ファルマシア
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57 巻, 7 号
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目次
  • 2021 年 57 巻 7 号 p. 608-609
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    特集:モダリティ多様化を支援する創薬基盤技術
    特集にあたって:近年,疾患の治療法(モダリティ)の多様化が著しい.新たなバイオ医薬品の開発へ向けて,抗体,核酸,糖鎖などの基盤技術が進歩している他,キメラ分子による創薬など標的分子に対するアプローチもこれまでのものとは大きく変化しつつある.そして,創薬における評価法や診断技術でも革新的な方法が開発されている.現代のモダリティ多様化は,科学技術の進歩のみならず研究者の考え方の進歩によっても支えられている.本特集では,次世代のモダリティに活用され得る新たな創薬基盤技術を紹介させていただく.読者の皆様には,基盤技術の理解にとどまらず,是非とも医薬品開発に対する斬新な考え方を味わっていただきたい.
    表紙の説明:近年,時代の変遷にともなう技術革新によって疾患に対する治療方法(モダリティ)の多様化が著しく,革新的医薬品の開発も加速している.複数の標的へ結合することによって作用を発揮するようなものもその1つであり,これらへのアプローチもまた多様化している.現代のモダリティ多様化は,創薬を支える基盤技術の進歩と研究者の創薬に対する考え方の進歩により実現されている.
オピニオン
Editor's Eye
最前線
  • 横尾 英知, 出水 庸介
    2021 年 57 巻 7 号 p. 615-619
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    PROTACやSNIPERに代表される標的タンパク質分解誘導剤(TPD薬)は,生体内に備わるユビキチン-プロテアソームシステムを利用して任意のタンパク質を分解できる有機分子であり,新たな医薬品モダリティとして期待されている。PROTAC/SNIPER は,標的タンパク質リガンド,E3リガーゼリガンド,両リガンドを繋ぐリンカーから構成され,主なリガンドとして小分子,中分子が用いられる.さらに,高機能化を目指した分子設計が盛んに試みられている.
    本稿では,TPD薬の分子設計,開発の現状,筆者らの最近の研究成果について紹介する.
話題
最前線
最前線
話題
最前線
最前線
最前線
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2021 年 57 巻 7 号 p. 657
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,57巻5号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
承認審査の視点
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
期待の若手
期待の若手
トピックス
  • 梅野 智大
    2021 年 57 巻 7 号 p. 666
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    Cepafungin I(1)はシルバクチン類に分類される天然物であり,強力な抗腫瘍活性を有することから,魅力的な抗がん剤候補化合物として注目されている.1の中心骨格は,4-ヒドロキシリジンとビニロガス型γ-アミノ酸から成る12員環マクロラクタムである.Schmidtらは1の類縁体であるGlidobactin A(2)の全合成を報告しているが,4-ヒドロキシリジン保護体の合成には12工程を要していた.最近,Renataらは酵素反応によるリジン(3)から4-ヒドロキシリジン(4)への高効率的な変換を鍵とした1の化学-酵素的短段階合成を達成したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schmidt U. et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1687-1689(1992).
    2) Amatuni A. et al., Cell Chem. Biol., 27, 1318-1326(2020).
    3) Amatuni A., Renata H., Org. Biomol. Chem., 17, 1736-1739(2019).
    4) Betancor L. et al., ChemBioChem, 9, 2962-2966(2008).
  • 安田 大輔
    2021 年 57 巻 7 号 p. 667
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    「生物学的相分離」という単語を耳にしたことはあるだろうか.液-液相分離(liquid-liquid phase separation: LLPS)は,分液漏斗の中で水層と油層が分離するようなごくありふれた現象であるが,いま細胞内におけるLLPSが生物学的相分離として注目を集めている.細胞内のタンパク質やRNAなどの分子は,ドロップレット(液滴)と呼ばれる会合体を形成し,外の環境と独立した「膜のないオルガネラ」を形成することが分かってきており,分子生物学の分野に新たなパラダイムを引き起こしている.「相分離メガネをかける」とは,我が国における生物学的相分離研究の第一人者,白木賢太郎氏の言葉だ.言い換えれば,さまざまな生命現象に生物学的相分離の概念を持ち込んで再考することである.この概念が低分子創薬の現場にも広がりつつある.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Babinchak W. M. et al., Nat. Commun., 11, 5574(2020).
    2) Girdhar A. et al., Int. J. Biol. Macromol., 147, 117-130(2020).
    3) Prasad A. et al., Sci. Rep, 6, 39490(2016).
  • 中山 淳
    2021 年 57 巻 7 号 p. 668
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    感染性真菌症は,人類の健康に対する世界的な脅威であり,現在年間約200万人の罹患者が死亡している.最近では毒性が高く,汎用抗真菌剤に耐性を獲得した「キラー真菌」Candida aurisも世界中に蔓延しており,米国疾病対策予防センターから緊急警報が出されている.このような状況を打開すべく,耐性菌に有効な新規抗真菌剤の開発が望まれており,未利用の天然資源の開拓や新たなスクリーニング法の開発によって天然物由来抗真菌剤の開発が再勃興している.今回,Zhangらが海洋性マイクロバイオーム(細菌叢)から有望な新規抗真菌化合物turbinmicinを見いだしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang F. et al., Science, 370, 974-978(2020).
    2) Chanana S. et al., Metabolites, 10, 297(2020).
  • 両角 明彦
    2021 年 57 巻 7 号 p. 669
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    物理的な「力」は,様々な生物学的現象において重要であり,このような「力」を可視化する試みが精力的になされてきた.例えばZhangらは,細胞表面に働く力を蛍光で観測するツールとして,DNAベースの張力プローブを報告した.しかしながら,細胞に働くこのような力を100nm以下の空間分解能で観測することは困難であった.本稿では,精密に設計した蛍光プローブを超解像顕微鏡技術と巧みに組み合わせることで,ピコニュートン(pN)の力を数十nmの空間分解能で捉えることを可能にしたBrockmanらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang Y. et al., Nat. Commun., 5, 5167(2014).
    2) Brockman J. M. et al., Nat. Methods, 17, 1018-1024(2020).
    3) Schnitzbauer J. et al., Nat. Protoc., 12, 1198-1228(2017).
    4) Schueder F. et al., Nat. Methods, 16, 1101-1104(2019).
  • 豊島 翔太
    2021 年 57 巻 7 号 p. 670
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー炎症は,2型免疫応答を本態とする.アレルゲンが皮膚で感作されると,皮膚に局在する樹状細胞が活性化し,所属リンパ節に移行する.その結果,アレルゲンの情報がヘルパーT細胞(Th2)に提示され,2型免疫応答が惹起される.しかし,アレルゲンにより活性化された樹状細胞は,in vitroでTh2細胞の分化を誘導できないことやマウスに移入しただけでは,in vivoで2型の免疫応答が惹起されないことが報告されている.つまり,アレルゲンの感知から2型の免疫応答の惹起までの間には,樹状細胞以外にも必要な因子が存在する.2型の免疫応答の惹起に必要な因子として,上皮由来サイトカインが知られ,それらは2型免疫応答を誘導できる樹状細胞に分化させる.しかし,これらのサイトカインを欠損させても,2型炎症は部分的にしか抑制されず,アレルギー疾患において,2型炎症が惹起されるメカニズムは,十分に理解されていない.本稿では,Pernerらによって報告された,アレルギー炎症の本態となる2型炎症が惹起される際に,アレルゲンを感知して樹状細胞を所属リンパ節に移行させる細胞を見いだし,その機序を解明した論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kumamoto Y. et al., Immunity, 43, 733-743(2013).
    2) Besnard A. G. et al., Eur. J. Immunol, 41, 1675-1686(2011).
    3) Halim T. Y. et al., Immunity, 40, 425-435(2014).
    4) Perner C. et al., Immunity, 53, 1063-1077(2020).
  • 𠮷見 陽
    2021 年 57 巻 7 号 p. 671
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    神経ペプチドであるオキシトシンは,子宮収縮・乳汁分泌促進作用のほかに,ストレスの緩和や向社会的行動の発達に関与する.社会的コミュニケーションや対人的・情緒的関係の困難,および限局された行動・興味などを主徴とする自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)に対し,感情の認識や共感,社会的認知などの中核症状改善作用を期待してオキシトシン製剤の開発が進められている.ASDの発症は遺伝要因の寄与が大きく,シナプスタンパク質,翻訳調節,クロマチン修飾などに関わる遺伝子変異の関与が明らかにされてきた.しかし,ASD関連遺伝子変異がオキシトシン作動性シグナル伝達機構を制御し,その結果としてASDの発症に寄与しているかどうかは明らかにされていない.本稿では,ASD関連遺伝子であるニューロリギン3(neuroligin 3: Nlgn3)の機能喪失がオキシトシン応答と社会的行動の変容に関与することを明らかにしたHörnbergらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Walum H., Young L. J., Nat. Rev. Neurosci., 19, 643-654(2018).
    2) Zaslavsky K. et al., Nat. Neurosci., 22, 556-564(2019).
    3) Hörnberg H. et al., Nature, 584, 252-256(2020).
    4) Bariselli S. et al., Nat. Commun., 9, 3173(2018).
  • 福田 達也
    2021 年 57 巻 7 号 p. 672
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    脳梗塞は世界的に高い死亡率を示し,その治療法として血栓溶解療法や外科的な血栓除去が行われている.しかし,時間経過とともに急速に障害が進行する脳梗塞において,上記治療法による処置が有効な時間は限られる等の問題点から,新たな治療法の開発が求められている.
    脳梗塞の病態進行において,脳の恒常性の維持に働く血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)の破綻と,全身性の免疫反応と炎症(血液中の炎症細胞,サイトカイン等の増加)の関与が報告されている.特に,活性化した好中球から分泌されるマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase: MMP)-9は,BBBの傷害や細胞外マトリックスの分解を引き起こすとともに,MMP-9が種々のケモカインやサイトカインと相互作用することで,更なる炎症と脳組織の傷害を引き起こすことが知られている.本稿では,脳梗塞モデルマウスの血液を健常マウス由来の血液と置換することで,炎症を抑制し脳保護効果を発揮する新たな治療法,「血液置換療法」に関するRenらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) del Zoppo G. J., Ann. N. Y. Acad. Sci., 1207, 46-49(2010).
    2) Ren X. et al., Nat. Commun., 11, 4078(2020).
    3) Wyss-Coray T., Nature, 539, 180-186(2016).
  • 若杉 安希乃
    2021 年 57 巻 7 号 p. 673
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    図の立方体をしばらく見つめていると,見え方が変わるのを体感するであろう.これは,眼精疲労の臨床試験で用いられた図である.継続して3分間見つめ,見え方が変わる時間の合計が1分半以上であれば,眼精疲労の可能性が高いとされている.このように眼精疲労を定量的に評価する指標は珍しい.そもそも眼精疲労とは疾患ではなく,眼を酷使することにより,眼だけではなく全身に疲れを感じる状態のことである.身体的・精神的不調を感じるが,他覚的な診断基準が存在しないため,いわゆる「未病」の1つであると言える.
    2020年,世界はCOVID-19時代に突入した.人々の生活環境や働き方は大きく変わり,特に眼を酷使するデジタル機器(スマホ,PC,タブレットなど)を使用する時間が増えてきた.そのため,デジタル眼精疲労を訴える人が少なくない.このたび,コロナ禍におけるデジタル眼精疲労の状況について調査した文献が発表された.本稿はその文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kan J. et al., Am. J. Clin. Nutr., 112, 334-342(2020).
    2) Bahkir F. A., Grandee S. S., Indian J. Ophthalmol., 68, 2378-2383(2020).
    3) Mohan A. et al., Indian J. Ophthalmol., 69, 140-144(2021).
    4) https://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=140
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