ファルマシア
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60 巻, 12 号
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目次
  • 2024 年 60 巻 12 号 p. 1086-1087
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル フリー

    ミニ特集:専門・認定薬剤師を知る

    ミニ特集にあたって:臨床現場で働く薬剤師が目指す専門資格や認定資格は,薬剤師の臨床能力および専門知識を深化させ,医療現場において重要な役割を果たす.これら資格制度は,薬剤師が高度な薬物治療に関する専門知識とスキルを実践に適用し,多職種との連携を通じてチーム医療におけるリーダーシップを発揮するための基盤を提供するものである.本ミニ特集では,これら資格制度の意義とその臨床実践における成果を概観し,さらには資格取得によって得られた研究成果に焦点を当てる.また,各領域のエキスパートによる論文執筆を通じた課題解決の手法を紹介し,薬剤師の専門性の向上および臨床応用における展望を考察するような特集を企画した.

    表紙の説明:医の博物館は,平成元年(1989年)9月に日本で初めての医学博物館として日本歯科大学新潟歯学部内に開館した.展示史料は,医学・歯学・薬学に関する約5,000点(16世紀から現在に至る西洋と日本の古医書,浮世絵,医療器械器具,薬看板,印籠など)の貴重なものばかりである.近代解剖学の祖・ベサリウスの「ファブリカ」,杉田玄白の「解体新書」など,原本を間近で見ることができる.

オピニオン
  • 奥田 真弘
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1085
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)では、薬剤師に求められる基本的な資質・能力の一つとして「科学的探究」が挙げられ、薬剤師の生涯にわたる目標として設定された。専門薬剤師は「特定の専門領域の疾患と薬物療法についての十分な知識と技術ならびに経験を活かし、医療スタッフの協働・連携によるチーム医療において質の高い薬剤業務を実践」するだけでなく、「その領域で指導的役割を果たし、研究活動も行うことができる能力を有することが認められた者」と定義されている。学術論文の有用性には二面性があり、一つはエビデンスとしての社会的有用性、もう一つは著者の学術的実績である。専門薬剤師には、専門領域で行われる薬物治療で不足するエビデンスを肌で感じ、切実なテーマに基づいた研究を実施することで、エビデンスとして構築することが求められる。

Editor's Eye
ミニ特集 話題
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最前線
話題
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1130-1131
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.

    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和6年9月24日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.

    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.

承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1132-1133
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.

    今回は,60巻9号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.

    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.

最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 藤野 遥
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1140
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    アルコールは最も普遍的な有機化合物群の1つである.複数のアルコールを炭素―炭素(C―C)結合形成を経て自在に連結できれば強力な複雑分子構築法となるが,汎用的な手法は未だ存在しない.最近Chenらは,級数の異なるアルコールから発生させた2種の炭素ラジカルを形式的に交差カップリングさせる,一般性の高いアルコール連結法を実現した.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Chen R. et al., Science, 383, 1350-1357(2024).

    2) Dong Z., MacMillan D. W. C., Nature, 598, 451-456 (2021).

    3) Sakai H. A., MacMillan D. W. C., J. Am. Chem. Soc., 144, 6185-6192(2022).

  • 皆瀨 麻子
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1141
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    スフィンゴ脂質であるセラミドが形成するチャネルは,孔径が濃度依存的に変化する特徴を持つ.ミトコンドリア外膜においてセラミドの自己集合により形成されるタンパク質透過性チャネルは,ミトコンドリアの恒常性を破壊してアポトーシスを誘導する.

    Chenらは,コール酸とがん細胞ミトコンドリア選択的な集積能を持つトリフェニルホスホニウム(TPP)基をポリエチレングリコール(PEG)鎖で連結したPn-TPPsに,低濃度ではClチャネルを形成し,高濃度ではより孔径の大きい低分子透過性ナノポアを形成する,セラミド様の性質を見いだした.本稿では,Pn-TPPsのチャネル特性と自己集合様式,ミトコンドリアを標的とするがん細胞選択的な細胞増殖抑制活性について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Colombini M., Chem. Rev., 112, 6373-6387(2012).

    2) Chen Z. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 63, e202318811(2024).

  • 伊藤 ほのか
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1142
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    生薬等に含まれる多種多様な二次代謝産物の分析はLC等による分離分析が一般的であり,UHPLCやMS検出器の使用などで分離能や検出感度の改善が図られてきた.一方,近年では様々なナノテクノロジーが発展し,多分野で応用されている.生物学分野で利用されるナノポアは,脂質二重膜に埋め込まれた膜貫通型チャネルの貫通孔を指し,分子がこの貫通孔を通過する際の電流の変化を観測することで,単一分子を検出可能なセンサーとして利用できる.ナノポアは生物学分野では,ナノポアシーケンサー等の核酸分析技術として発展してきたが,現在では核酸以外にタンパク質や低分子の検出にも利用できる.また,ナノポアを利用した定量分析法の開発も行われてきた. 本稿では,これまで生薬の成分分析に応用されてこなかったナノポアセンサーを用いて丹参(タンジン)に含まれるフェニルプロパノイド等の成分を分析したFanらの研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Zhang M. et al., Proteins, 90, 1786-1799(2022).

    2) Fried J. P. et al., Nano Lett., 22, 869-880(2022).

    3) Fan P. et al., Nat. commun., 15, 1970(2024).

  • 有吉 純平
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1143
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    MicroRNA(miRNA)は,遺伝子発現の調節に重要な役割を担っており,多くの疾患との関連も指摘されていることからバイオマーカーとして非常に有望視されている.しかし,多くのmiRNAは発現量が低く,in vivoでの正確な検出は難しかった.Guらは,DNAの鎖交換反応を応用したユニークなメカニズムによって,miRNAの高感度イメージング手法を開発しているので紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Gu Y. et al., Anal. Chem., 96, 7609-7617(2024).

    2) Li H. et al., Anal. Chem., 93, 11043-11051(2021).

  • 河原 生知
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1144
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    ヒトを含む哺乳類は,性染色体により性分化が決定され,性ホルモンや腸内細菌叢など他の環境要因によって性差は顕著となる.生体防御を担う免疫系においては,女性の方が強い免疫応答を示し,細菌などの病原体に対抗しやすい一方で,自己免疫疾患を発症しやすいことが明らかとなっている.さらに昨今では,新型コロナウイルス感染症の重症化や致死リスクに性差があることも報告されており,臨床的にも性差は重要な要素であるが,免疫応答の性差が生まれる詳細なメカニズムは不明であった.本稿では,皮膚免疫応答の性差について,男性ホルモンによる新たなメカニズムを明らかにしたChiらの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Scully E. P. et al., Nat. Rev. Immunol., 20, 442-447(2020).

    2) Chi L. et al., Science, 384, eadk6200(2024).

    3) Sudo T. et al., J. Exp. Med., 218, e20200817(2021).

  • 浅野 智志
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1145
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    膵臓がんは,その多くが膵管に発生する膵管腺がんである.膵がん患者数は増加傾向にあり,日本におけるがん死亡数の第4位であり,米国においては2030年までに第2位になると予想されている.膵管腺がんは早期の発見が難しく,転移してから発見されることが多いため,発見時に既にかなり症状が進行していることがめずらしくない.そのため,膵管腺がんの転移浸潤のメカニズムの解明と,転移を抑制する治療法の開発が必要とされている.膵管腺がんは他のがん種と比較して,がんの増殖と抗がん剤抵抗性に関与する非悪性の間質が豊富に存在している.この間質の大部分はがん関連線維芽細胞(CAF)で構成されている.CAFには,発現する分子の種類や量の違いによって,機能の異なるいくつかのサブタイプが存在する.膵がんの腫瘍組織には筋線維芽細胞性CAF (myCAF),炎症性CAFおよび抗原提示性CAFなどが不均一な集団を形成している.近年,CAFはがん治療の標的候補として注目されているが,これらの不均一な細胞集団についての理解が不十分なため,効果的な治療戦略の構築が困難な状況であった.本稿では,膵管腺がんオルガノイドと遺伝子改変CAF前駆細胞(PSC)を共移植した同所性移植マウスモデルを用いて,悪性細胞が分泌するトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)によって活性化したmyCAFが膵管腺がんの増殖や,膵臓がんの主な転移先である肺や横隔膜への転移を促進するメカニズムを明らかにしたMuccioloらの論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Halbrook C. J. et al., Cell, 186, 1729-1754(2023).

    2) Mucciolo G. et al., Cancer Cell, 42, 101-118(2024).

    3) Biffi G., Tuveson D. A., Physiol. Rev., 101, 147-176(2021).

  • 長尾 昌紀
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1146
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    脳内の老廃物は,脳脊髄液(CSF)の流れに沿ってグリアリンパ系(グリンパティックシステム:GS)により,脳外へ排出されることが知られている.GSにおいては,脳室の脈絡叢で生産されたCSFが,軟膜の動脈周囲腔(PVS)から脳実質に流入し,細胞間質液と混ざり合った後,静脈PVSから頸部リンパ節へと排出される.GSの阻害はアルツハイマー病(AD)の原因物質であるアミロイドの蓄積を増大させるため,AD病態の要因としても注目されている.また,外部からの特定の周波数刺激は神経活動を惹起させることが可能であり,ガンマ周波数帯の感覚刺激(ガンマ刺激)がADモデルマウスの脳内アミロイド蓄積および記憶障害を改善することが報告されている.この非侵襲的なガンマ刺激によるAD病態の改善はユニークな手法のため脚光を浴びているが,その作用機序の詳細は不明である.本稿では,ガンマ刺激におけるアミロイド代謝の促進に対して,初めてGSを介した作用機序を明らかにした論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Iliff J. J. et al., Sci. Transl. Med., 4, 147ra111(2012).

    2) Iaccarino H. F. et al., Nature, 540, 230-235(2016).

    3) Murdock M. H. et al., Nature, 627, 149-156(2024).

    4) Jiang-Xie L. F. et al., Nature, 627, 157-164(2024).

  • 平井 利典
    2024 年 60 巻 12 号 p. 1147
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    2019年12月に武漢から始まった新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡散が,社会・経済活動を停滞に追いやったことは記憶に新しい.製薬企業がこぞって開発したワクチンの登場に,誰もが大きな期待を寄せたであろう.今日,数多くの病原体に対してワクチンが実用化に至っているが,免疫抑制療法を受けている患者がワクチンの恩恵を十二分に受けることの能否は,払拭できない疑問点として残っている.本稿では,主にB細胞の抗体産生機能を抑制するプリン代謝拮抗薬ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil: MMF)がワクチンの抗体獲得に及ぼす影響の解析結果を中心に紹介する.MMFと言えば,固形臓器移植の適応に目がいきがちであるが,ループス腎炎などの自己免疫性疾患にも適応を有しているため,多くの診療領域で参考になる知見であろう.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Fatly Z A. et al., J. Infect., 88, 106133(2024).

    2) de Weerd A. E. et al., Transpl. Int., 35, 10839(2022).

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