図の立方体をしばらく見つめていると,見え方が変わるのを体感するであろう.これは,眼精疲労の臨床試験で用いられた図である.継続して3分間見つめ,見え方が変わる時間の合計が1分半以上であれば,眼精疲労の可能性が高いとされている.このように眼精疲労を定量的に評価する指標は珍しい.そもそも眼精疲労とは疾患ではなく,眼を酷使することにより,眼だけではなく全身に疲れを感じる状態のことである.身体的・精神的不調を感じるが,他覚的な診断基準が存在しないため,いわゆる「未病」の1つであると言える.
2020年,世界はCOVID-19時代に突入した.人々の生活環境や働き方は大きく変わり,特に眼を酷使するデジタル機器(スマホ,PC,タブレットなど)を使用する時間が増えてきた.そのため,デジタル眼精疲労を訴える人が少なくない.このたび,コロナ禍におけるデジタル眼精疲労の状況について調査した文献が発表された.本稿はその文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kan J.
et al.,
Am.
J.
Clin.
Nutr.,
112, 334-342(2020).
2) Bahkir F. A., Grandee S. S.,
Indian J.
Ophthalmol.,
68, 2378-2383(2020).
3) Mohan A.
et al.,
Indian J.
Ophthalmol.,
69, 140-144(2021).
4) https://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=140
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