブリッドポリマーナノ粒子を作製し,作製したナノ粒子を用いて,がん細胞への取り込みについて解析しているので,本稿で概説する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hiruta Y. et al., ACS Macro Lett., 3, 281-285(2014).
    2) Hiruta Y. et al., Sens. Actuators B Chem., 207, 724-731(2015).
    3) Hiruta Y. et al., Colloids Surf. B Biointerfaces., 153, 2-9(2017).
  • 加藤 百合
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1020
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    朝にインフルエンザワクチンを接種すると,午後に接種する場合と比較して抗体力価が上がることから,概日リズムにより免疫システムが制御されていることが示唆されている.このメカニズムの解明は,様々な病原体に対する効率的なワクチン療法の確立に重要である.ワクチン接種による免疫獲得には,リンパ球が重要な役割を担う.リンパ球は抗原を探索するために,血液からリンパ節へ移行し(ホーミング),その後,遠心性のリンパ管を流れるリンパ液へと放出され(遊出),全身を循環する.これまでに免疫応答が,活動期と休息期で日内変動することは報告されていたが,リンパ球の概日リズムへの関与は長らく議論があった.本稿では,リンパ球が概日リズムで制御されることによって,リンパ節へのリンパ球の移行,リンパ節からのリンパ球の放出,さらには免疫応答が調節されていることを明らかにした,Druzdらの研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Long J. E. et al., Vaccine, 34, 2679-2685(2016).
    2) Scheiermann C. et al., Nat. Rev. Immunol., 13, 190-198(2013).
    3) Hemmers S. et al., Cell Rep., 11, 1339-1349(2015).
    4) Druzd D. et al., Immunity, 46, 120-132(2017).
  • 米持 奈央美
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1021
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    肥満人口は全世界で増加の一途を辿っている.肥満により深刻な合併症が生じることから,その治療は急務である.脂肪細胞は,働きの異なる白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞(BAT)に分別される.前者はエネルギーを蓄える方向に働き,肥満に伴い肥大して,その数も増加する.後者はエネルギー消費と熱産生を担う.BATにはClkファミリーに属するCDC-like kinase 2(CLK2)が存在し,この発現はエネルギー状態の変化に伴い変動することが報告されているものの,CLK2のエネルギーバランスへの役割は明らかでない.
    本稿では,BATのCLK2がエネルギー消費の促進に寄与することを示したHattingらの研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Rodgers J. T. et al., Cell Metab., 11, 23-34(2010).
    2) Hatting M. et al., Cell Metab., 25, 428-437(2017).
    3) Seimon R. V. et al., Mol. Cell Endocrinol., 418, 153-172(2015).
  • 野本 竜平
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1022
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    ある疾患や形質といった表現型と関連があると考えられる遺伝的変異を統計学的に同定するゲノムワイド関連解析(genome-wide association studies:GWAS)は,ヒトを中心とした真核生物の分野で10年以上前から広く利用され,今日までに多数の研究成果が発表されている.細菌はゲノムがダイナミックに変化する性質のためGWASが困難で,長らく未開拓の領域であったが,ここ数年の間に病原性に関与する遺伝的変異の同定をGWASにより実施した報告が複数発表されてきている.これらの解析では,宿主特異性,薬剤耐性や病原性などに関与する様々な遺伝因子が同定されている.ある遺伝的変異(多型)が別の遺伝子座の表現型にも影響する相互作用をエピスタシスと呼び,細菌のゲノムでは環境に適応するためエピスタシスを介して複数の遺伝子を同調的に変異させる,言わばゲノム内共進化のような現象が起こる.近年の細菌集団ゲノムデータセットの規模と多様性の進歩により,ゲノムワイドな共進化のパターンが個々の塩基レベルの解像度で解明される可能性も見えてきた.本稿では,細菌のゲノム配列アライメントから統計的に優位に共進化する多型部位を同定する新たな手法を開発したSkwarkらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) PowerR. A. et al., Nat. Rev. Genet., 18, 41-50(2017).
    2) Skwark M. J. et al., PLoS Genet., 13, e1006508(2017).
    3) Marks D. S. et al., Nat. Biotech., 30, 1072-1080(2012).
    4) Chewapreecha C. et al., PLoS Genet., 10, e1004547(2014).
  • 大神 正宏
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1023
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    慢性骨髄性白血病は9番染色体と22番染色体の相互転座により形成されるフィラデルフィア(Ph)染色体を特徴とする.Ph染色体上のBCR-ABL1融合遺伝子にコードされて産生されるBCR-ABLチロシンキナーゼにより細胞内基質や自己がリン酸化され,細胞内シグナル伝達が活性化することにより,白血病細胞が増殖する.これまで慢性骨髄性白血病の治療はインターフェロンや造血幹細胞移植が中心であり,5年生存率は約50%であったが,イマチニブの登場により90%以上となり,治療成績は飛躍的に向上した.イマチニブは経口分子標的治療薬であり,BCR-ABLチロシンキナーゼのATP結合部位に競合的に結合し,基質のリン酸化を阻害することで細胞増殖を抑制する.
    イマチニブのような経口薬による治療は外来での治療を可能とし,患者のQOLの向上が期待できる.しかしながら,経口薬による治療においては,患者が治療方針を十分に理解し,積極的に治療を受けようとする服薬アドヒアランスが重要である.慢性骨髄性白血病におけるイマチニブによる治療において,服薬アドヒアランスが90%より高い患者では分子遺伝学的寛解の達成率は93.7%であるが,90%以下の患者では13.9%まで低下するという報告がある.そのため,イマチニブによる治療効果の向上には服薬アドヒアランスの向上が必要である.がん治療における経口薬の服薬アドヒアランスは16〜100%と報告されており,服薬アドヒアランスの向上には医療従事者の介入が必要である.今回,薬剤師の服薬指導により慢性骨髄性白血病患者の服薬アドヒアランスが向上し,治療効果の向上につながった論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Marin D. et al., J. Clin. Oncol., 28, 2381-2388(2010).
    2) Ruddy K. et al., CA Cancer J. Clin., 59, 56-66(2009).
    3) Moulin S. M. et al., Support. Care Cancer., 25, 951-955(2017).
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総説目次
談話室
  • 奥住 竜哉
    2017 年 53 巻 10 号 p. 1042_1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/01
    ジャーナル フリー
    最近、ある医薬品の受託合成企業の講演会で心に響くエピソードを聞いた。その内容は 「我々は規模が大きくなかったので、他社が断るような難易度の高い化合物の合成は基本的に断らないようにしてきた。それを一つ一つ積み上げてきたことで"難易度の高い化合物の合成であれば当社に"という地位を築くことができた。」 というものである。事業や企業の強みは、"日常の中での一つ一つの努力・改善の積み重ねで形作られている"という、当たり前であるが極めて大切なことを改めて思い出させてくれるフレーズであった。
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日本薬学会入会申込書・医薬化学部会入会申込書・異動連絡届・購読誌変更届・退会届
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